NHKBS「ワールドWaveトゥナイト」:“観測記事”的報道は話題を選んだりするといい
NHK・BS1の国際報道番組「ワールドWaveトゥナイト」。
4月のBS1編成替えから、ほぼ毎回、戸惑いながら観てきたけど、とりあえず番組の方針みたいなもんの大筋は、勝手にわかったつもりになりました(笑)。
アタシ的にはこの番組に、個人的な違和感を感じてるんですけど。それはそれで、仕方ない。
NHKにだって“会社”の都合はあるでしょうし。いくら視聴料払い込んでても、アタシ1人に合わせて作ってとか言う気はないのよ。
不満も色々あるけど、興味深い海外ニュースには接せられる番組なので、これからも、あれこれ不平不満を言いながら(笑)。観ていくことになると思います。
公共放送だからってことで、視聴料は払い込んでるんで、文句も書いてくつもりです。
先に10日付の記事(「『脚で稼いだ』取材と、『聞いた話』で話す解説」)では、「ワールドWaveトゥナイト」で放送されるNHK系の海外現地レポートに面白かったり面白くなかったり色々入り混じってるってことを書きました。
こっちの記事では、詳しい話は再説しないけど、「脚で稼いだ」感じの現地レポートは“面白い”し、訴えかけてくる力(訴求力)が感じられる例も少なくない。
こちらの記事では、「ワールドWaveトゥナイト」に目立つ欠点について書いときます。
番組に、NHK海外支局(あるいは総局)の人が出てくると、現地から日本のスタジオに直接、解説コメントを語ることが多いんですけど。
この内、新聞や雑誌で言う“観測記事”の類は、話題との関係を考えてもらって減らした方がいいと思うな。
特に、「ある出来事(事件)の今後の展開予想」みたいのを“観測記事”風に現地の人が“解説”するのは、基本的には止めた方がいいと思います。解説の末尾に、「最悪の場合こんなことまでなる可能性すらある」とか、付けたし的に言ったりすることはあるでしょうけど。
わざわざNHK支局員の人が出てきて、「展開予想観測」みたいのをメインに語るのは、止めてほしいわね。まずは、「着実な報道」に専心してほしいんだわ。
だいたい何もかも、海外支局の人が語ろうとするから、伝聞情報みたいのが増えて、それで、あやふやな感じの解説コメントになったりするんだから。
「(事件)の展開予想」みたいな類をどうしてもやりたいなら、誰か、NHK以外の専門家をゲスト解説者として招いて語ってもらった方がいいはず。
ゲスト解説者は、何も日本のスタジオだけに呼ぶことないのよ。海外在住の専門家の人を支局なりに招いて、NHKの人がそのお話を承りながら放送したりしてもいいじゃーん。
ちょっと、番組に即して具体例も挙げながら書いてみます。
例えば、6日放送分では「あす開催/ASEAN首脳会議の行方」って報道があって、インドネシアで開催予定だったASEAN首脳会議についてNHKジャカルタ支局の人が、現地からマイクに向かって、日本のスタジオとのやりとりに沿って、あれこれ解説してくれた。
わざわざ現地支局の人を投入するんなら「あすからASEAN首脳会議」じゃぁなくって、会議終了後に「どんな会議だったかの総括」を解説してもらった方がいいわよね。
さっき「まずは、『着実な報道』に専心してほしい」って、書いたのは、例えばそーゆーこと。
会議終了後の総括報道なら、ジャカルタ支局ならジャカルタ支局、現地に長い人が会議に張り付いたうえで詳しく説明できることもあると思う。
「あすから首脳会議」で、どんな議題が課題として注目できるか、なーんて報道は、ぶっちゃけ、日本にいる人が、ネットとかで調べればまとめられるはずなのよ。プロなんだから。
実際、6日の番組だと「あすからASEAN首脳会議」の段階で、「タイ・カンボジア国境紛争」と「南沙諸島を巡る問題」の2つが重要課題、ってことを日本のスタジオからアナウンサーが説明してくれてました。
じゃぁ、わざわざカメラに映った現地の人が何を話してたかって言うと、「タイ・カンボジア国境紛争」、「南沙諸島を巡る問題」それぞの議題に会議としての結論が出るのは難しそうって事情を説明してくれるんだけど。
これがまた、関係諸国の外相とかが公式に流した談話をクリップして、だから難しそうです、みたいな“観測”とか言ってくれるのよ。これって時間の無駄なんだわ。
だって、公式談話を踏まえてのコメントなら、日本のスタジオで処理したって大差ないじゃん。
実際に会議が終わってから、これこれの事情があったので難航した、とか、どこそこの国が強行だったのでまとまらなかったとか報じてくれた方が、「報道」として、しっかりするはずだもの。
念のため重ねて書くけど「あすからASEAN首脳会議」ってニュース、「ワールドWaveトゥナイト」で報じてもいいのよ。むしろ報じた方がいいんだけど、日本のスタジオからアナウンサーが、1、2分で要領よく報じても、「あすからの会議で課題として何が注目されるか」まで報じられるわよね。
で、現地支局の人は、実際に会議が終わってから、どんな具合だったかをきっちり「報道」してくれた方がいいはず、って思います。
ぶっちゃけ、アタシの偏見(笑)だと、「ワールドWaveトゥナイト」は、なんだかんだと言って、海外支局や総局の人が出すぎ。出てくるなとは言わないけど、だらだら時間ばかりかける例も目立つ。
その辺の“会社”の事情はわかりませんけど。多分、番組の方針なんでしょう。きっと。
率直に言って、海外支局(アンド総局)の人、カメラに向かって立ちん坊であれこれだらだら語る例が、多すぎる。
海外支局の人を画面に出す方針なら出す方針でも構わないから、カメラに向かってなんだかんだ語ってる退屈な画面なんかに時間を割かないで、取材なりインタビューなりをしてる画面に時間を割いてほしい。
実際、10日放送分では、特集ザ・フォーカス「米中戦略経済対話」がこれから開催ってのをやってくれたんだけど、11日放送分でやってくれた「米中戦略経済対話 成果は」ってニュースの方が、観応えありました。
どちらも海外支局の方が、日本のスタジオと中継で話してられましたけど。時間ま短いほうが観応えあるって、どーよそれ、って感じ。
アタシが思うには、逆の方がもっと良かったと思うのよね。
つまり、10日放送分は普通のニュース扱いでよかったから、11日放送分の「米中戦略経済対話 成果は」の方を特集コーナーでやってくれた方がもっとよかっただろうと思います。
ついでのように書くけど、11日放送分の特集ザ・フォーカス「東日本大震災から2か月/原発事故の波紋は今」は、はっきり言えば、かなり出来が悪かったです。
この特集、前半が、原発事故以降の海外での日本産品忌避の風潮(いわゆる風評被害)についてで、「日本食材への懸念/香港での現状は」。特集前半は、まぁまぁ悪くなかった。それなりに「脚で稼いだ」感じの現地レポートも観れたし。
物足りなく感じたのは、例えば現地で、日本レストラン経営者の人や食材輸入業者の人たちが開いてる対策会議を取材して、参加者の人からの談話を撮りながら、「香港での日本産品への懸念を払拭するために、日本側にしてほしい働きかけは何かありますか?」とか訊かないとこ。
訊いたからって、わが国の方ですぐ対応できるかわかんないけど。先方の期待を探って報じることには意味はあるはずと思います。
日本スタジオでの解説を挟んで、後半はスイスで10日から、国連主催で開催中のグローバル防災会議の報道。「この会議で、原発の安全対策が議題になるのははじめてのことです」と、スタジオの鎌倉千秋さん。その後、グローバル防災会議の概略説明を黒木奈々アナ。後半もこの辺までは悪くなかったです。
そして、NHKヨーロッパ総局の人が現地からレポート。
このレポートは、さらに、概ね3つのセクションに分けられて、まずパン・ギムン国連事務総長の冒頭ステートメントの一部クリップを使ったりの導入的な取材画像を流して(ここはナレーション処理)。
それから、現地に入ってるNHKヨーロッパ総局の人と、日本のスタジオとの中継トークを挟んでいよいよ現地レポート。「グローバル方際会議/原発事故への関心」って題して、会議風景の画像に、ヨーロッパ総局の人の要約的な解説がナレーションで被さってく。
ここでは、会議の参加者にNHKの人が取材をしてる画像が映んないのよ。まず、これがダメなんだわ。
さらに「原発事故への関心」の締めが酷くずさんなんです。会議開催中でのレポートってことを割り引いても、かなり出来が悪かった。
「日本政府としては、今後は福島第一原発の事故の事故原因の原因の究明を徹底的にしなければなりません。そして、そこからきちんと教訓を導き出さなければなりません。会場で、参加者にも話を聞きましたが、『現状の日本政府の説明は不足している』と言う声も聞かれ、情報提供を求める声も聞かれました」。
「青年の主張」じゃぁないんだからさー。
「現状の日本政府の説明」では、何が「不足している」とされてるのか、具体例を報じてくれなきゃ。だから「参加者にも話を聞きましたが」じゃぁなくって、「参加者にNHKの広が取材をしてる場面」を画像で映してほしいわけ。
その後「世界は大震災から何を学ぶのか」って続いたんだけど。
こっちの締めはこうなのよ「東日本大震災から2か月、震災からの教訓、そして被災者の命を守ることに役立った防災対策、国際的な防災体制の強化のために日本が果たしてく役割は、非常に大きいと感じました」。
震災からの教訓についての話に限っても、「日本が果たしてく役割は、非常に大きいと感じました」なんて、ただの感想じゃん。
学級新聞の取材じゃぁないんだからさ。会議の場で「参加各国から、日本にどんな役割が期待されてるか」を報じてくれなきゃダメよ。
プロの報道に対する当然の期待だと思って書いてる。決して厳しい要求をしてるわけではないはずよね。