サンデー・フロントライン:地下に原子力関連施設作るなら、最初は使用済み燃料棒の保管施設でしょ

 26日放送分の「サンデー・フロントライン」は、番組の最初、概ね1/3ほどのパートが、色々興味深い報道レポートや、報道クリップ、多数で構成されてました。

 この記事では、超党派の国会議員で結成されてる「地下原発議連」について。
 アタシこの議連の結成、26日放送の「サンデー・フロントライン」観るまで知らなかったんですよね。


 26日分の番組については「報道としての脈絡は、ちょっと掴みづらかったけれど、構成の妙があった」ってことを、26日付け記事27日付け記事28日付け記事で続けて書きました。

 ここで書くのは、「構成の妙」とはちょっと別で、報じられた話題自体が興味深くて、書いておこうと思います。
 何しろ、アタシ、地下原発議連の結成自体気づかずにいたんで、ビックリしちゃったんです。


 ネットで調べたら、この「地下原発議連」は、5月30日に結成されてました。
 呼びかけは、福井県選出の山本拓議員(自民党)。今の会長さんは岡山県選出の平沼赳夫議員(自民党)。
(この平沼赳夫議員が、多分、同議連の会合かなんかで述べてた発言がおかしいって評は、27日付けの記事「いわゆる自然エネルギー発電の発電量が全国的には1%ほどでしかないのは何故だろう??」でも触れました)

 調べてみたら、「地下原発議連」には、自民党羽田孜さん、安倍晋三さんの元首相、民主党鳩山由紀夫前首相と、首相経験者が3人も加わってられる。
 これは、多分、国策で進められてきた原子力発電を、なんとか続けようって議連なのかしらね。

 とりあえず、番組では、呼びかけ人の山本拓議員が番組取材陣に応えた談話コメントが放送されてました。
 アタシなりに要約するけど、「地下に原発を作れば、万一、メルトダウンのような事故が起きても、周辺環境への放射性汚染物質流出は起きない」って趣旨のことを言ってられました。


 アタシは、実は原発容認派で、「向こう10年くらいは、日本の総発電量の15%〜25%くらいは原発に依存してってもいいじゃぁないかしら」って、個人的には思ってます。

 でも、原発の存続、運転を決するのは、地元住民の総意であるべきで。それも従来みたいな、立地自治体だけではダメと思う。他県だろうとなんだろうと、原発から半径50km圏内なり、80km圏内なりの周辺住民の間で決められるべき、って考えます。
 範囲は、これから制度改革が検討されるべきですけど。事故が起きたら直接の被害が及びかねない地域の住民の間で、理想的には直接住民投票で決せられるべきでしょう。

 つまり、アタシ個人は原発容認派だけど、各地で立地地域住民が原発にNOを選択していったら、その結果、発電量の原発依存率は15%よりもっと下がることになっても、それは仕方ないこと、と思います。


 さて、原発容認派であるアタシは、地下原発みたいな夢もロマンもあるお話は割りと好きなんですけど。
 実際的な政策としては、すぐに疑問が沸きます。

 確かに、地下に原発を作れば周辺環境への安全性は向上が期待されるでしょうけれど。
 工事費が高くなる分は、電気代に跳ね返るはずですよね。これまでだって、含まれてるはずなのに、発電会社がオープンにしてないだけで。

 どうせ電気代が高くなるなら、アタシは、地下原発よりいわゆる再生可能エネルギー発電の総量買取の方が、今現在の優先だと思うな。

 それに、従業員の安全は、どうやって確保されるのか? とか、疑問は浮かびます。
 万一、事故が起きた時の対処作業スペースは、どう確保されるのか?? とか。
 それとか、点検用のスペースはどうするのか? とかね。

 今も事故状態が続いてる東京電力福島原発でも、地下に敷設された配管類は、汚染水漏出箇所の点検確認を困難にしてます。
 つまり、地下に原発を作れば周辺環境への安全性は向上が期待されるでしょうけれど、いざ事故ったときの収束作業は、かえって手間取ることになるんですよね。

 配管類は、むしろ、地震などに対して柔軟な大口径の管(実用されてますよね、なんてゆーか、大っきな蛇腹みたいな印象の管)の内に通して、地上か空中に敷設。かつ周囲を遮蔽してった方が、事故が起きた時の対処はスムースになるはず。


 地下に原発を作ろうって発想も、「万一事故が起きても」な発想なわけ。
 それはいいことなのよね。闇雲に「安全だ」って言って、「万一」を考えない考え方は、もう、福島原発の事故までで止めにしないと。

 ただ、メルトダウンなどについては、地下原発よりも、むしろフランスで構想が発表されてる炉心キャッチャーの設計思想の方が信頼性高い気がするな。あれも、建設費高いみたいだけど。


 もちろん、上に書いた疑問や、アタシの自問自答は素人考えにすぎません。
 地下原発議連の方では、そうした疑問についても、識者を招いて研究していくことでしょう、多分。
 それはそれで構わない。


 ただ、アタシは、有権者国民の1人として、地下原発議連に属す、国会議員の面々に、はっきり言っときたいことがあるんだわ。

 もし、地下に原子力関連施設を作るなら、最初に建設すべきは、使用済み核燃料の保管施設でしょ。
 それから次に作るべきは、福島の事故原発を解体した後の炉心パーツなりの保管施設。
 炉心解体には10年以上かかる見込みだから、使用済み燃料棒保管施設の方が優先で構わないのよ。

 ともかく、使用済み核燃料や自己原発パーツは、最終処分方法が確定して処分が実行されるまで、どこかに保管しなくちゃいけないんだから。
 国策で進めてきた原発なんだから、まず、国策で、そっちの方をきちんとするべきよね。


 地下原発がどうこういうのは、そうした最終処分に至る工程が具体化された後でないと。

 今までの使用済み核燃料のことはほっといて、原発をいかにして続けるか、から考えようとするのは、福島原発の事故の反省を何にも活かしてない発想としか思えないな。
 特に、長年、原発を国策で推進してきた、首相経験者のお歴々には、そうした政策から、優先的に提唱してほしいもんだわ、ほんとに。


 アタシだって、子供じゃあないから、例えば、福井県なら福井県に、全国の原発の使用済み核燃料を保管する地下施設を作ろう、とか言ったら、地元住民から猛反対されるだろうことは予想できます。
 だったら、東電の原発の使用済み核燃料は、東電の送電区域のとこかに、関西電力中部電力もそれぞれ、送電区域のどこかに、使用済み核燃料保管のための地下施設を作る、とか。
 そういうことから先に考えてくのが、政治ってもんだと思うのね。


 時々、原発推進論者の内に、再生可能エネルギー発電のことを「ロマン」って揶揄する人がいるけれど。
 核燃料サイクルの実用が頓挫して久しい現状で、原発の依存度を今よりさらに高めようって路線の方が、よっぽどロマンチックじゃーん。
 風力発電太陽光発電も、使用済み燃料棒出しませんから。

 アタシも福島原発が事故を起こすまで、考えてなかったから。偉そうなことは言えないけどね。


 それでも、アタシは、原発容認派ではあるから、高速増殖炉とか、核燃料サイクル関連技術が実用化されたら、その時点から、原発依存度を増やすかどうか、議論をはじめればいいと思うな。
 それまでは、依存度暫減路線を採る方が、実際的としか思えない。