『仮面ライダーオーズ』:第33話-第34話は難易度高いシナリオだけどよかった♪
TV朝日系で日曜朝に放送されてる『仮面ライダーオーズ』、15日に放送された第34話「親友と利用とその関係」は、面白かった♪ 上辺の見かけよりずっと良かったんだわ。
主人公(火野映司)と利用しあう信頼関係のアンクが良かったし、映司とアンクの関係とは別に、短く描かれる仮面ライダーバースこと、伊達明と、生身でアシストする後藤慎太郎との、先輩後輩っぽいニュアンスの仲間関係もいい。
アンクと映司の関係と、伊達さんと後藤ちんの関係が、番組見てると、ニュアンスの違いを感知できるよう、対照的に描かれてて、そこがいいんだわ。
第34話「親友と利用とその関係」は、第33話「友情と暴走と残されたベルト」との前後編。前編の導入は、1つ前の前項辺からの連なる印象が強かったけど。
脚本は、番組のメインライター小林靖子さんではなくて、毛利亘宏さん。監督は石田秀範さん。
小林さん脚本の回と続けて観ても、アンクや映司の表現に違和感なくて。これはもちろんキャストの演技や、監督などスタッフの頑張りも大きいはずだけど。なんにしてもすごいことだわ。
「仮面ライダーオーズ」で描かれてる(現在進行形)映司とアンクの関係って、アタシなりに言ってみると「お前がヘタレたらいつでも見放す」みたいな、緊張感を孕んだ信頼関係。
例えば、第19話-第20話の前後編でくっきり描かれたんだけど。物語の類でよく描かれる“仲間関係”とはちょっと違うのよね。
その違いを、毛利脚本は第33話-第34話で、陰影を深めるように重ね描きした形。そこがすごい。
アンク-映司の関係とは対照的な位置づけの、伊達さん-後藤ちんの仲間関係の方なら、違和感無く重ね描きされても、上手いとは思ってもさほど驚きはしないって思うのね。
アンク-映司の関係って、それくらい独特のニュアンス、あるんだわ。
第33話-第34話の前後編で、アンク-映司の関係を描く筋で、クライマックスになるのは、なんつっても、後半の終盤、プトティラのフォームになって暴走状態になったオーズを、アンクが自分のために、体を張って止めるとこから、人間体に戻った映司が、アンクに「お前なら止められると思ってた」つって昏倒するまでの一連のシークエンス。
このシークエンス、映司の旧友、北村に目撃された形で描かれてるのがいいとこなのよね。シークエンス終盤は、駆けつけた伊達さん、後藤ちんも目撃してて、そっちもよかったけど。
第33話、第34話の前後編は、割と難易度高めの脚本だったはずです。
特に、エピソードのゲストキャラ、高校時代は引きこもりだった主人公の旧友北村(演者=中山卓也さん)の役どころは、難しかったと思います。
正直書くと、アタシ、第33話(前編)だけ観てた時は、役者さん頑張ってるけど、苦しい演技ねー、みたいに思ってた。第34話(後編)でのリカバーが目覚しかったのだわ♪
数年ぶりに火野映司の前に姿を現した北村は、映司の役に立ちたいと言い、映司のことを昔と変わったとも言う。映司はアンクに利用されてんじゃないのか(?)とも言って、自分は映司を利用する気は無いって言う。
「利害関係とか無しになんでもできるのが親友だろ」って、映司に問いかける北村。
前後編で、北村が関わるプロット(筋)のハイライトシーンは、後編で北村が映司に、高校時代引きこもってた自分のとこにノートとか持ってきてくれた映司の明るい笑顔が重荷だった、って告げるとこ。
アタシが思うに、ここで北村が言う「映司が重荷だった」てとこ、映司の役に立ちたいって北村の言動に、強迫観念っぽい不自然さや、歪んだ作為性が目立つ事情の要になってる(描写の上の要ってことね)。
劇中、北村は、アンクに、自分の欲望のことを「映司に頼られたい」って語る。これはエピソードのストーリーで言うと、黄色のグリード、カザリが北村に告げたセリフなんだけど。カザリから聞かされた時点で、多分、北村自身が「言い当てられてしまった」的に北村が思ってた演技。
この辺が、シナリオの難易度高かったはず、と思えるとこ。
『仮面ライダーオーズ』は、ご存知の方、多いでしょうけれど、子供向けの変身ヒーローものドラマです。
第33話-第34話の脚本は、役者さんに、キャラクターの“無意識”のようなものを演技するよう要求するシナリオなんだけど。
この記事で挙げたみたいな、意識と心理の屈折や脈絡は、多分、3歳児とかのお子様にはちょっと難しいかと思います。
映司の方は「(アンクを)利用してるのは俺の方なんだ」って北村に聞かせるし。
お子様にはちょっと難しいかとは思いますけど、それなりに伝わるものはきっとあると思うんですね。
体を張って映司を止めるアンク、そんなアンクに「お前なら止められると思ってた」つって昏倒する映司、そんな2人を観て黙って立ち去る北村ってシークエンス。この流れに、何か不思議な感じを受けながら、印象を刻むお子様は、少なくないだろうと思います。
こうしたニュアンス、3歳児とかのお子様が、頭でわかんなくても、さしあたりいいんだわ。
体張ってプトティラの暴走止めるアンク、かっこいいし(♪)。
かっこよさの感知とない交ぜになって、不思議な印象が、視聴したお子様の心に残ればいい。
そーゆーとこが『仮面ライダーオーズ』優れてるし、第33話-第34話の良さでした♪
見かけより、ずっと面白い前後編です。