東電管内、夏向け節電シフトで、あれこれ雑記

 昨日付(25日付)の報道によると、今年の夏が「猛暑になれば」、東京電力の送電管区内では、最大13%供給不足になりそう、って政府予測だそうです。

 今日(26日)には、東電の抱えてる原発原子炉が、17基すべて止まってるはずなので、それに連動した需給予想。
 東電が、新潟県で運営させてもらってる柏崎刈羽原子力発電所で、6号機が定期検査に入り、運転休止になる関係で公表された政府予想なわけです。
 これで、国内稼働中の原子炉は北海道の泊原発北海道電力)の3号機1基となるわけですね。こちらも5月上旬までには、定期検査に入る予定。


 さて、予想で「最大13%の不足」かー。
 まぁ、地球は温暖化してるはずですので、「猛暑になると仮定しての予想」は結構ですよね。

 去年、東電管区内では、3.11の後バタバタと計画停電に入りましたけど。
 この夏は、電気の消費者側も、計画性をもって計画停電に臨めそうですね。(東電管区内の話です)

 去年の経験に照らしてみれば、「ピークカット」−−つまり、電力消費量がピークになってく日中の数時間をどうにかすれば、「最大13%の不足」なんて対処できるはずです。


 もちろん、一般家庭の節電と、事業所の節電とでは、苦労が違いますので、一律には言えませんけれど。
 少なくとも、一般家庭の節電は、「最大13%の不足」対処できるはずです。


 ともかくピークカットがポイント。
 ただし、昨年の計画停電では、ピーク時が昼過ぎから午後3時〜4時の時間帯に移動しただけ、なんて展開もあったのですが。

 アタシは、普段は在宅でシコシコお仕事してるか、取材先に出てるかが多いフリーライターですので。
 ピーク時は、家を空けて、図書館や公民館に行ってノーパソで作業。
 これ、結構有効です。

 お家で過ごすお母さんや、お年寄りも、図書館や公民館で何かするのは有効ですよね。
 公共施設では冷房かけても、各戸家庭の冷房機やいろんな家電が止まってると、節電効果高いそうです。

 後、各戸家庭では冷蔵庫の開閉回数を減らす。これもピーク時だけでオッケー。
 公共施設では、去年、東京都知事が意地のように槍玉にあげてた自動販売機の方が、節電効果あるはず。
 だって自販機は商品補充の時しか開閉しないんだから。


 事業所の節電は、色々大変でしょうけど。
 その為のコンサルタントもいるそうなので、計画的に対処してけば、いいんじゃぁないかな??

 少なくとも東電管区では、昨年の計画停電に対処した方法の延長で、補うべきとこは補っていけばなんとかなるはず。去年の東電管区だって、色々苦労はあったけど、大過なく乗り切れたんだから。

 ただ、交通信号機が点灯しないがための事故。これは痛ましかったです。ここはなんとか、送電事業の側で対処してってもらいたいですね。もし、今年も計画停電するんなら、ですけれど。


 気をつけた方がいいのは、むしろ「電力需給逼迫!!」とか言って、危機感や、悲壮感を煽ろうとする声の方でしょうね。

 去年だと、東京都知事が、ピークカットとほとんど関係なしに、パチンコ店もやたらめったら攻撃してました(苦笑)。
 もし、パチコン店の規制を強めるべき政治的な理由があるなら、それは「節電とは無関係」な政治的発言で説けばいい。
 ここぞとばかりに、危機感を煽って社会を扇動しようとする声にこそ、要注意です。


 次は、アタシの希望とゆーか、机上の空論、理想論になるんですけど。
 思うに、公共施設や、学校、後、私鉄、国鉄の駅舎などから、a「太陽光パネル」や、b「エネファーム」を導入してくといいように思えます。

 もちろん自家発電のためです。
 電力事業の地域独占権益を崩したくない大手電力会社や、電事連や、経団連は、太陽光発電の不安定さばかりを言い立てますけれど。
 太陽光発電も、夏期のピークカットには、ほとんど不安定ではないですね。考えればわかること(笑)。
 それに今の技術では、明け方や夕方くらいの光度でも、実用的な発電量をもつパネルもちゃんと開発されてるそうです。

 公共施設から導入されていけば、技術進歩にも拍車がかかることでしょう。
 その辺は、携帯電話や、タブレットパソコンと一緒です。

 「エネファーム」てのは、これは商品名なのかしら? 東京ガス大阪ガスが扱ってます。
 要するに、天然ガスで一回自家発電をして、蓄電池システムを併用してくシステムです。
 こちらも公共的な施設から、導入が進められるといいと思えます。

 何より、地震原発事故のような有事に備える防災設備として、太陽光パネルエネファームの類を、公共施設から率先して導入していってもらえれば、安心。
 市場も活性化されるでしょうし。単価が下がる効果も期待できるので、結局その面でも公衆の利益につながる。
 政府もエコポイントの手法で、もっと技術振興、市場育成の政策に力注いでほしいものです。


 東電が、原発なしのまま事業を続けるなら、ユーザーは、その分の値上げには応じてあげた方がいい、とは思うんですけど。(値上げ幅は要チェックですが)
 値上げに応じる分、消費者(ユーザー)の方では、節電したりいろいろ自衛手段も講じるよよ、と、それだけの話ですよね。

 ちなみに、アタシ個人は「東電には」原発稼動認めない、意見ですので。
 もし、東電が福島第2なり、柏崎刈羽なりの原発再稼動をするようなことになったら。今より意地になって節電のオニになったりして(笑)。

東電の稼動原発ゼロ状態は歓迎、その分の値上げは払ってあげる、つもりはある

 明日(26日)、東京電力が、新潟県で運営させてもらってる柏崎刈羽原子力発電所で、6号機が定期検査に入り、運転休止になる予定です。

 これで、東京電力は、抱えてる原発原子炉17基すべてが、止まることになります。

 アタシは、神奈川県民で東電ユーザーですが。
 東京電力の稼動原発ゼロ状態を歓迎します。
 その分値上げする電気代は払ってあげるつもりはあるから、10%値上げなんてボラないで、真面目に経営合理化(コスト圧縮)に勤めなさいな。


 東京電力が、福島第1原発でレベル7て大事故を起こした後、アタシも、後知恵ですけど、東電のリスク管理意識がいかに低いかは、よくわかりました。
 非常用発電機、建屋の海側に設置してたりね。

 東京電力は、原子力発電所なんて危険施設を運転していいような会社と思えません。
 今まで、東電に原子炉運転を認めてた経産省には、今からでも、「東電には」原発運転資格の剥奪など、厳正な処分を、是非、下していただきたい。
 福島県県議会が要請してる、福島第2原発の原子炉廃炉も、応じられるべきです。支持票を投じます。

 もし、経団連電事連と仲のいい経産省にはそこまではできないのだとしたら、新たに発足予定の原子力規制庁に「東電からの原発運転資格剥奪」を希望します。


 東電からは、「想定外の震災による不可抗力」だなんて、その場しのぎはもう聞きたくないですわね。

 東北電力女川原発は、福島第1原発よりも都合1m低い程度の大津波を被って、事故を起こさなかったではないですか。

 「東京電力は、東北電力のような津波対策をなぜしなかったのか。謝罪だけでなく、東北電力がしていた対策をなぜ当時施さなかったのかも、国民にきちんと説明するべきです。」
 若狭湾エネルギー研究センターの専務理事、来場克美さんが公にされた上のご指摘に、アタシもまったく同感です。
若狭湾エネルギー研究センターというのは、福井県から、研究用の多目的加速器などの管理運用を委託されている財団法人。所轄は、経済産業省資源エネルギー庁および文部科学省とのこと)


【参照用コンテンツ引用】

東電管内、今夏最大13%供給不足 全原発26日停止/再稼働、再建・値上げを左右日経web刊,2012/3/25)
東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機が26日、定期検査で運転を停止する。東電は17基ある原発すべてが止まり、今年の夏を「原発ゼロ」で迎える。政府は猛暑ならば管内の供給力が最大13%不足すると試算しており、昨年夏に続いて節電が欠かせない。東電は2013年度の柏崎刈羽の再稼働をめざしており、その行方が東電の経営再建や電気料金も大きく左右する。
〔後略〕

この夏の原発再稼動は、時期尚早でしょう

 野田首相は、「この夏に電力需要がピークを向かえる時期までに原発再稼動できるように、各原発施設立地自治体の理解を得る」旨、公言してます。
 その後、「与党民主党内からも時期尚早との意見が出てる」とかも報じられてますけれど。

 野田首相自身が、公に前言撤回したとも聞いてませんので、今でも「今夏までの再稼動」は、首相公約になってるはず。
(その辺、26日、27日にソウルで開催される「核安全保障サミット」で、首相が何を言うのか、要注目と思います)


 さて、アタシ個人は、「原発施設の再稼動は、原子力規制庁が発足した後、新体制でのきちんとした精査、検討を経て」て意見。
 ですから、民主党内の原発事故収束対策プロジェクトチームの意見「原発再稼働は時期尚早」の方が、うなづけます。

 原子力規制庁の発足に、3ヶ月かかるのか半年かかるのかは、知りません。
 国会で必要とされる期間だけ、検討してください。
 ただし、その間は、「国内のあらゆる原子炉施設は運転休止」にしてもらわないと、てのがアタシの意見です。


 こう書くと、必ず「日本経済にダメージが」て対抗意見が聞かれるはずですけれど。
 ここでアタシが言ってるのは、原子炉の「運転休止」。「廃炉」ではありません。
(再稼動か廃炉かについては、施設ごとに、周辺の広域も含めた住民投票に計るべきでしょう)


 日本経済が、原発の「運転休止」に伴うひと夏やふた夏の節電で、再起不能になるほど弱弱しいとは、アタシは思っていません。

 アタシは、1960年生まれでして、1970年代はじめと、70年代末〜80年代初頭にかけての2次のオイルショックの時は、ちゃんと物心がついていました。
 あの頃の大人たちも「日本経済は沈没する」みたいな風評におびえていましたが。実は、日本経済は、大きな危機を迎えて「それまでの方向から大きく舵をとった」後の方が活力を持つようです。
 2次のオイルショックのときもそうでしたし、1980年代後半の円高不況の後もそうでした。

 もちろん、原発の「運転休止」で日本経済がノーダメージで済むとも思っていませんけれど。
 ここは、「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と構えた方が、中長期的には、いいように思います。
(ちなみに、アタシは原発容認派で、中期的には、電力供給率を20%〜25%程度に押さえ込んでく方向がベスト・ミックス、て考えでいます)


 ただ、原発施設を抱えてる大手電力会社は、そんな悠長な構えもとれないでしょうね。
 それはわかります。
 大手電力会社にしてみれば、少しでも早く原発再稼動の既成事実を作りたいだろうことは、想像できます。

 だからと言って、3.11よりも前の旧態然とした体制で、なし崩しに再稼動されることが、いいこととは思えません。


 さて、23日付で、「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」が公開した記事「国内の原発事故対策、依然進まず」(“Japan's Nuclear Crisis Plan Still Lags”by Chester Dawson の日本語訳)は、「この夏の原発再稼働が、果たして時期尚早かどうか」アタシたち、日本国民が、それぞれ考えていくのに、とても参考になる記事と思えます。
 原発推進派だろうと、反原発派だろうと、中間派(容認派や現状維持派)だろうと、参考になる。

 ことに、原発施設立地自治体で暮らしてる方々、原発で事故が起きたら被害が及ぶ可能性のある範囲で暮らす方々、そして、原発事故が起きた場合、最初に被害者難民を受け入れることになる地域で暮らす方々の参考になるはずの記事です。


【参照用コンテンツ引用】

Chester Dawson「国内の原発事故対策、依然進まず(Japan's Nuclear Crisis Plan Still Lags)」(ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版,2012年 3月23日)
福井県敦賀市】 国内の原子力発電所の再稼働をめぐって重要な決定がなされようとしているが、驚くべき障害が明らかになっている。国内原発の周辺住民数百万人に対する緊急時計画は国際基準をはるかに下回っている。
 その結果、福島第1原発事故の際の避難区域内に十分入っているとしても、自治体の多くは今後発生する可能性のある同様の事故への準備が十分でないとみられる。

 今後数週間以内に、野田佳彦首相は福井県に当地の原発再稼働を正式に要請する見通しで、さまざまな論議を呼ぶことになるだろう。また、4月上旬までには、緊急時計画の不足に対処するために防災指針が改定され、新指針では、国内の原発再稼働が一段と難しくなる可能性がある。それぞれの自治体に地元で原発を容認する意向があるかどうかについてさらに意見を求めることになることが一因だ。


 昨年の福島第1原発事故を受けて、国内では原発の稼働停止が相次ぎ、国内の発電能力は3割ほど落ち込んでいる。現在稼働中の2基の原発についても来月下旬までには停止される予定となっている。電力各社は原発のストレステスト(耐性検査)の実施を求められ、経済産業省原子力安全・保安院の専門家による意見聴取会が原発の安全基準の再評価を始めている。
 こうした再評価で明らかになった最も厄介な事実の1つは、国内原発に最も近い50の立地自治体には、福島第1原発事故の規模ではなく、小さな事故に対処する計画しかないということだ。さらに、政府および自治体の当局者とのインタビューならびに、原子力安全委員会がまとめたデータによると、原発に最短の地域より外側の数十の地方自治体では、福島第1原発のような事故に対処する計画が全くない。

 原子力安全・保安院のデータに関するウォール・ストリート・ジャーナルの分析によると、国内原発から20マイル(約32キロ)圏内に位置する121の市町村の最大710万人の住民は、警告や避難、空中に飛散する放射性物質に対する医薬品による保護について信頼できる手段を持ち合わせていない。
 例えば茨城県では東海第2原発から18マイル(約30キロ)圏内の14の市町村に約100万人が暮らしている。茨城県の橋本昌知事はインタビューで、「うちの県の場合には、前々から自家用車を使わないと実際的な避難というのは無理だろうということで自家用車を使った防災訓練などもやっているけれども、一般的には自家用車を使えば交通混雑でとんでもないことになるので自家用車を使わないと言われている。ただ、そういったことについて果たして方針を変換していくのかどうか、そういう重要な要素がさっぱり分からない」と語った。

 新設される原子力規制庁の指揮の下、避難区域の拡大基準が来月にも発表される見通し。しかし政府当局者は原子力規制庁によるこうした政策の十分な実行を待たずに、閉鎖中の原発の再稼働を求める見通しだ。野田首相は今夏の電力需要がピークを付ける時期に間に合うように原発の稼働を再開すると公約している。
 ただ、その時期までに原発が再稼働されるかどうかはまだはっきりしていない。国内の電力各社は、再稼働の方向性は認められているものの、世論の反対を受けて態度を保留している。

 政府は原発依存の低減を公約しているが、イタリアやドイツのように、原発の全面廃止には言及していない。計画停電や電力不足を経験せずに夏のピークを乗り切ることができれば、わが国には原発が必要だという政府の主張が弱まることにもなりかねない。

 現在の防災指針で定められている「防災対策重点地域(EPZ)」の半径10キロメートルに代わり新たに半径30キロメートル圏内の「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定される圏内に入る地方自治体の多くは、災害対策が整うまでは原発再開には反対の意向だ。医薬品の蓄積といった基本項目で6カ月、新たな避難ルートの整備といった一段と大きなプロジェクトでは数年かかるとみられている。
 4月の指針改定では国内で採用されている現行の半径10キロのEPZに代わり、2段階からなるシステムが採用される見通しだ。つまり、小さい事故の際の3マイル(約5キロ)の緊急避難区域と、大事故の場合の18.6マイル(約30キロ)に及ぶ避難区域だ。同計画では新たな避難ルートおよび放射性物質を避ける避難所、放射線予防薬の準備、放射線測定場所のネットワーク拡大などが必要となる。

 この指針改定により、初めて国際原子力機関IAEA)の勧告に沿うものになるとともに、10マイル(約16キロ)の避難区域と50マイル(約80キロ)の食品・水の汚染地域を指定する米国の規定に近いものとなる。

 福島第1原発事故を受けて、原子力安全委員会原子力防災指針の見直し作業を進めている。同委員会は、既存の指針では現行の避難区域内に位置する地方自治体に対し、「日常生活に支障をきたさない」方法で、小規模な事故に備えるよう求めているにすぎない、と指摘した。また、委員会の調査で、原発の立地自治体のなかにはその程度の計画もないことが分かった。

 福井県の場合は、海岸沿いに13基の原子炉が位置し、なかでも敦賀市には原発2基が存在する。敦賀市に派遣された原子力安全委任命の専門家による昨年11月の調査では、緊急時計画は「不十分」との判断が出された。
 例えば、この専門家チームの追加報告によると、敦賀市の避難センターの1つは原発の入り口からわずか0.5マイルしか離れていなかった。また、敦賀市街の約8万人の住民に屋内にとどまったり、避難するよう警告する拡声器は全くなかったという。

 さらに同報告書によると、山地が海に迫る半島に位置する原発には、緊急救援隊が到着して住民を救出するのに狭い曲がりくねった道が1本あるだけだ。敦賀市立石地区の原発の裏手数百メートルの地域に住む72人の住民のうちの1人で漁師の浜上秋良さん(92)は、「1つの道しかないんで、逃げる方法がない」と話す。

 敦賀市の緊急指令センターは同原発から8マイル(約13キロ)の海沿いにあり、海抜わずか6フィート(約1.8メートル)に過ぎない。そこには無線のコミュニケーション手段はなく、放射能で汚染された大気を浄化するフィルターもついていない。
 敦賀市の状況は海岸線に位置する原発の多くの典型とも言える。米国の場合と異なり、原発の場所を選択する際の日本の基準は集団避難の可能性を考慮したものではなかった。防災指針の見直しを進めている国の原子力安全委員会防災指針検討作業部会の本間俊充主査は、それについて真剣な検討がなされなかったことは今では明らかだろう、と語った。

 原子力安全委員会は、最近では2007年に、原発の防災対策重点地域を18マイル(約29キロ)以上に拡大することを求めるIAEA勧告を、本間氏をはじめとする専門家の助言に基づき拒絶した。委員会は日本では深刻な事故は「技術的に起こり得ない」とする既存の指針を堅持した。

 その翌年、こうした政府の自信の証拠が示された。08年10月、福島第1原発で2日間に及ぶ防災訓練が実施された。この訓練では、原発の送水ポンプが壊れ、冷却システムが作動せず、50ミリシーベルト放射線量(原発作業員に対する年間の平均上限の2倍超)が放出されたと仮定された。
 訓練シナリオでは、漏れた放射線原発から1.2マイル(約1.9キロ)以内にとどまり、原発事業者による迅速な対応で被害は数時間のうちに食い止められた。周辺の2つの町の全住民1万8109人のうち、ごく一部の約1858人が、保育園と体育館の2カ所に避難した。ともに、原発から2マイル以内の距離にある。

 しかし、福島第1原発が震災に見舞われた昨年3月、こうした仮定が楽観的だったことが証明された。福島第1原発周辺では毎時400ミリシーベルトと極めて高い放射線が観測された。これは訓練での想定量を8倍上回るものだ。実際の事故では原発から最大30マイルの周辺住民数万人が避難を余儀なくされた。

 近く改定される指針では、避難計画地域が、現行指針で規定される原発立地自治体の範囲をはるかに超えるものに拡大される。30キロ圏内となる改訂後の同地域は、原子炉2基の敦賀原発周辺の場合、琵琶湖の北端に達する。琵琶湖は京都府大阪府の住民をはじめ約4100万人の飲料水の水源となっている。
 長期的な影響については依然明らかではないが、これまでのところ福島では放射線の被曝による死亡や病気の報告はなされておらず、健康への影響も現時点では懸念されたほどではないようだ。


 原発周辺地域の地方自治体の当局者のなかには指針の改定に異議を唱えている者もいる。住民や企業が懸念を深め、土地を離れてしまうのではないかとの思いが背景にある。敦賀市の河瀬一治市長はインタビューで、立地自治体は危険な地域だとみられるのは避けたいと語った。さらに、原子炉が最高の安全基準を満たす限りは、周辺自治体には懸念はない、と強調した。

 河瀬市長が率いるグループ(数十の原発の立地自治体を代表する)はここ数カ月間、原子力安全委員会に対し2回にわたって避難計画地域の拡大を再考するように嘆願するとともに、集団避難は実行不可能だと批判した。

 また、改定後の新規定でも十分ではないとの見方もある。既存指針の下では、原発の運営事業者は原発の立地自治体と話し合う必要があるが、近隣の風下の自治体との協議は義務付けられていない。そのため風下に当たる都市の自治体関係者らは苛立ちを強めている。というのも、原発を運営する電力会社に対し意見を表明する正式な手段がない上、原発立地自治体に交付される政府や業界からの補助金の対象ともならないからだ。

 藤村修官房長官は16日、定期検査で運転停止中の原発の再稼働手続きで、事前に説明して合意を得る地方自治体の範囲を、原則として原発から半径10キロメートル圏の自治体に限る考えを示唆した。これを受けて、10キロ圏外ながら原発に比較的近い一部自治体から反発の声が上がっている。

 緊急時の対応計画について現在、見直しを求められている自治体の1つは京都府舞鶴市だ。人口は8万7000人で、自衛隊舞鶴基地もある。
 舞鶴市の境は高浜原発から6マイル(約9.7キロ)圏内にあり、舞鶴市には数百世帯を避難させる基本計画はある。同市は住民に原発事故に関し、「窓を全部閉めてください」とか、「口にハンカチを当ててください」「帰宅したら顔や手をしっかり洗って下さい」といった基本的なアドバイスを記したハンドブックを支給している。


 原発の防災指針で定められている「防災対策重点地域(EPZ)」の半径10キロメートルに代わって新たに半径30キロメートル圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定する案が実現すれば、初めて舞鶴市全体が重点地域内に入ることになり、深刻な事故が発生した場合には市全体が避難の対象となる可能性が高まる。
 医師でもある舞鶴市の多々見良三市長は、5月までに市の暫定計画を策定すると表明した。計画には、市役所の全機能を一時的に他の場所に移したり、避難ルートを策定し始めることなども含まれる。多々見市長はインタビューで、「(深刻な事故に際して)われわれ全部が逃げなければならないのであれば、(周辺自治体ではなく)立地自治体だ」と述べ、「同じ被害を受けるものについては、(立地自治体と)同じような(原発)再稼動判断をさせていただくのが普通ではないか」と語った。

 近い時期の原発再稼働が可能か――そして、周辺自治体の準備が整っているか――を試すケースは、福島県おおい町に位置する大飯原発の4基の原子炉だ。大飯原発はかつて京都府大阪府の消費電力の最大20%を供給していたこともあった。

 国内の公益事業関連当局者や原子力安全・保安院(NISA)は、大飯原発の2基の原発について再稼働を検討している。公益企業の幹部やNISAの当局者らは、大飯原発の第3号機と第4号機は、福島第1原発事故後に導入された「ストレステスト」を最初に合格する見通しだとしている。
 NISAの報告書は、ストレステストで、大飯原発とその使用済み燃料棒が「想定基準の1.8倍の地震に見舞われても」引き続き冷却可能であることが示されたと指摘した。
 また同報告書によると、11.4メートルの津波にも持ちこたえられる見込みだ。同報告書は、歴史的な記録では、福井県おおい町では同水準を超える津波は示唆されておらず、同原発には災害の脅威に対処する「十分な余地」があると結論付けている。

 しかし、地元当局者らは、災害の可能性は小さいかもしれないが、可能性への十分な備えはできていないと語っている。敦賀市の場合と同じように、大飯原発周辺住民に対し指定された緊急避難所は原発の入り口から0.5マイル(0.8キロ)弱の学校となっている。また、おおい町の災害警告システムは約2.4メートルの位置に設置された拡声器に主に頼っている状況だ。
 緊急時指令本部は海辺から数メートル程度しか離れておらず、海抜は約1.8メートルだ。大飯原発が位置し周辺住民が暮らす半島からの唯一の避難ルートは8キロほど続く崖に面した道だけで、この道は約640メートルの2車線の橋につながっているが、冬場はこの橋は凍りつく。

 おおい町総務課の新谷博樹主査は「今調査中だ。数年前から新しい道路が必要だという話があったが、今まで作っていない状況だ」と語る。

政府が政治判断で原発再稼働に踏み切るのは時期尚早

 22日付の報道によると、「民主党原発事故収束対策プロジェクトチームが『政府が政治判断で原発再稼働に踏み切るのは時期尚早』とする報告書をまとめた」んだとか。

 「政府が政治判断で原発再稼働に踏み切るのは時期尚早」なので、「技術的にも制度的にも社会的にも、安全を判断する前提を早急に整えなければならない」て報告書をまとめたんだそうです、報道によれば。

 なるほど、それはもっともな意見よね、って思えます。
 政府が、4月1日予定で見込んでた原子力規制庁の発足、関連法案の国会審議も動きそうにないようですし。


 で、その先の、民主党原発事故収束対策プロジェクトチームの行動予定が、よくわかんない。


 民主党原発事故収束対策プロジェクトチームは「今後、再稼働に前向きとされる別のPT〔プロジェクトチーム〕と調整した上で、党の意見として政府に提出したい考えだ」。

 うーん(??)……「党としての意見」が出るんなら、出ないよりはいいのでしょう。
 今の野田内閣には、何かの働きかけは必要でしょうから。

 けど、「党としての意見」まとまるのかしら?? 民主党
 まとまるとして、どんな中身で??


 アタシは、原発再稼動の是非を「政府の政治判断」とやらで決すのには反対な意見です。

 政府が−−というか、バランスのとれた専門機関が審査して、要件は満たした、と認可したらその上で、施設の周辺も含んだ広い地域の総意に問うべき、と思えます。

 具体的には「再稼動を求める施設側(電力会社)、再稼動に反対する団体、中間派で透明性と公開性の高い弁論大会」をして、その後で、住民投票に計る(弁論大会の主催は、原子力規制庁に任せたいかな?? 考え中です)。
 これが、今のアタシに考えられる内で、ベストにもっとも近い案なのですが。

 そんな考えですので、民主党原発事故収束対策プロジェクトチームの意見とされる「技術的にも制度的にも社会的にも、安全を判断する前提を早急に整えなければならない」件には、アタシも概ね同意です。

 けれど「安全を判断する前提」を整える間、各地の原発施設はどうしようってつもりなのか??

 そこがわかんない。

 はっきりと「運転休止状態継続」を宣言して、「再稼動の是非」は、「安全を判断する前提が整った後に仕切りなおして再検討」とも宣言するのが、筋と思えます。
 アタシがここで書いてるのは「運転休止」であって「廃炉」ではありません。必要な準備を進める間は、「運転休止」。そして、準備が整ったところで検討再開、て筋がすっきり通ってますよね。


 民主党内の再稼働に前向きとされるプロジェクトチームと調整した結果、党としての意見が、玉虫色になっちゃったりしないでほしいですね。


【参照用コンテンツ引用】

原発再稼働は時期尚早=民主PTが報告書時事ドットコム,2012/03/22)
民主党原発事故収束対策プロジェクトチーム(PT、座長・荒井聡元国家戦略担当相)は22日の会合で、政府が政治判断で原発再稼働に踏み切るのは時期尚早とする報告書をまとめた。報告書は「技術的にも制度的にも社会的にも、安全を判断する前提を早急に整えなければならない」と強調。今後、再稼働に前向きとされる別のPTと調整した上で、党の意見として政府に提出したい考えだ。
荒井座長は会合後、記者団に「安全性の基準をつくって法律化するのが難しいなら、暫定基準を定めるべきだ」と語った。

敦賀市市長の「原子力規制庁の立ち上げがないと原発再稼動の議論はできない」て意見はもっとも

 報道によれば、日本原子力発電が運営する敦賀発電所を擁す福井県敦賀市の河瀬一治市長は、22日、枝野経済産相と会談。その後の記者会県で、「原子力規制庁の立ち上げがないと原発再稼動の議論はできない」と発言するなど、原発の安全規制には規制庁の発足が欠かせない旨、主張されたそうです。

 これは、当然、敦賀市長としては、そのように考えざるを得ない、という意味でしょう。

 NHKのNEWS webにて公開されたコンテンツ「保安院“規制庁発足するまで業務”」他、複数の報道メディアが報じていました。
 NHKの報道は、原子力規制庁が4月1日に発足することが難しくなっている国会情勢を受け、原子力安全・保安院側から「規制庁発足まで、安全・保安院が安全規制の業務に当たっていく」と表明したことをメインに報じたコンテンツです。

 で、NHK報道によれば、安全・保安院側は「保安院への信頼については、いろいろ意見があると思うが、規制庁が発足するまでは最大限努力していく」と、述べたとも。


 アタシは、敦賀市市長の意見の方がもっともだと思います。
 安全・保安院にしてみれば、「やることになってる仕事」を粛々としなくてはならない、立場なのでしょうけれど。

 例えば、敦賀原発と同じ福井県にある大飯原発関西電力)について、原子力安全委員会は、安全・保安院が評価をとりまとめたストレステスト1次を了承しつつ、同時に、「2次評価も加えなければ安全性の確認はできない」としています。

 もし、原子力安全・保安院が、その業務について「最大限努力していく」と、本心から言っているなら。政府に対して「2次評価をまとめるまで、再稼動の政治判断は待っていただきたい」「そうでなけば、業務責任を果たせない」と上申すべきでしょう。
 保安院がそうした筋も通せないなら、「原子力規制庁の立ち上げがないと原発再稼動の議論はできない」と、敦賀市市長が言われるのも当たり前です。

 敦賀市の河瀬一治市長さんが、どのような方は、アタシは存じ上げていませんけれど。少なくとも反原発路線の政治家さんではないだろと、思えます。
 アタシ自身も原発容認派なので、推測できるつもりですが。例えば、河瀬一治市長は文部科学省副大臣に、実験用高速増殖炉もんじゅの運用継続を要請なさったことも、報じられています。
 そういう立場の市長さんが、「原子力規制庁の立ち上げがないと原発再稼動の議論はできない」とまで言われたことを、政府は、野田首相は重く受け止めるべきです。


 他方、福井県の西川一誠知事は、国に「福島第1原発事故の知見を反映した安全基準を示すよう」求めている、とも伝えられています。
 アタシが思うには、敦賀市市長も福井県県知事も、「少なくとも、原子力規制庁が発足するまでは、原発再稼動の検討は凍結(規制庁発足後に、検討再開)する」ように、政府に要請していただくとよいように思います。同時に、国会の代議士たちにも働きかけていただければ。

 原子力規制庁が発足まで、原発再稼動の検討は凍結しながらも、各電力会社のリスク管理思想や、施設の安全性の精査は、安全・保安院他に重ねてもらえばいいのではないですか?
 その方が、安全・保安院も「最大限」の努力ができるはずでしょう。


 関東人で、神奈川県民のアタシが、他地域、他県の行政にあれこれ言うのもナンですけど。
 「少なくとも、原子力規制庁が発足するまでは、原発再稼動の検討は凍結」の要望を、政府と国会に働きかけていただければ、それは、アタシたち国民全体の利益につながりますので。期待したいと思います。


 ちなみに、アタシは、個人的には、原子力安全・保安院には、まったく信頼は置いていません。

 理由は簡単。
 原子力安全・保安院は、2011年の国会答弁で、チリ津波級の大津波が押し寄せたとしても、メルトダウンが起きないような原子炉運用を監督してる、って主張をしてた組織だからです。
 2011年当時は、そうした保安院の主張を国民が信任してきた形になっていたわけですけど、3.11以降は、もうそんな信任成り立ちません。保安院の監督下で、メルトダウン起こしちゃったんですから。


【参照用コンテンツ引用】

保安院“規制庁発足するまで業務”NHKNEWS web,3月22日)

国の原子力の安全規制を担う「原子力規制庁」が来月1日に発足することが難しくなっていることについて、原子力安全・保安院の森山善原子力災害対策監は「作業に空白が生じないよう最善の努力を尽くす」と述べ、規制庁が発足するまでの間、安全規制の業務に当たっていく考えを示しました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、政府は、原子力の安全規制の業務を一元的に行う「原子力規制庁」を環境省の外局として来月1日に発足させる予定でしたが、設置法案の取り扱いを巡って与野党の調整が難航し、来月1日の発足は難しい情勢です。
これについて、原子力安全・保安院の森山善原子力災害対策監は「ストレステストの審査や福島第一原発の安全確保を維持する対策など、規制機関としてやるべき課題がある以上、組織が存続する間は作業に空白が生じないよう最善の努力を尽くす」と述べ、規制庁が発足するまでの間、安全規制の業務に当たっていく考えを示しました。
一方、原発が立地する福井県敦賀市の河瀬一治市長が枝野経済産業大臣と会談した際、「原子力規制庁の立ち上げがないと原発再稼動の議論はできない」と発言するなど、原発の安全規制には規制庁の発足が欠かせないという指摘も出ています。
これについて、森山原子力災害対策監は「保安院への信頼については、いろいろ意見があると思うが、規制庁が発足するまでは最大限努力していく」と述べました。

「安全性の担保なければ議論できない」と敦賀市長msn産経ニュース,3月22日)
日本原子力発電敦賀原発が立地する福井県敦賀市の河瀬一治市長は22日、東京都内で記者団に対し、法案審議が遅れている原子力規制庁の発足や暫定的な安全基準の提示で安全性が担保されない限り、「再稼働の議論はできない」と話した。
河瀬市長はこれに先立って枝野幸男経済産業相と会談し、安全対策の充実を要望。また、原発が市の収入や雇用に貢献してきたことに触れたうえで、「(原発の長期停止で)経済や雇用への不安もある」と述べ、交付金の手当などの財政支援を求めた。
これに対して枝野経産相は、敦賀市が長年にわたって原発に協力してきたことを指摘。「必ずそのことを踏まえた対応を行っていく。そのことは地元に対する責任だ」と話した。
政府は原発の安全規制の役割を経産省原子力安全・保安院から環境省の下に新設される原子力規制庁に移す方針。しかし国会で関連法案の審議が始まっておらず、発足時期が予定されていた4月からずれ込む公算が大きくなっている。

福井・大飯原発:安全委が「評価」了承 班目氏「2次も重要」毎日jp,3月24日)

内閣府原子力安全委員会は23日、定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の前提となる安全評価(ストレステスト)の1次評価について、問題ないとの確認結果を決定した。安全委が安全評価を了承したのは初。近く、野田佳彦首相と関係閣僚が協議し安全を確認。地元説明に入り、理解が得られれば再稼働を政治判断する。だが、福井県などは再稼働に慎重な姿勢を示している。

安全評価は、原発が想定を超える地震津波に襲われた時、深刻な事故に至るまでにどの程度余裕があるかを調べる。再稼働の判断に使う1次評価と、運転継続を判断する2次評価がある。

関電によると、両基は想定より1.8倍大きい地震の揺れや、4倍の高さの津波でも炉心損傷しないとした。経済産業省原子力安全・保安院も妥当と判断した。安全委は23日の会議で、「東京電力福島第1原発事故を踏まえ、(非常用電源の確保など)緊急安全対策の効果が示されたことは重要なステップ」との見解を示し、問題はないと結論づけた。会議が5分で終了すると、傍聴者が「2次評価なしで安全性の責任が取れるのか」と叫び騒然となった。

終了後、記者会見した班目(まだらめ)春樹委員長は「1次だけでは不十分で、2次まできちんとやってほしい。安全性の確認は保安院が責任をもってやるべきで、安全委はその確認をするだけ。再稼働の判断をするのは政府だ」と語った。

一方、福井県の西川一誠知事は、国に福島第1原発事故の知見を反映した安全基準を示すよう求めているが、その基準の実施を盛り込んだ法案成立の見通しは立たず、原因究明を目指す政府や国会の事故調査委員会の調査も終了していない。【河内敏康、岡田英】

普通の女の子がプリキュアになる物語(映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち)

 17日に、劇場公開初日の『映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち』を観てきました。
 アタシ、プリキュアの映画は、公開後早めの土日か祭日の、午後一の回観にいくようにしてるんです。小さなお子様連れの若い親御さんが多くて。観客席の雰囲気も楽しい♪

 それはさておき、「プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち」は、劇場アニメとしても、素晴らしい出来です。

 テレビで大人気の子供向けアニメ「プリキュアシリーズ」の、劇場用特別編「オールスターズ」。4作めの「みらいのともだち」で、まさに「ニューステージ」に到達☆
 傑作です☆


 プリキュアのアニメを、この「みらいのともだち」で初めて観る人がいても、メインの物語が掴めるくらい出来がいいです。テレビシリーズの映画化って、どうしても、テレビの方を観てないとわかんないような間口の狭さに傾きがちですけど。
 「みらいのともだち」は、とても間口の広いアニメです。そこがいい。

 「初めて観る」大人の人が楽しめるかどうかは、人にもよるでしょうけれど。
 少なくとも、どんなテーマを巡るドラマが描かれてるかは、わかるはず。

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 もし、『映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち』で、はじめてプリキュアアニメを観る、大人の人がいるとしたら。
 まず、「プリキュアって何??」てのは、最初の小さなつまづきになるかもしれません。

 でも、「オールスターズ NewStage みらいのともだち」では、プロローグにあたる冒頭パートで、「プリキュアってどんな存在」か、とりあえずのイメージは、その一面がとっかかり的に描かれます。すぐに続いて、劇中の世の中の方で「プリキュアがどう見られているか」も軽くスケッチされてく。

 その後、横浜に引っ越してきて間もない1人の普通の女の子、あゆみちゃんが「ニュースとかで報道されるプリキュア」に憧れる気持ちとかも描かれる。
 さらにいろいろあって、あゆみちゃんは、それとは知らずに、実はプリキュアになる女の子たちと知り合っていくんですけど。いろいろなエピソードを通して、「女の子にとってプリキュアがどんな存在か」、充分に描かれていきます。

 だから、「みらいのともだち」で、初めてプリキュアアニメを観る人がいても、はじめっから「プリキュアが何か」理解しようとする必要はない。
 映画の流れに浸っていけば、自ずと呑み込んでいけることでしょう。

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 「オールスターズ NewStage みらいのともだち」は、宣伝チラシとかに「女の子は誰でもプリキュアになれる」ってキャッチコピーが刷ってあったりするアニメです。
 けれど、映画を観ていくと、1人の普通の女の子(あゆみちゃん)がプリキュアになるのに何が必要なのか、もどかしいような惑いを通して、くっきり描かれていく。

 劇中で、あるプリキュアは、あゆみちゃんに「私たちは強いからプリキュアになったんじゃない」って言う。
 別のプリキュアは「友達が悪いことをしたら、それを止めるのも友達だと思うよ」って、あゆみちゃんを励ます。
 こうして、プリキュアたちに励まされて、1人の普通の女の子、あゆみちゃんは、一時だけプリキュアになって「みらいのともだち」を救い、「みらいのともだち」に守られる。

 物語のテーマが読みとれる、「みらいのともだち」の主筋はこんなふうです。


 「物語のテーマ」ってのは、作品を、よりよく読み解いていくのに応じて、色んなニュアンスで言い換えが出来ていくものです。
 「テーマ」は、「作品の主題」と重なってはいるんですけれど、別レイヤーの事柄。

 文部省の国語教育に沿ったテストで、○×採点できるのは「主題」の方なんですね。
 「テーマ」−−正確に言えば、物語内容のテーマは、○×採点なんかできない。正解の定まらないもの、なんです。
 正解は定められないけれど、「より良く言い当ててる」とか、「ちょっと偏ってる」とか、「無理がある」とかは言える、そんなもん。

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 で、『映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち』のテーマですけど。
 アタシは、とりあえず「みらいのともだち」がキーワード−−テーマを読みとっていく時のキーワードになるって、言ってみます。


 あゆみちゃんは、何かの事情で横浜に転校してきたばかりの中学2年生女子。友達がいない学校にもまだ馴染めてないし、転校なんかしたくなかったって思ってる。
 けれど、お母さんは、今さらそんなこと言わないでみたいに取り合ってくれないし、あゆみちゃんの方でも、自分の気持ちをうまくお母さんに伝えられない。

 中2くらいの青少年なら、女子でも男子でも普通に体験する家族の間の食い違いですけれど。
 あゆみちゃんの場合、転校したばかりの横浜で、話しながら自分の気持ちや考えを解きほぐしていけるような友達もいない。
 それで、ふさぎがちになってるあゆみちゃんですけど。たまたま、不思議な小さな生き物をみつけて、「フーちゃん」と名づけると、友達感覚のペットみたいにして可愛がっていきます。

 この「不思議な小さな生き物」フーちゃんと、あゆみちゃんの関わりが、「みらいのともだち」を巡る物語の焦点になっていく。


 別の記事でも書いてみましたけれど、プリキュアアニメを観たことが無い大人の人が、初めて観るときに、大きなハードルになるのが、この「女の子と、不思議な小さな生き物との交流」かと思えます。

 1つの観方として、現実の世の中で「想像上のともだち(イマジナリー・フレンド)」と呼ばれるタイプの架空キャラクターが、物語の内で具象化されて描かれるのが、作中の「不思議な小さな生き物」たちって面はあるでしょう。
 別の観方をすると、3歳児〜小学生低学年くらいの主に女の子の幼児を、筆頭視聴者に想定してる気配のプリキュアアニメで、小さな女の子にもわかりやすい心情を体現するのが、「プリキュアの不思議な小さな生き物」キャラクターって思えます。

 シリーズのアニメで描かれる「プリキュアになる女の子」たちは、概ねが中学2年生に設定されているんですけど(2、3の例外はあり)。
 そうすると、プリキュアアアニメで繰り返し描かれる「プリキュアになる女の子と、不思議な小さな生き物との交流」は、中2前後の女の子と、「幼女の心情」との交流の描写、その様々なヴァリエーションってことは言えます。

 この辺が、実在の小さな女の子たちに、プリキュアシリーズが、圧倒的に親しまれてる魅力のポイントになってるのでしょう。

 プリキュアシリーズのアニメではどの作品でも、「中2前後の女の子が、幼子のような心情を大事にしながら、進んでいく様子」が描かれてる。そんな言い方もできます。


 ところで「みらいのともだち」の物語では、あゆみちゃんと友達になる不思議生き物のフーちゃんが、とても怖いことや悪いことをしちゃう。
 けれど、そうしたフーちゃんのネガティブな言動も、幼児的な心情の一面として描かれてく。

 この関連の描写の強い訴求力(訴えかけてくる力)は、これまでのプリキュアアニメの内でも、ちょっと類をみないと思います。
 関連作でも、何クッションかを挟んで、実は子供っぽい悪役、とかが描かれた例はあるけれど。フーちゃんみたいな直裁さで、「不思議な小さな生き物」の言動が、幼児的な心情のネガティブな面を体現する例は、ちょっと思い出せません。


 「みらいのともだち」の物語では、「伝説の戦士」プリキュアに憧れる1人の普通の女の子、あゆみちゃんが、フーちゃんとの関わりで、とても怖いめにも会います。
 でも、あゆみちゃん、フーちゃんが悪いことや怖いことを仕出かすのも、「あたしのせいだ」って思いつめちゃう。
 あゆみちゃんにしてみると、フーちゃんが悪いことをしてるのは、自分が一時の感情から言い放った言葉を真に受けてのことで、フーちゃんはフーちゃんなりに自分(あゆみ)のことを守ろうとしてるんだ、って確信があって思いつめてく。

 そんなあゆみちゃんに、プリキュアは「友達が悪いことをしたら、それを止めるのも友達だと思うよ」って言う。
 あゆみちゃんは、プリキュアたちに励まされ、助けられながら、悪いことをしてるフーちゃんに、謝りに行きます。もう、悪いことを止めてほしいから。

 フーちゃんに謝りに行く途中で、あゆみちゃんはプリキュアになる。
 そして、ちょっと哀しいけれど希望のようなものを取り戻す経験をします。
 そんな物語が「みらいのともだち」の物語。


 プリキュアシリーズで描かれるプリキュアたちは、誰も、「小さくて可愛い不思議な生き物」と出会ってプリキュアになって、「小さくて可愛い不思議な生き物」との関わりを通して、「プリキュアとはどんな女の子なのか」、それぞれに納得していくんですけど。
 「みらいのともだち」の物語で、あゆみちゃんがフーちゃんとの関わりでプリキュアになる物語は、そんなプリキュアアニメの内でも出色です。

 アタシが思うには、あゆみちゃんが経験していく「ちょっと哀しいけれど希望のようなものを取り戻す経験」は、たとえば歌謡曲の「上を向いて歩こう」を歌う時に感じるみたいな、哀しさと希望が入り混じった経験だと思います。
 おそらく、メインの視聴者である小さなお子さんたちにも、ちょっと哀しいけれど、不思議な余韻を記憶に残す物語として、楽しまれることでしょう。

原発再稼動の是非を巡る「合意」

 16日の報道で、政府が「運転停止を休止した原子力発電所の再稼働の手続きについて、事前に説明して合意を得る地方自治体の範囲を、原則として原発から半径10キロメートル圏内とする」との方針を固めたことが報じられました。

 一方で、今の国会に提出されてる原子力規制庁設置関連法案が成立すれば、新たに半径30キロメートル圏内が「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定される見込み。圏内の自治体に防災計画の策定を求められるようです。

 日経Web刊の報道によれば、藤村官房長官が16日の記者会見で、「〔合意を求める対象と、UPZの範囲は〕内容が全然違う。連動しない」と表明したようです。
 短く要約された発言でしょうけど。
 それにしても意味がわかりません。


 「一部の周辺自治体は、防災指針の見直しの趣旨を踏まえ、30キロメートル圏に事前説明するよう求めている」とは、同じ日経の報道ですが。
 一部だけではなく、少なくとも、半径30km県内の自治体は、歩調を合わせて、事前説明を政府に要求すべきでしょう。ぜひ、していってほしい。

 さらに言えば、一方的な「事前説明」などではなく、公開性と透明性のある、「質疑応答」の手続きを求めるべきと思える。
 「合意を得る」と言うからには、「公開性と透明性のある、質疑応答の手続」は必要なはず。
 もちろん、メディアが“やらせ”と報じた、九電の粉飾的情報操作の類が無いように厳重にチェックして。
(九電がやってたやり口を、単に“やらせ”と呼ぶのは手ぬるいです。だって、まるで総会屋の手口ではないですか)


 アタシが思うには、半径30kmどころか、半径70kmの自治体は、そうした要求を政府にしていく必要があると思います。
 だって、原発で事故が起きた場合、最初に被害者難民を受け入れなければならない自治体だってあるわけですから。
 当然、3.11以降は、安全に避難できるルートの複数敷設、などは、電力会社の責任で整備してもらわないと。
(国庫からの資金で整備する、というなら、それも「安価」だと言われ続けていた原子力発電のコスト計算に含めてもらわないと)


 いったい、何がどう「連動しない」のか?? 藤村官房長官の発言は(報道を読むだけでは)アタシには、意味がわかりません。

 意味がわからないことは、「どういう意味ですか?」と尋ねるべきですが。
 この場合、周辺自治体には、足並みをそろえて「連動しないとは、どういう意味ですか? なぜ連動しないと言えるのですか??」てことも尋ねていっていただきたい。
 その類の地道なやりとりは、「3.11よりも前のやり方」と大差ない、不透明で信頼性の乏しい言いくるめを退けていくのに、必要なんだと思えます。


 アタシが思うには、原発再稼動は、してもいい電力会社と、させるわけにはいかない電力会社があると思います。
 もちろん、危険度の高い施設と、低い施設もあるでしょうけど。
 リスク管理意識の低い電力会社には、再稼動をさせるべきではないと思う。

 つまりは、アタシは一部再稼動は容認の立場なのですが。
 そんなアタシの立場でも、「311より前と変わらないような旧態然とした管理体制」のままでの、なし崩し再稼動は、ご免被りたい。

 反原発派の方々にも、性急な原発停止を求めるばかりでなく、アタシのような中間派とも共闘可能な路線も、考えてみていただきたい、と思います。
 原発停止(積極的脱原発)は、それはそれで数年の議論が無いと、広い合意や納得は得がたい主題と思います。

 別の記事でも書いてることですけれど、とりあえず、原発運転休止に持ち込んで、廃炉か再稼動かは、時間をかけて検討した方がいいように思えます。


【参照用コンテンツ引用】

原発再稼働、事前説明は10キロ圏自治体に限定/政府方針 30キロ圏自治体は反発日経web刊,2012年3月16日)

政府は16日、定期検査で運転停止中の原子力発電所の再稼働の手続きで、事前に説明して合意を得る地方自治体の範囲を、原則として原発から半径10キロメートル圏内とする方針を固めた。範囲を30キロメートル圏に広げるよう求めている一部の自治体は反発している。
内閣府原子力安全委員会が現在、原発の防災指針で定めている「防災対策重点地域(EPZ)」は半径10キロメートル。政府が今国会に提出した原子力規制庁設置関連法案が成立すれば、規制庁が従来の防災指針を改め、EPZに代わって新たに半径30キロメートル圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定、圏内の自治体に防災計画の策定を求める方針だ。

一部の周辺自治体は、防災指針の見直しの趣旨を踏まえ、30キロメートル圏に事前説明するよう求めている。藤村修官房長官は16日の記者会見で、合意を求める対象と、UPZの範囲は「内容が全然違う。連動しない」と表明し、10キロメートル圏の自治体に限る考えを示唆した。ただ「画一的に決めるわけではない。地元の状況をみながら最終的に政治レベルで判断する」とも語った。

再稼働の判断が近づいている関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の場合、半径30キロメートル圏には京都府滋賀県の一部が含まれるが、10キロメートル圏なら福井県内だけが対象になる。大飯原発の再稼働に難色を示している滋賀県嘉田由紀子知事は16日、「原発事故という前例のない大災害を引き起こした自覚が国にはないのではないか」と藤村長官の発言を批判した。

安全委は来週にも、大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性調査)1次評価結果についての報告書をまとめる。これを受けて野田佳彦首相と藤村長官、枝野幸男経済産業相細野豪志原発事故担当相の3閣僚が協議。再稼働が可能と判断すれば、大飯原発の周辺自治体の合意を得る手続きに進む。