NHKの世論調査:「原発推進派」も「即時撤廃派」もどっちも少数派らしい

 昨晩、NHK総合(地上波)でやってた「ニュースウォッチ9」で放送してた、世論調査の結果は興味深かったわ。
 放送されたのは「原子力発電に賛成か反対か」についての調査と、「民主党、及び、菅内閣、そして自民党の支持率」。

 聞いた話だけど「世論調査」と「意識調査」は精度が違うんですってね。「世論調査」の方が、厳密な方法でやってる調査なんですって。
 天下のNHKが「世論調査」つって放送したんだから、それなりに精度は、期待してもいい調査なのでしょう。きっと。


 とりあえず、「原子力発電に賛成か反対か」についてのNHK世論調査の結果。

 この調査は、興味深いとこが2つあるんだわ。


 1つは「原発推進派(増やすべき)」と「原発反対派(無くすべき)」が、どちらも少数派だってこと。多分、多数派の意見と比べると極論のようになってる感じと思います。
 極論にだって聞くべき部分はあるけれど、議論のうえでは、極端って意味です。

 NHK世論調査を踏まえて考えれば、「49%(7%+42%)」対「44%(32%+12%)」の枠組みで議論を始めるのは、実際的ではない、ってことになるわよね。
 「42%対32%」の「維持派対暫減派」で議論を始めて、7%の推進派の意見、12%の反対派の意見も聞きながら、議論に取り込んでいった方が、実際的なはず。

 原子力発電所の扱いは、これからの日本のエネルギー政策を左右するような、大事な論点のはず。
 「大事な論点」てのは、勢いで決めないで、じっくり熟議して決めないと。


 それに「原子力発電所の数」だけでは、原発の問題は、検討しきれないはずです。
 やっぱり「発電総量」と、「総発電量に占める、原発依存度」は、少なくとも論題にしないとね。

 そうした議論では、「原子力発電所は現状を維持すべき」か、「原子力発電所は減らずべきか」が、1つの論点として、あるいは議論の1つのステップとして、検討されるべき、ってことだと思えます。
 少なくとも「『絶対推進』か『絶対廃絶』か」から議論をはじめても、無駄が多いんだわ。すぐ論議が迷走するに決まってるもの。


 NHK世論調査が、興味深いもう1つのポイントは、これが「原発の数」についての意見調査だってこと。
 「発電量」についての意見調査でも、「(電力の)依存率」についての意見調査でもないってこと。
 実は、この件には、いい面と、悪い面とがあります。


 悪い面にはもう触れてます、「原発発電総量」についてや、「総発電量に占める原発依存度」についての世論調査をすれば、「発電所数」についての数字とは、また違った結果が出そう、ってことです。


 いい面てのは、例えば、石原慎太郎都知事みたいな人が、いくら「安全基準は見直すべきだ」とか言っても、「原子力発電所は増やすべき」と考えてるとしたら、所詮は極論の1種でしかないって、わかるとこ。

 実は、石原氏、4月の選挙で4期めの都知事に選任された後、「原子力発電所は増やすべき」と考えてるかどうか、どうにかごまかした発言を繰り返してて、ハッキリしたことを言ってない。

 でも、石原都知事には、数年前「日本の技術力なら、東京湾原発を作ったって安全」とまで公の席で発言した前科があるわけ。
 政治家として、過去の発言や方針を、これこれと改めますとか、きちんと公表するまでは、アタシたち国民の方では、「以前どおりの方針なんだろうなー」って思うしかないじゃーん
 ご本人も、4期目の政策は「今までどおり」とか言っちゃてるんだし。
 「オレ様の言うことがわかんない奴は、皆バカものだ。議論にならん」みたいな男ヒス起こすくらいなら、自分で過去の政策や方針を自己検証して、改めるべきとこはきちんと改めた方がいいよー。政治家なんだから。

 自民党だって一緒。
 国会中継観てると、自民党の議員が、いけしゃぁしゃぁと、菅内閣の事故原発対策を非難してる。
 自民党は、菅内閣を非難する前に、自分たちが長期政権保ってた間に固めた、原発推進の政策を自己検証して改めなさいよ。
 原子力安全・保安院なんてお役所をエネルギー資源庁に作ったの、自民党森内閣の時代じゃん。

 菅首相は、国会答弁で、原発政策について「従来の先入観、白紙に戻す」って、はっきり言ったわよ。先入観を白紙に戻して、福島原発の事故がなぜ起きたかを「根本から検証する必要がある」つったわよ。
 根本からの検証は、是非やってもらわないと

 それだけでも、菅内閣は、今の自民党よりもマシだわね。原発政策、エネルギー政策については、だけど。
 原発事故、原発政策、エネルギー政策については、自民党が、自己批判をした後なら、民主党政権批判も聞いてあげる。自民党は、まず、自己検証と自己批判を先にしてください。


 さて、アタシは、原子力発電容認派です。
 個人的意見で、原子力発電所の総数を減らしていくことには賛成。
 でも「無くす」ことには反対。なんか素敵な次世代エネルギーでも実用化されるまでは、反対。

 太陽光とかで、発電量を「補う」ことには賛成なんですよ。
 でも、二酸化炭素排出量のことだってあるんだし、向こう10年くらい、原子力発電を「無くす」のは無理な気がします。


 一方で、「減らしていくことには賛成」つっても、闇雲に減らせばいいってわけでもないと思うのね。
 旧型の原発から減らしてって、例えばだけど、旧型原発を3つ減らしたら、新型で安全基準、建築基準も、運営基準も厳しくて、かつ、発電効率もいい新型原発を1つか2つ建てるような、全体を見通した計画性、あるいは方向性が必要と思います。

 つまり、アタシは「原子力発電所の数を増やす」ことには反対なんです。
 だから、「推進派」ではないんだわ。


 旧型原発を3つ減らして、新型を1つ建てれば済むか、2つ建てないとならないかは、建設コストとか、発電効率とかとのバランスみないと、どうにも定めらんないはず。
 これは、とても専門的な議論よね。

 ただ、アタシたち国民が、全部を専門家に任せっていいかっていうと、そうじゃぁないはず。
 アタシが思うには、「総発電量に原発発電量が占める、原発依存度」をどれくらい下げるか。ここは、国民の総意が反映されるような形で議論されるべきと思います。
(ただ、日本には国民投票の制度、憲法改正手続き以外には、まだ定まってないんだけど)


 今は、発電量のおよそ3割が、原発依存。
 この依存度を1割まで下げるのか、2割にできれば、それでよしとするのか、そこの議論はきちんとして、具体化の手段だけ、専門家に任せればいいと思うな。


 何にしても、安全基準、施設の建設基準、運営基準をこれまでよりも、厳しく改めることが先決ですよね。
 厳しくした安全基準に適さない原発から、どんどん廃炉にしてって構わないとも思います。構わないってゆーか、当然ですよね。
 新型原発の新設とかは、数年くらい遅れた後追いでも構わないに、個人的に1票。