サンデー・フロントライン:今週放送分は「発掘人部秘話」が意外なほど観れたな♪

 テレビ朝日系で毎週日曜放送されるニュースショー形式の「サンデー・フロントライン」。7月31日放送分は、アタシ評価で普段程度に興味深く観れました。
 大雑把な評価だけど、水準的な出来「中の上」。悪くない感じで、かなり観れました♪

 今週は、普段の司会役、小宮悦子アナは夏休み。司会役は村上裕子アナ。コメンテーターとして、藤原帰一さん(東京大学大学院教授)、土井香苗さん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)、中野雅至(兵庫県立大学大学院教授)さんらが出演。

 さて、毎週、基本的には、概ね3つのパートに大別されてる「サンデー・フロントライン」。
 今週の番組構成は、だいたい次のような感じ。

  • まず最初のパートは、「新潟福島で集中豪雨/橋が道が・・・各地で被害」の報道と、「中国高速鉄道事故/民意の台頭は民主化への胎動か!?」の報道。後者は、中国現地のテレ朝報道マンとの中継トークを挟んでスタジオ座談に。

「新潟福島で集中豪雨/橋が道が・・・各地で被害」:
 このセクションは、番組の普通によくまとまった報道で、安心して観れました。

「中国高速鉄道事故/民意の台頭は民主化への胎動か!?」:
 このセクションは、スタジオ座談の焦点がやや散漫だったかと思います。「民主化への胎動か!?」は、いいんですけど。民主化への動きが中国社会で、もし顕在化していったら、日本や周辺諸国にどんな影響が想定されるか? とか、そうした検討なしに「民主化」って言葉だけが浮いてた感じもあったり。ちょっときつい言い方になりますけどね。

 「『民主化』って言葉だけが浮いてた感じもあったり」は、他のTV報道番組で、同じ話題を扱ってるケースでも、まま感じられる例も少なくなはなく、「サンデー・フロントライン」に限ったことでもないけれど。
 ただ、「サンデー・フロントライン」の報道は、現地レポーターの人が、中国の今の鉄道省は、江沢民国家主席の派閥が主流で、だから今の胡錦濤主席は、鉄道省を切り崩すために世論を利用してる面がある、旨の解説を入れてて。アタシは、この分析、他の報道番組では聞いたことなかったんですよね。
 なるほど、そういう面もあるのね、って感じでよかったです。現地派遣されてるジャーナリストの人の事情通的コメントも、これくらいハッキリしたものだと、言ってくれた方がいいわね。

  • 2番めのパートは、週間重大ニュースのセレクト「これはニュースだ!」

 このコーナーについては、後で記します。

  • 3番めのパートは、特集フロントラインの発掘人部秘話、「現代人を癒す金子みすゞの“詩の力”」。アタシは、「発掘人部秘話」の不定期シリーズは、その作りに割りと批判的なんだけど。今週の「金子みすゞの“詩の力”」は、そんなアタシでも、「なるほど」と思える断片が多めで、良かったと思います。

 「発掘人部秘話」は、人物評伝としても歴史検証報道としても、一面的な感じにまとまる例が多くって。それは、語り手の立ち位置が曖昧な作りが原因、ってのがアタシの考えなんだけど。
 今週の、「現代人を癒す金子みすゞの“詩の力”」も、実はこれが人物評伝だとしたら、あちこち物足りない中身だった。けれど、歴史検証報道とかではなくて「現代人を癒す、“詩の力”」って、アプローチが意外にうまくいってた。
 アタシが思うには、金子みすゞの詩についての感想や解釈を、小学生や企業家それから、今、84歳の娘さんなどの口から語って断片が入ってて、どれが正解の解釈とかは、特に追及しない作りが、良い方に出たと思います。
 金子みすゞの詩は、詩句自体は平易なので、どんな詩から、小学生なり、企業家なりが、それぞれにどんな事柄を受け止めたかを、詩句も挙げながら放送できたのもいいと思える。

 どの解釈が正解かってことではなくて、それぞれの解釈が、受け手それぞれが受け止めた詩の内実を、自分なりに応用展開したようになってるのが伝わってきて、文芸作品の解釈って、それでいいのよね、とすんなり思えてこれはお手柄だったと思うな。
 教養番組風番組にありがちな、作品の一般的解釈を視聴者に押し付ける紹介は微妙に免れてたと思えます。


今週の「これはニュースだ!」コーナー:
 番組に不定期に出演したりしてる、評論家、解説者、コメンテーターの人たちが、その週の重要ニュースに、1位〜10位の重要度を評価して提起するコーナー。
 重要度はポイント換算されて、ポイント集計。週のニュース10を重要度順に整理するって趣向の週間重要ニュース選です。

 番組の公式サイトで、どんなニュースがセレクトされたか、読めるけど。
 今週は、米国債の上限をめぐる米政府と米議会の対立についてのニュースが、総合で重要度1位にセレクトされてました。

  • 1位「米国債危機迫る! ドル76円台」

 このニュースについては、コーナー内で手短だけど重点的な背景報道が流されて、良かったな。

  • 2位「幕引き急ぐ? 中国鉄道事故」
  • 3位「“減原発”公表、海江田氏涙」
  • 4位「“原発の番人”保安院“やらせ”」

 この件について保安院院長が謝罪コメントで「中立公正であるべき保安院が」と言ってたの、どこかの報道で観た人いると思うけど。これ、考え方がおかしいよね。
 保安院院長は、多分「推進/反対」について、「中立公正であるべき」って言ったんでしょうけど。
 原子力安全・保安院って、推進/反対の論とは無関係であるべきなんですよね。
 施設の安全性と経済性の間では、公正でないといけないけれど、中立であってはいけない。推進/反対の対抗軸じゃぁなくって、安全性/経済性の対抗軸の方が、保安院の任務には重要なはずじゃん。そこでは、中立であっていいはずがない。

 だって「経済性」とかを考えるのは運用者の問題で、保安院は経済性とか関係なく、「危険なものは危険だ」と言ってくれないと“原発の番人”にはなんないじゃん。
 まぁ、過去ずっと、“原発の番人”としては中途半端な体制でやってきてたわけで。だから、とっとと経産省から分離しちゃってもらわないといけないんだけど。
 今だにトップが「中立公正であるべき」とか言ってるようじゃぁ、とことんダメだわね、とか思ったなアタシ。

 それから、「施設の安全性と経済性の間では、中立であってはいけない」のは、保安院だけじゃぁないのよね。原子力安全委員会だって、過去に経済性のことまで考慮してたことは、「サンデー・フロントライン」がなんどか報道してくれてる。

 これは、ノルウェーで起きた民族主義テロのニュース。


 ちなみに、番組のサイトを見ると、重要ニュース選定者はピックアップしてたけど、セレクトで10位までに入らなかったニュースには以下のようなものもあったそうです。順不動ってことで。