BBC WORLD NEWS:先週はボスニア紛争のムラジッチ戦犯容疑者が逮捕されたりした。

 BBC WORLD NEWSで週末に組まれてる番組枠、“World Features”。日本で視聴できるCSの番組表だと、土、日、月(午前中)に30分枠が何度も組まれてます。

 “World Features”の放送枠内で、「Reporters(レポーターズ)」と、U.K.の1週間の主要ニュース「UKレポート」が“World Features”枠内で何度かずつリピート放映される形。
 “Reporters”の方は、1週間の「ワールド・ニュース(World News)」などからセレクトされた現地レポートに、スタジオでの解説も交えて構成した番組。“BBC WORLD NEWS”の週間セレクションって言うと、言いすぎかもだけど、そんな趣も感じる番組です。
 NHK総合(地上波)で週末にやってる「海外ネットワーク」に、構成は似てるけど、内容はかなり違うと思う。

  • 番組のオフィシャル・サイト(英文)は右に。⇒ Reporters


 先週の“REPORTERS”で放映された現地レポートのクリップは、次の4本。


 先週、“REPORTERS”で放送されたレポートの内では、「ボスニア紛争当時の戦犯容疑者、ムラジッチ被告逮捕される。」が、やっぱりビッグ・ニュースでしょう。紛争終結から15年くらい逃げ続けてたことになる人だもの。
 BBC WORLD NEWSで放送された画像ファイルは、“Europe's most wanted war crimes suspect Ratko Mladic arrested”で観れます。長さは3分強。

 ついで、と言ってはナンですけど、“REPORTERS”放送用にはセレクトされなかった画像ファイル“Bosnian war-crimes suspect Ratko Mladic arrested”も挙げときます。
 こっちの、2分半ほどの画像は、主にボスニア紛争当時の報道画像を構成して、ナレーションを被せた形。ボスニア紛争でムラジッチ被告が演じたとみなされてるるロール(役割)を要約的に解説する内容になってます。


 今週の番組で、アタシが個人的に興味を引かれたのは「リビア東部、ベンガジで試みられている生活秩序の再建。」。これは“Libyans try to restore order”から観れます。2分強。

 このレポート、冒頭と末尾が、ベンガジ東部の市街地で“ジハード”として行なわれてる清掃ボランティアのレポート画像。間に、国民評議会側(日本のメディアで「反体制側」とか言われてる方)の教育政策(方針)が紹介されてて、こっちがメインかな? 全体として「リビアで試みられてる生活秩序の再建」ってレポート。

 レポート冒頭では、ベンガジ市街地の人たちが、清掃のことを「(カダフィ側との戦闘とは)また別の“ジハード”」と言ってますね。
 日本語で“ジハード”を「聖戦」と安易に訳すのは、これは、アメリカのメディアとかの影響なのかしら??
 アタシが思うには、“ジハード”は、多分「(イスラム信徒の)勤行」とか「精進」とか考えてみた方が、まだ日本人には理解しやすそうな気がします。これもこれで不正確は不正確な面もあるはずですけど。

 ものの本で読むと、「がんばり」とか「ふんばり」みたいなアラビア語が「ジハード」だそうですね。
 「イスラム教社会を守るための戦闘」も「ジハード」だけど、それだけではない。
 「聖戦としてのジハード」は宗教家の戒勅で宣言されるのが伝統だから、歴史上の「ジハード」では1番目立つ例かもしれない。けれど、決して多数例ではない。なんか、そんな感じ。

 国民評議会側の教育政策(方針)ってのは「カダフィ政権が倒壊するまでは、学校教育を停止する」って方針だそうで、「カダフィ政権が倒壊したら、全国一斉に、学校教育を再開する」って考えだそうです。
 これは、アタシ、「なるほど、そういう考えもあるのね」とは、思ったわ。けど、政権倒壊まで何年も何年もかかっちゃったら、それはそれで大変よね、とかも思ったな。


 ところで、レポートの最後の方で、「カダフィ政権が禁止してた、旧リビア王国時代の愛国歌を教えられてる子供たち」みたいなショットが入ってて。これはこれで、わかる話ではあるんだけど、「政権が倒壊するまでは、学校教育を停止する」だったら、この愛国歌の“教育”は、どういう立場、あるいは役職の人が、どういう機会にどんな場で、子供たちに教えてるのかしら??
 子供たちに遊具とかを提供して支援してるユニセフ、じゃぁないわよね??
 そこんとこの説明が落ちてたのは、これは、“REPORTERS”にセレクトされたレポートでは珍しい。


 リビア情勢については、やっぱり、ついでと言っちゃよくないんだけど、“On the front line with Libyan rebels near Misrata”も挙げときます。
 2分半ちょいのこの画像、リビア西部の港湾都市ミスラタの近くに構築された防御ライン付近での戦闘の様子をレポート。ちょっと前までカダフィ側の軍勢は、ミスラタ市街のすぐ外まで侵軍してたんだけど、ミスラタに立て籠もった反政府側は、欧米の空爆支援もあって、どうにか、防衛線を築くことに成功したのよね。
 でも、前線での戦闘は続いてるってレポートでした。


 さて、仮に「ロシアの、汚職の実態は?」と紹介してみたレポートは、“REPORTERS”の番組スタジオ・トークでは、レギュラーのゼィナ・バダウィ(Zeinab Badawi)が「ロシアがビジネスのしにくい国として有名なのは、メドヴェージェフ大統領も自ら認めてます」とか紹介してるレポート。
 「零細企業を支援する団体の調査によれば、ロシア連邦の実業家6人に1人は、官僚制度の落とし穴にはまり、汚職で逮捕されることになってるそうです」って話で。
 放送されたのは、官僚に目をつけられた牧場経営者が、汚職で起訴されて刑期5年の有罪になったってケースのレポート。牧場主の妻は、牧場の土地をほしがった不動産業者が、役人を抱きこんだ結果の嫌がらせ、と考えてる、ってレポートでした。
 別に、真相は追究されてないんですけど。ロシアでは、こういうケースもあるって取材報道でした。

 「インドで根強く続く女性蔑視の伝統」の方は、インドで、女児の堕胎や、捨て子で、児童の男女比が偏ってるって実情をレポート。これも事実報道の範疇だったと思います。
 ゼィナ・バダウィは、スタジオから、インドの国勢調査でも男女比の偏りはみてとれるし、一説に、年間800万人の女児が中絶されたり、出産後殺されたりしてるそうです、って旨もコメントしてました。