東京都の猪瀬副知事ら川崎天然ガス発電所を視察(NHK総合「首都圏ネットワーク」)

 昨日(23日)、NHK総合(地上波)の夕方やってる「首都圏ネットワーク」で、東京都の猪瀬直樹副知事が、東京都環境局職員らと、川崎天然ガス発電所を視察した様子が報じられていました。

 川崎天然ガス発電所は、液化天然ガスLNG)を利用する火力発電所。JX日鉱日石エネルギー株式会社、株式会社ニジオなどを株主とする発電会社(川崎天然ガス発電株式会社)が、2008年から営業運転中。

 同発電所は、2機の発電機で、一般家庭27万世帯分に概ね相当する電力を供給。この発電量は福島第一原発1号機の発電量と、ほぼ同等とのこと。

 NHKのアナウンサーによれば「東京都は、(東京電力以外の)電力供給選択肢も検討したい」って狙いでの視察、とのこと。


 このニュースで報じられた猪瀬副知事の談話は、要点がわかりやすかったです。

原発1個ですよね。そういう意味で、これだけ狭い敷地でやれるってということは分散型の発電というものが可能である、と。
 太陽エネルギーって言うけれど、10年や20年かかりますから。理想を語るのもいいけど、現実的な、あの、策を考えていかないと」

 「分散型の発電というものが可能」ってとこが、これからの電力供給のポイントなんですよね。
 このポイントを認められる人と、認めない人がいて。概ねは、世代的なものと、立場的なものが絡んで左右されてるんじゃぁないかしら。


 谷垣自民党総裁とか、今の経団連会長とかは、分散型発電網のメリットを認めようとしない人、ですね。

 分散型発電は「効率が悪い」とか言う意見もあって、大規模発電所をポータルとした従来型を重視する立場の人はよく言ってますけど。
 「分散型」はリスク分散でもあって、そのメリットは、頭から検討しようとしない例が多いですね。
 猪瀬副知事は、少なくともそっちの立場でもないんだろうと思えます。


 ちなみに、猪瀬副知事は、報道談話で、太陽光発電のことを「10年や20年かかります」って言ってるけど、これは、多分、副都知事の勘違いでしょうね。
 「分散型発電」のシステムに移行していくなら、その移行度合いに応じて、太陽光発電への依存度も自然に伸ばしていけるからです。
 太陽光発電自体は、今は原子力発電と同程度(助成金や、使用済み燃料棒の処理代金も含めるならば)か、やや高いくらいのコストだけど、実用化はされてるわけです。発電量の不安定さなどがネックなだけで。
 昼間の電力消費ピーク時とかに、太陽光発電供給への依存率を高めることはむしろメリット。最近の発電パネルは、曇りであっても日中なら発電はできるよう、高性能になってるそうです。


 もちろん、LNG火力発電なんかも並存させて、補い合いながら、分散させていけば構わない。それも分散型発電のメリットですから。
 そういう、分散しつつの補い合いが、猪瀬都知事も「可能性がある」って言ってた、分散型発電の真骨頂ですから、その点「10年や20年かかります」って言うのは勘違いでしょう。


 繰り返しますけど「分散型発電に移行」していくのならば、「移行程度に応じて、太陽光発電も実用度(供給率)は伸びてく」はずなんです。
 伸びていかないとしたら、それは制度的障害――規制とか、従来の電力会社保護政策とかのせいなんですね。


 分散型発電のメリットを充分に活かしていくための、中、長期の課題が、スマートグリッド送電網を活用した送電発電の分離、ってことになるわけです。