サンデー・フロントライン:今週はアタシ評価で「中の上」

 7月10日放送分の「サンデー・フロントライン」は、この番組の水準と比較して、アタシ判断で中の上。
 雑な評価は、番組関係者の人に悪いけど、割と良かったと思います。

 10日は、番組開始直前の9時57分、三陸沖で震源震度M7.1の地震
 番組も、ちょっとわさわさした感じになって、恒例の週間重大ニュースセレクト(「これはニュースだ!」)も、10選ではなくて4選のコメント紹介に留めるとか。
 「わさわさした感じ」と書いたけど、アタシは、決して悪い感じは受けなくて。むしろ「これはニュースだ!」のコーナーを大胆にカットして、地震速報、津波警報の報知に割いた番組運営に、好感を持ちました。


 さて、毎週、基本的には、概ね3つのパートに大別されてる「サンデー・フロントライン」。
 今週の番組構成は、だいたいこんな感じ。

  • 最初のパートは、九州電力玄海原発関連の「原発“やらせメール”/当事者語る『原子力村』の空気と体質」と、経産省に属して内部批判をしてたけど退職を要請されたって古賀茂明さんをスタジオに招いての「渦中の現役官僚!生激白/『ニッポン電力村』の内幕」がメイン

 ここは、興味深く観れたけれど。アタシ評価だとちょっと惜しい感じもしたな。特に、古賀茂明さんをスタジオに招いての座談で、もっと刺激的なコメントを訊きだしてもらいたかった。

  • 2番めのパートは、週間重大ニュースセレクト「これはニュースだ!」

 今週は、地震の関係で、急遽、重大度ランキング、上から4つだけにコメントを付けながら紹介。

  • 3番めのパートは、多分不定期の連続コーナー「発掘人物秘話」今回は「松下幸之助『困難が発展の契機』」

 これは、アタシ失敗してたと思ったな。
 ドキュメンタリー調の再現画像も多用した、松下幸之助さんの評伝(「発掘人物秘話」)と、震災被災地、岩手県大船渡の電気屋さんの密着取材とを構成。
 2つの要素を、被災地の電気屋さん御店主が、松下氏を尊敬してて、被災経験で生前の松下氏の言葉の意味が深くわかった的に言ってられるコメントでつないでるんだけど。
 はっきり言って、アタシは、被災地で頑張ってる電気屋さん御店主の密着レポートをメインにして、松下氏の唱えたモットーは、解説的に軽く挿入するとか、あるいは、ご店主自身の口から感慨を語っていただくとかの方が良かったと思うな。

 どういう事情で、今週放送分のような構成になったかはわかんないですけど。2つの要素の結び付け方に無理が感じられました。「発掘人物秘話」のシリーズの内でも、あまりできの良くない部類だったと思いました。


原発“やらせメール”/当事者語る『原子力村』の空気と体質」について:
 九州電力が、自社や下請け会社に「玄海原発の県民説明会充てに、一市民の立場からの原発再運転賛成のメール発信をするよう」組織的に依頼した件、ですけど。

 「サンデー・フロントライン」に限らないけど、これを「やらせメール」と呼ぶのは手ぬるいですよね。
 実態としては、「偽装メール」です。
 「関連企業の社員が、一般市民の立場から意見を寄せる」って、「利害関係者が、そうでないかのように偽装する」ってことだもん。
 ここが、根本の問題よね。


 「私は、九電の社員だが、玄海原発は安全だ」とか、「私は、九電の関連企業の社員だが、運転再開には賛成]とかの意見メールを送ることに問題があるとは思えない。

 そうした、「偽装ではない」賛成メールを出すように、九電が、自社社員や下請け会社に圧力をかけるようなことがあったり、賛成メールを出すために報奨の類を出したりがあったら、そっちが“やらせ”で。
 “やらせ”の事実が実証できたら、それもそれで問題ではあるでしょうけど。

 “やらせ”と「偽装」と、どっちが問題か、と言ったら「偽装」の方がより根本的な問題。


 「サンデー・フロントライン」より前に、NHK系の報道番組(確か、地上波の「ニュースウォッチ9」かなんか)で観たんだけど。偽装メール問題についての九州電力社長さんの記者会見を報道画像で観ると、社長さんも「偽装が根本問題」って認識は持ってられない気配が感じられました。

 記者会見上、「社員も県民の一員ではある」って趣旨で釈明してた社長さんに対し、記者席から「社員であると明示しつつ賛成メールを送るべきではないか」的な質問を受けて、「そういう考えもあるかもしれません」的に応じてた。
 この件は、記憶で書いてるから、細かな言い回しは違うかもしれないけど、そこのとこのやりとりは、すごく印象に残ったんで、大筋ではさほど違ってないはず。


 「そういう考えもあるかもしれません」て聞いて、ああ、この社長さんは「別の考え方で動いた社員(内部調査で原発担当の役員さんらしいって報じられてる)もいたけど、そっちの『考え方』もアリ」くらいに思ってるのね、と感じられた。
 念のために書いとくけど、アタシが思うには、九州電力の社長さん、多分「(偽装メールの依頼をした)社員の『やり方』はよくなくて、問題はあるけど、『考え方』はアリ」みたいには思ってるんじゃぁないかしら(??)。

 県民説明会の趣旨や目的、論点を考えれば、そうじゃぁないですよね。

 繰り返すけど、アタシは、利害関係者が立場を明示した上で、賛成意見を「個人的に」唱えるのは、問題ないはず、と考えます。
 「一般国民の立場」、つまり「直接の利害関係者の立場」ではないかのように装いながら賛成意見を唱えることが、より、根本的な問題点であって。
 そこのとこは譲ったり、曖昧化させたらいけないですよね。


 だから、この件は「やらせメール問題」ではなくて「偽装メール問題」。
(もしかしたら「偽装メールのやらせ問題」なのかもしれないけれど。その辺はまだ未解明なはず)


今週の「これはニュースだ!」コーナー:
 このコーナー、番組に不定期に出演したりしてる、評論家、解説者、コメンテーターの人たちが、その週の重要ニュースに、1位〜10位の重要度を評価して提起。重要度はポイント換算されて、ポイント集計。週のニュース10を重要度順に整理するって趣向の週間重要ニュース選。

 何度か書いたように、10日は、地震報道の関係で、イレギュラーに重要度上位4位のみが、選定者の人たちのコメントも添えてピックアップされてました。
 1位から10位の項目は、番組中も挙げられてましたし、番組の公式サイトで、どんなニュースがセレクトされたか、読めます。

  • 1位「“玄海”再稼動で二転三転」

 このニュース、今週の番組で大きく扱われた偽装メール(“やらせメール”)の件や、「ストレステスト」提唱の件も併せて報じられた形だけど。
 コメントの他に映された、狭い海峡を挟んで玄海原発から8kmしか離れてない長崎県の島の様子を現地取材した画像も流してくれて。ご承知のように玄海原発佐賀県に立地してるんで、九州電力はこの島の自治体と安全協定の締結を拒んでるって話。
 これは非道い話だわ。
 画像で観れば、強く訴えかけてくるけど、海面を挟んでほんの目と鼻の先に玄海原発見えてるんだもん。長崎県は、島の自治体と安全協定結ぶように、九電に強く申し入れるべきよね。それでも九電が聞かなかったら、経産省にも要請しないと、島民のみなさんも納得いかないでしょう。

 このニュース、将来的な影響力は、確かに4位くらいにランクされる値打ちのあるニュースではあるんでしょうけど。残念なことに、付随して流された、解説的な報道画像では、その辺のニュースの値打ち(ニュース・バリュー)はよくわかんなかったですね。
 公海の海底でレアアースが多量に発見されたわけだけど、じゃぁ日本国の政府や企業は、どんなアクションを起こせるのか、とか、その辺がはっきりしないのよ。「サンデー・フロントライン」お得意の、追跡取材、続報に期待☆
 ぶっちゃけ、番組で報じられた解説報道も併せてみると、重要度4位のニュースってのは、納得いかなかったわね、アタシ的には。
 それより、6位に挙げられてる、総選挙が終わった後のタイランドタイ王国)が、どうなりそうか、の方が、わが国や周辺地域にとっては影響力高いニュースかもしんない(??)。

  • 5位「明るい兆し? 株価1万円台回復」
  • 6位「“復権へ”・・・新首相はタクシン妹」
  • 7位「相次ぐ地震・・・各地で5強」
  • 8位「アフリカ54番目の新国家誕生」
  • 9位「ドコモ参入で電力新時代へ」
  • 10位「駆け巡る江沢民氏“死亡説”」


 ちなみに、番組のサイトを見ると、重要ニュース選定者はピックアップしてたけど、セレクトで10位までに入らなかったニュースには以下のようなものもあったようです。順不動ってことで。

  • 日米豪海洋合同演習へ
  • 自宅軟禁終了…ストロスカーン今度は母国で
  • “携帯ながら運転”で初摘発
  • 焼肉店困惑…もうレバ刺はダメ?
  • 市長選W選挙! 橋下知事10月辞任へ
  • 風評被害影響大! イチゴ・レタス輸出0
  • 2018冬季五輪“平昌”で東京ピンチ!?
  • 経産省が改革派官僚古賀氏に退職奨励
  • シャトル30年の歴史に幕
  • 検察特捜部の独自調査を縮小へ
  • 制止振り切り土下座も・・・市橋被告初公判
  • 欧州中央銀行が再利上げ
  • 中国人向け“沖縄マルチビザ”スタート
  • 経産省幹部がインサイダー株取引?

 「日米豪海洋合同演習へ」や「検察特捜部の独自調査を縮小へ」が10位までにランクインしなかったのは、意外ですね。
 アタシ的には「中国人向け“沖縄マルチビザ”スタート」のニュースにも興味を惹かれました。