サンデー・フロントライン:今週は民主党の代表戦スペシャルだった

 テレビ朝日系で毎週日曜放送されるニュースショー形式の「サンデー・フロントライン」
 8月28日の放送では、番組の普段の構成を変更してまでの「(民主党)代表戦スペシャル」がメイン。民主党の代表戦に立候補してる代議士5氏が、スタジオに登場。
 今週出演のコメンテーターは、東京大学大学院教授の藤原帰一さん、ジャーナリストの後藤謙次さん、毎日新聞論説委員の福本容子さん。


 普段は、3部構成の「サンデー・フロントライン」、今週は、ほとんどの時間が「代表戦スペシャル」に割かれてた。恒例の「これがニュースだ!」のコーナーも短縮版。つまり、事実上総力特集「代表戦スペシャル」ってシフトでした。


 番組冒頭、テレ朝のアナウンサー氏が「徹底討論していただきます」とか言ってたけど。結局、討論なんかにはなんなかったのよね。
 局側が用意した司会陣、アナウンサーとコメンテーターさんが投げかける疑問に、ポツポツとそれぞれの候補が答えてくだけでさ。

 アタシは、観てて、代表候補の人たちは、想像力足りないんじゃぁないかと思っちゃったな。
 番組観てる視聴者の多数派は、民主党員でもサポーターでもない人なはず。そうすると、「次の日本国首相になりそうな人は、どんな政策路線を打ち出すんだろうか?」みたいな関心が強いはず、って思うのよね。あるいは「政権与党である民主党は、どんな方向性を国政に打ち出すんだろう??」とかね。
 ところが、代表候補の方々は、この後に及んで、民主党員だけを想定したような、細かなスタンス説明ばかりに終始してた。

 この辺の感じについては、番組中、司会者側の席についてたコメンテーターのお1人、藤原帰一さんが、こんなこと言ってた。
 「昨年の代表戦の時もそうだったんですが、民主党のなかがまとまる、ってことについては、寛さんのお話が非常に長かったですね。で、これは率直に言って、有権者にとってまるで関係ないことです。民主党がまとまんなきゃ、違う政党に投票すればいいだけのことなんですね〔以下略〕」 

 藤原さんの言葉を、アタシなりに踏まえて言うと、「どんな手法で民主党がまとまるか、まとめるか」なんかは、党員同士の間の問題なだけ。党員ではない有権者は「代表になったら、どんな方向へ政権与党を率いていくつもりか」が聞きたいと思うのよね。
 スタジオにいた代表候補の皆さんは、それぞれ「政権与党を率いていくつもりか」言ってるつもりなんでしょうけど。ボヤーっとして、アタシには、明確なイメージが伝わってこなかった。

 それって、有権者国民を想定しての発言になってないからだ、って思うんだわ。民主党党員や支持者だけを想定したコメントになっちゃってると思うな。

 この、自党支持者しか念頭においてないような、つまり、様々な立場の有権者たちが想定されてないような言動って、別に民主党の国会議員さんにだけ目立つわけじゃぁなくて。自民党の議員さんでも、公明党の議員さんでも、ほとんど変わらないと思ってますけど。
 例えば、もう何週間か前だけど、自民党の石原幹事長が「菅内閣の支持率が下がってるのに、自民党の支持率が上がらないのは、メディアの報道が偏向してるからだ」とか公に言っちゃって。
 アタシとかは、メディアの報道が概ね菅首相を叩いてたから、まだ、自民党の支持率下がらないで済んでるって思うんですけど(笑)。
 自民党幹事長の発言も、「自党の支持者とそれ以外」って、単純すぎる認識としか思えないじゃーん。


 番組司会やコメンテーターさんたちの方も、もう一頑張りしてほしかった、と思います。
 視聴者は、司会側と代表戦候補の討議なんかが観たいわけじゃぁなくて、候補者同士の討論が観たいはずなのよね。

 「サンデー・フロントライン」の前番組「サンデープロジェクト」だと、メイン司会をやってた田原総一朗さんなら、約束組み手的な想定内のやりとりを撹乱、ゲスト同士の討論を導き出してたと思うのよね。
 田原総一郎さんは、テレビ司会について、独自のメソッドを身に就けてる人だから、他の人は、同じ事を真似しようとしても、きっと上手くはできないでしょうけど。
 別の手法で、同じような司会効果を引き出してくれる人、そろそろ出てほしいなー。なんたって「フロントライン」は、「プロジェクト」の後番組を、同じ局でやってるんだから。


今週の「これはニュースだ!」コーナー:
 番組に不定期に出演したりしてる、評論家、解説者、コメンテーターの人たちが、その週の重要ニュースに、1位〜10位の重要度を評価して提起するコーナー。
 重要度はポイント換算されて、ポイント集計。週のニュース10を重要度順に整理するって趣向の週間重要ニュース選です。

 番組の公式サイトで、どんなニュースがセレクトされたか、読めるけど。
 今週は、「短縮バージョン」実際に番組でコメントされた重要ニュースは、ランキング5位から上位の五項目でした。

 番組で今週の重要度一位に選ばれたニュースは「やっと退陣 代表選は5氏乱戦」。
 他のニュースには、以下のようなものが選ばれてました。

【番組選定の重要ニュースランキング】

  • 1位「やっと退陣 代表選は5氏乱戦」
  • 2位「政権“崩壊”・・・大佐はどこへ」

 これはリビア情勢のニュース。

  • 3位「国債格下げ 超円高に緊急対策」
  • 4位「“居住困難”長期化 国が借上げも検討」
  • 5位「どうなるカリスマCEOが辞任」

 これはアップルのジョブス引退のニュース。

  • 6位「10m超津波は“想定内”」

 東京電力が、福島第一原発に10mを越える津波が押し寄せる可能性がある、との試算を2008年にまとめながら対策を取っていなかった、とされる件。
 アタシは、もう原発関連で、たいがいのごまかしや、言いくるめには驚かなくなってますけど。これは酷いニュース。事故直後、東電側が繰り返した「想定外」の言い訳は何のつもりだったのか? 言い逃れだったとしか思えないです。

  • 7位「紳助氏引退 暴力団関係者と交際」
  • 8位「“列車外交” 9年ぶりロシア訪問」

 北朝鮮の金総書記が、2002年8月以来9年ぶりにロシア訪問した、ってニュース。

  • 9位「代表選直前に・・・尖閣沖領海に中国船」
  • 10位「トヨタ&フォード 共同でHV車開発」

 10位までに選出されなかったニュースとしては、今週は次のような話題が候補にあがっていたようです。

  • 「性的暴行容疑 前IMFトップの訴追取り下げ」
  • 「米東海岸地震 原発停止・首都も騒然」
  • 検事総長 取り調べ可視化拡大に意欲」

 これは、今の検事総長が講演で、一部事件の取り調べで試験的に実施されている録音・録画について、対象となる事件をさらに増やしていく方針を述べたってニュースなんだけど。全面可視化への道はまだ前途多難ってことかしら??

  • 「意外な節電効果 スーパー&コンビに売上増加」

 これ、具体的にはどういうニュースなのか、ちょっとわかんないですけど。なんか気になる見出し。

  • 金先物価格、1オンス=1900ドル突破」
  • 「中国、PC出荷台数世界一」
  • 「なでしこ五輪予選へ出発 合宿にファン殺到」
  • 地震保険加入急増 福島では倍増」