東京電力社長は、どんな謝罪をしてくれるのかな??

 明日で、東日本大震災と、福島の原子力発電所事故とが、複合した災厄−−3.11から、1年が過ぎます。
 今の東電社長(西沢俊夫氏)は、国民に向けて謝罪コメントを公表する予定でいるそうです。
 8日には報じられてました。

 今の東電社長は、福島原発で事故を起こしちゃってから就任したわけですけど。会社を代表して「国民に対する謝罪」を公表するはずです。きちんとした謝罪を聞かせてほしいものです。

 アタシが東京電力社長に期待したい謝罪は、福島原発の事故について、「旧自民党政権時代から定まってた安全基準にどんな不備があったか」、「原子力安全・保安院の指導監督にどんな杜撰さがあったか」、そして「東京電力の経営、原発運営に、どんな甘さがあったか」を、はっきり分別してく方向で、東京電力の非はきちんと認め、その上で謝罪する内容。

 そうした「きちんとした謝罪」を聞きたい人は、アタシだけではないわよね。
 けれど、はっきり言って、そんな「きちんとした謝罪」は、期待できそうにありません。
 決め付けてはいけないので、11日の社長コメントは注目してくつもりですけれど。


 福島原発で事故が起こされた責任は、直接的には「3.11までの安全基準」「原子力安全・保安院監督責任」「東京電力の運営責任」に3大別できます。
 間接的には、長年原子力政策を進めてきてた自民党の責任はとても大きい。
 そして、事故が起きてしまった後の、被害収拾の不手際は、民主党政権、ことに管内閣の結果責任です。ただし、こちらでも、安全・保安院や東電が、「きちんとした情報を政府へ迅速にあげなかったかもしれない」疑惑はありますけど。
(その辺は、国会の事故調が整理するてことになってはいます)


 ややこしーけど、どこがどんな責任をどれだけ果たせなかったお陰で、Lev7なんて事故起こしちゃったのか、整理されるべきです。
 けれども、3.11から1年たっても、そうした追求はまったくと言いたくなるほど進んでません。

 先に、民間事故調査委員会が、まとめた調査報告書を公表したくらいですけど。これは非公式なものですし。大体、東京電力は、質疑、情報公開に応じませんでした。

 国会の事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)も、政府が提出した、原子力規制庁法案の審議を差し止めるなど、有権者の視線からすれば不審なこともしてるし。

−−て、あたりが現状。


 これが、飛行機の墜落事故や、列車の転覆事故だったら、結論はまとまってないとしても、そろそろどこにどんな責任が、くらいは洗い出せてて、絞込みに向かっていそうなもんです。
 そりゃ、福島原発の事故には、より広い範囲での大震災からの復興も並行してるから、色々大変なのはわかるけど。安全・保安院原発のストレステストしてる、とか、あまりと言えばあんまりな現状。


 と、ゆーわけですので。
 東電社長の方から、アタシたち国民に向けた謝罪を公表する、と言うなら、本当は是非にも「東京電力には、事故原因のどこに、どんな責任があったか」をはっきりさせながら、その上で謝罪してもらいたい。

 もちろん、「東電の落ち度はここからここまで」的範囲を、もし言ってくれたとしても、それは「東電の言い分」にしかなりませんけど。
 それでも、「どこにどれだけ責任があったのか」はっきりしないよりは、「言い分」聞かせてくれた方がいい。


 1番聞きたくないのは「東電は、国の安全基準を守り、安全・保安院の指導に沿ってきちんと運営してました。想定外の災害に見舞われて不幸な事故に至りました」的なコメント。

 例えば、東北電力宮城県に持ってる女川原発は、東電と同じ安全基準、同じ保安院指導を受けてたはずだけど、地震津波も意識して敷地の海沿いに設けられた斜面と海抜14.8mの場所に施設が建てられてた。
 東日本大震災では1mほど地盤沈下したそうなんですけど。それでも、女川原発は最大13mほどて話の大津波に耐えた。
 原子炉建屋内での配管漏れなどはあったそうですけど。それでも、放射性物質は、敷地はもちろん建屋外漏出さえさせなかった様子。


 原発事故についての「東電の責任」は、同じ安全基準、同じ保安院の指導の下で、なぜ、東京電力は、東北電力みたいな災害に対する備えをしないできたの? て、とこがポイントになることでしょう。


 世の中には「そんな責任分担なんか、どうでもいい。ともかく早く廃炉作業を進めろ」とか、「早く賠償して」とか思ってる人もいることでしょう。
 でもね、「自分たちは安全基準は守ってたし、安全・保安院の指導にもちゃんと従ってた、だから事故は天災のせい」みたいになこと言ってる限り、アタシは「東京電力には」原発の再稼動認めてやる気しないんです。
(アタシは、神奈川県民で東電の一般ユーザー。別に株主でもなんでもないけど)

 東電以外電力会社(旧電力)に原発再稼動を認めるかどうかは、各会社の電力管区の人たちで、ちゃんとした議論交えて考えてってください(施設立地自治体とその周辺の総意が最優先ですけど)。


 そうは言っても、アタシが思うには、東京電力社長からは、責任範囲を明確化する方向の「きちんとした謝罪」は、ほとんど期待できないでしょう。
 前もって決め付けちゃぁいけないけれど、なぜ期待できないて思えるか、理由は幾つかあるんです。

 1つだけ挙げると、近く、東京電力の過去の経営陣を相手取って、「福島原発事故で多大な損失を出した経営責任について」東電の株主から賠償を求める民事訴訟が提訴される予定があるからです。
 提訴するのは東電株主の一部の人たちですけれど。形式的には株主代表訴訟って形になるそうです。


 経営責任が問われるような訴訟を控えたタイミングですから、国民に向けて、東京電力の非を明らかにして認めるような「きちんとした謝罪」は、ほとんど期待できないだろう、と推測されます。

 決め付けてはいけないから、11日の社長コメントは注目してくつもりですけど。
 でもね。「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」「2度とこのようなことが起きないよう勤めます」的なあたりで、お茶を濁されたら、やっぱり石投げつけたくなるかなー、て思います。

 「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」の類は、はっきり言って、事故を起こした危険施設の運営責任者のする謝罪じゃぁないじゃーん。
 その辺注目したいですね。

東電社長、11日福島入り=第1原発で職員にメッセージニコニコニュース-時事通信 2012年3月8日(木)0時45分配信)

東京電力は7日、東日本大震災と福島第1原発事故から1年となる11日に西沢俊夫社長が同原発を訪れると発表した。震災が起きた午後2時46分に同原発で犠牲者に黙とうをささげた後、職員向けにメッセージを出す予定。また国民に対する謝罪コメントも発表する。