原発保有電力会社との安全協定を望む自治体が増えてるそうです(NHK報道)

 NHKの報道によると、国内各地で、原発保有する電力会社と「安全協定」を結んだり、「協議の場」を設けるよう求めている自治体が増えてるそうです。NHKの独自調査による、とのこと。


 「(電力会社との)安全協定」と呼ばれているのは、「事故やトラブルについて連絡を受けたり、立入調査を行ったりする協定」。これまでは、原発立地の道や県、隣接市町村など合わせて47自治体が締結をしていたとのこと。
 NHKが報じたのは、より広い範囲の市町村などに、電力会社との「安全協定」締結を望む自治体が増えてる、って動向です。
 なお、NHKによれば「長崎県は、九州電力に対し、以前から安全協定の締結を申し入れてきましたが、原発が直接立地していないことを理由に受け入れられてこなかった」のだとも。

 また、NHKは「静岡県福井県などでは、安全協定とは別に電力会社との協議の場を設けるべきだとする周辺自治体も多く」出てる旨も報じてます。

 NHKは、こうした動きを、福島原発の事故で、被害者の避難範囲が、従来の原発政策で想定されていた原発から半径10kmを越えた範囲に及んでるため、と分析してます。妥当な分析と思えます。


 複数の原発が立地してる福井県では、敦賀市おおい町高浜町美浜町の4自治体が、従来、県の原子力防災計画が避難範囲を10kmと想定していたところを、隣接府県と連携もして広域に見直すことを要請した、と4月12日に要請してるそうですし。
 他に、京都府などでも、原発事故に備える防災重点地域(EPZ)を半径10kmから20km圏に拡大する方針を発表してる、などの動きもあります。

 「安全協定」締結や、「協議の場」常設などは、原発に隣接してたり、周辺にあったりする自治体の要望としては当然ですよね。
 原発を運営してる電力会社の方も、「直接立地していない」範囲の自治体を含めて、応じるべきだと思います。


 ただ、アタシが思うには、こうした「安全協定」は当面の「つなぎ」の方策にした方がいいんじゃぁないでしょうか。
 将来的には、強い権限をもった第三者の独立組織を設けて、事故やトラブルが発生した時の迅速な情報報知や、立入調査のコーディネイト、実施などを委ねた方がいいように思えます。


 4月20日に、中部電力浜岡原発の緊急安全対策を国に報告した際、立地している静岡県議会や御前崎市議会にも説明をしたんですけど。その際、静岡県の危機管理監が「(事故を想定した原発職員の)訓練に外部評価制度を導入し客観的な立場で検証する必要性」を指摘した旨、報じられてます

 こうした外部評価をおこなう組織を、第三者機関として常設するといいと思うんです。
 自治体の要望を受けて、立入調査の設定もして調査実施に協力したり、事故やトラブルが発生した時は、施設に立ち入って、発電所側から提示される情報を査閲しながらサテライト・センター(自治体側の対策拠点)に発信したり、現場状況を客観的に伝えたり。
 そうした原発査察官みたいな強い権限を持った組織が、将来的には必要と思います。

 本来こうした仕事は、原子力安全・保安院の管轄だったわけですけど。
 外局とは言え、安全・保安院経済産業省に属してるわけですから。客観性も迅速性もほとんど期待できないことは、今も続いてる福島原発事故に関連した情報隠蔽体質、リスクを低く甘く見積もろうとする方針などで、はっきりしてます。


 原発立地自治体14の知事が営んでる「原子力発電関係団体協議会」は、すでに4月5日に、原子力安全・保安院経済産業省からの分離などを、政府に要望してますし。
 経済産業省からの分離しながら、全面的に組織リストラ。強い査察権をもった別組織に変更する必要があると思います。

 本当は、原子力安全・保安院なんて、お取りつぶしにしちゃってほしいところですけど。過去に蓄積してきたデータや資料の引継ぎなども必要でしょうしね。
 一方で、これまでの安全・保安院責任者の責任は、厳格に問責、処分されるべきなんですけれど。

“安全協定が必要”自治体増加NHKニュース、5月12日)
 東京電力福島第一原子力発電所の事故では、国の想定より広い範囲で住民が避難していることから、全国の原発周辺の自治体の間では「事故やトラブルについて連絡を受けたり、立入調査を行ったりする前提の『安全協定』を電力会社と結ぶ必要がある」と考えるところが増えていることがNHKのまとめで分かりました。

 全国の原発が立地する道や県、それに周辺を含めた市町村の合わせて47の自治体は、電力会社との間でいわゆる「安全協定」を結んでいて、事故やトラブルの連絡を受けたり、立入調査を行ったりしています。しかし、福島第一原発の事故では、国が想定してきた半径10キロを大幅に超えて住民が避難していることから、電力会社と「安全協定」を結んでいない周辺の自治体の間でも「結ぶ必要がある」と考えているところが増えています。NHKのまとめによりますと、新たに「安全協定が必要だ」としているのは、▽北海道電力泊原発周辺の2つの町、▽福井県内の原発に近い滋賀県の4つの市、▽中国電力島根原発に近い鳥取県と島根、鳥取両県の4つの市、▽四国電力伊方原発周辺の1市、▽それに、九州電力玄海原発に近い長崎県と佐賀、長崎両県の3つの市で、少なくとも16の自治体に上っています。このうち、長崎県は、九州電力に対し、以前から安全協定の締結を申し入れてきましたが、原発が直接立地していないことを理由に受け入れられてこなかったということです。また、静岡県福井県などでは、安全協定とは別に電力会社との協議の場を設けるべきだとする周辺自治体も多く、福島第一原発の事故をきっかけに原発の安全確保に関わることを希望する自治体が増えています。