原子力施設立地自治体の知事協議会、原発関連のより詳しい説明を政府に求める旨、決議

 昨日(16日)、原子力発電所など原子力施設を抱える県や道14の知事さんが組織してる団体、原子力発電関係団体協議会が、原発などの安全基準の考え方について、より詳しい説明を政府に求める旨、決議したそうです。

 複数のメディアで報じられてます。
 アタシは、昨晩、NHK総合(地上波)で放送された「ニュースウォッチ9」の報道が、最初に接した関連報道でした。


 NHKニュース報道コンテンツによれば、原子力発電関係団体協議会は、「(福島原発の)事故原因究明や静岡県にある浜岡原発の運転停止要請について説明をするとともに、今後の安全対策について基準などを示すよう、要請する」ことを決めたとのこと。

 地元に原子力施設を抱える自治体の知事さんとしては、当然の要求と思えて、理解はできます。
 ただ、「福島原発の事故原因究明」は、中期〜長期の課題になるはず、「浜岡原発の運転停止要請について説明」の方は、より詳しい説明を求めることについては、「できるだけ早く」の要請であるはず、と思えます。

 「今後の安全対策について基準を示すこと」は、どうでしょう? これ、おそらく、海江田経済産業大臣が9日、11日、繰り返し、浜岡原発以外の原子炉運転再開について安全性は国が保障する旨発言したことを受けてのものと思えます。

 報道を読んでいると、原子力発電関係団体協議会の政府に対する要求、もっともなものではあるけれど、短期、中期と、長期の課題を同列に並べて要求しているかに思えちゃいます。
(例によって、要約がきつすぎるNHK報道、などからでは、ほんとうにそうなのか、よくわからないのですが)


 もしかしたら、原子力発電関係団体協議会の知事さんたちの間にも、政府への要求にニュアンスの違いがあって、要求の優先順位までは絞りきれなかったのかもしれません(??)。
 例えば、昨日放送の「ニュースウォッチ9」では、知事さんたちの次のような発言が報じられてたので、個人的に、そんな可能性(知事さんたちの間にも要求ニュアンスの違いがある可能性)もあるかしらー、くらいに思っただけですけど。

茨城県知事談話(「ニュースウォッチ9」報道)
「浜岡と自分のとこの原発が、どこがどう違うのか。それが分からないとなかなか(運転再開の)ゴーサイン出せないんじゃないかな、と思っております」

島根県知事談話(「ニュースウォッチ9」報道)
「国のエネルギー政策というのによって、この原発というのは進められていますからね。やっぱり、国の考え方とかを、やはり整理し、それが妥当かどうかちゅぅのを自治体が、そこで判断してくってことでしょうね」

佐賀県知事談話(「ニュースウォッチ9」報道)
「現時点では、とにかく(政府の)話を聞いてみないことには、っていうことに尽きると思っています」


 後、原子力発電関係団体協議会の知事さんたちとは、別の機会での発言なのですが、昨晩の「ニュースウォッチ9」では、次のような佐賀県玄海町町長さんの談話も報じられていました。

玄海町町長談話(「ニュースウォッチ9」報道)
「一定の説明を受けましたから、まぁ、一定の評価をしなきゃいかんというふうに思って聞いていましたけれども。まだ、だから、すぐに判断できるというものではない。
 スムーズに情報が出てこなかったという、やっぱり、そういう意味での国に対する、少し不審感は、議員の皆さんにもちょっとあったのではないかな。それが、まったく100%、今日の説明でとれたわけではない」

 こちらの町長さんの談話は、やはり昨日(16日)玄海町を訪れた九州電力原子力安全・保安院が、玄海原発九州電力)の原子炉運転再開を求める説明会を開いた後の談話でした。
 NHKの報道では、(例によって!!)わかりづらかったのですが。九州電力玄海原発では、昨年12月、3号機の1次冷却水の放射性物質濃度が急上昇。定期検査が前倒しでおこなわれ、燃料棒損傷による放射性物質の漏洩が確認されたって、経緯があります。
 現在まで、3号機は、そのまま運転停止されてる事情ですから、玄海町(町長さん、町議会)の方に、緊急時安全対策の説明だけでは、にわかに納得しがたいものがあるのも理解できます。


 原子力発電関係団体協議会から政府への要求については、アタシが思うには、もちろん要求してもらって構わないけれど、優先順位の希望も付けてあげるといいんじゃぁないかな、と思います。
 NHKの報道コンテンツを読む限り、「各自治体にある休止中原発を再運転して安全かどうか、政府の説明だけでは判断しきれない」ってのが大きな問題と思えます。
 もし、そこが要点ってことでいいなら、やっぱり「浜岡原発以外の原子炉運転再開について安全と政府がみなす根拠」について、より詳しい説明の要求が、優先度高いんじゃぁないでしょうか。
 次に優先度高いのが「今後の安全対策について基準などを示す」ことになるかな(??)、と思います。

 「福島原発の事故原因究明」については、これはある程度時間をかけた方が、安易な総括とかを拙速でまとまられるよりはいいように思えます。

 アタシも残念なこととは思いますけれど、福島原発の事故発生経緯は、やっと手が着いたとこです。東電や政府を庇うつもりはないですけど、高い放射線量で実情を調べられないことの方が多いのは、これは現状では致し方ないです。

 原発事故の原因究明については、政府案、自民党案、それぞれ提起されてるところでもありますし。


参照記事:

原発立地14道県 国に要請へNHKニュース、5月16日)
 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、各地の原発を抱えるなどした14の県と道で作る団体は、東京で臨時の会議を開き、国に対して、事故の原因究明や静岡県にある浜岡原発の運転停止要請について説明をするとともに、今後の安全対策について基準などを示すよう、要請することを決めました。

 東京・千代田区で開かれた会議には、全国各地の原発を抱えるなどした14の県と道の知事などが参加し、福島第一原発の事故を受けて各地で広がる住民の不安を解消しようと話し合いました。まず、団体の会長を務める青森県三村申吾知事が「福島第一原発の事故は全国の立地地域にもさまざまな影響を及ぼすと考えられる」と述べました。続いて、会議では、▽事故から2か月以上たつ今なお国から十分な説明がないことや、▽菅総理大臣が浜岡原発の停止を要請した際の国の評価が極めて分かりにくいことなどが問題点として挙げられたということです。そのうえで、国に対して、▽福島第一原発の事故の原因究明や、浜岡原発の運転停止要請について、ほかの原発がある自治体にも合理的な説明をするとともに、▽今後の安全対策について具体的な判断の根拠や基準を示すよう、要請することを決めました。会議のあと、青森県の三村知事は「今後とも国が責任を持って安全対策や情報公開などに取り組むよう強く求めていく」と話しました。国内の商業用の原発は、地震津波で運転できないものや、定期検査のまま運転を再開しないものなどで、全体の3分の2に当たる35基が停止するという異例の事態になっていて、今後、運転の再開を巡って、各地で自治体がどのような対応を取るか注目が集まっています。