昨日、全国知事会会長選挙で、京都府知事選出

 昨日(26日)予定通り全国知事会会長選挙がおこなわれて、山田啓二京都府知事が、任期年で、全国知事会会長に就任。

 山田啓二京都府知事と、上田清司埼玉県知事とが候補になった選挙は、25票対22票と、接戦だった様子が、複数のメディアで報じられています。
例えば、日経Web刊は、27日付けの報道コンテンツで、次のように報じてます。

知事会長に山田・京都知事、地方分権・広域連合に重み
 全国知事会長選が26日投開票され、京都府山田啓二知事が新会長に選ばれた。京都など7府県の広域行政組織、関西広域連合の知事らの中から知事会長が誕生。山田知事は両組織との関わりについて「同じ思いで取り組む」と抱負を述べた。今後、全国知事会と広域連合の連携といった様々な相乗効果に期待が集まっている。
 選挙は47人の知事(代理を含む)が無記名で投票し、上田清司・埼玉県知事に対して、山田知事が3票差で競り勝った。近畿2府4県の知事が会長に就くのは奈良県の奥田良三知事(1976〜80年)以来31年ぶりで、京都府知事では初。
 関西広域連合に参加する京都府から知事会長が選出されたことで、関西広域連合の存在感や中央に対する発言力が強まるとの期待が高まる。知事会と関西広域連合は全く異なる団体とはいえ、地域のことは地域で決める地方分権を目指す点で、方向性は一致する。
 広域連合長を務める井戸敏三兵庫県知事は知事会の終了後に記者団に対し「全国知事会が国の地方出先機関の原則廃止を国に迫る際、広域連合の事例を使ってほしい」と新会長に要望した。
 国の出先機関の受け入れに慎重な県もあり、これまで出先機関の権限移譲を求めることを知事会の総意として打ち出すことができなかった。井戸知事は知事会でも広域連合の手法を先進例として、国と交渉してほしいという思いを込めている。
 広域連合に参加する大阪府橋下徹知事は山田知事の知事会長としての政治力に期待する。「(知事会長は)総務相の交渉相手となるので心強い」と話した。
 山田知事は知事会、関西広域連合の両組織で重要な役割を果たしてきた。知事会では地方分権推進特別委員会の委員長を務め、国、政党、中央省庁に地方分権を求めた。広域連合では国出先機関対策委員会の副委員長として、国の地方出先機関の権限の府県への移譲を訴えている。
 山田知事は新会長就任直後の記者会見で「私の中では(両組織の活動は)一貫している」と明言。さらに「都道府県は自立しないといけない。しかし自立を果たすには互いに支え合わないと効果を発揮できない」との考えを強調した。

 全国知事会会長の任期は2年間と、長くは無いですけれど。
 東日本大震災福島原発事故が連鎖して起きた、これからの2年間、全国知事会の活躍には期待されます。
 アタシは、関西広域連合に加盟してる京都府で、地方自治の推進に実績のある山田啓二知事が選出されて良かったと思います。


 いつも書きますけど、上田埼玉県知事が石原慎太郎都知事に同調して進めようとしてる首都圏連合の構想は、地方自治としては欠陥の多い構想になってます。行政改革の面では諮問会議などの意思決定過程が不透明、地域と地域の関係付けの面でも首都圏優位主義。あるいは、地方議会改革の面でも、欠点が目立ちます。

 上田清司埼玉県知事の場合だと、例えば、先の統一地方選挙で、一旦、都知事選に立候補した松沢重文元神奈川県知事に出馬を取りやめさせる「調整」をしました
 松沢氏の出馬断念の記者会見には、上田県知事も同席してたくらいです。

 背景に、引退を言っていた石原氏を、無理やり担ぎ出した自民党公明党の意向があっただろうことは、容易に想像がつきます。
 こんなふうに、楽屋裏での談合と、組織票とで、左右される古臭い「地方自治」は、欠陥品でしょう。
 いつまでも、前世紀のノリで、政治をやろうとしないでほしいもんだわ。

 石原慎太郎氏の政策と、松沢重文氏の政策と、どちらに将来性があるか、きちんと選挙戦で、有権者都民に問えばよかったのです。アタシは有権者都民ではないですけど、そう思いますね。


 一方、山田啓二京都府知事については、知事会会長選挙が実施される前「中央官僚の経歴の人だから、知事会会長には相応しくないんじゃぁないか」って趣旨の意見、ネットで見たりしました。
 「上田埼玉県知事は、元国会議員だから、知事会会長に相応しい」って意見らしいんですけど。
 この意見はどうでしょうね?

 山田府知事は、2001年には、京都府副知事になられて、2002年の京都府知事選挙で初当選。以降、2006年、2010年と府知事選で再選を重ねてられて。現職の府知事任期は、2014年4月まで。
 今は、関西広域連合の方で、原発事故に際しての広域避難計画の見直しを、実際に進められているとも報じられてます。
 中央官僚の経歴もお持ち」なことよりも、「そうした経歴も活かして、今やってられること」を観ると、アタシは、山田府知事が、全国知事会会長に選任されて、よかった、と思います。


 YOMIURI ONLINE京都版(17日付け)では、京都商工会議所会頭の談話が次のように報じられています。

「発想が豊かで行動力もあり、地域主権を先導するリーダーとして知事会を力強く引っ張られると確信する。震災で浮き彫りになった首都圏一極集中の問題点を是正するため、持ち前の粘り強い交渉力で、地域主権実現に向けて力を発揮されるよう期待する」

 一方、同じYOMIURI ONLINE埼玉版(17日付け)では、自民党埼玉県議団からの談話が、次のように報じられています。

「埼玉が地方の声を発信する拠点になればと期待したので残念だが、僅差は知事の政治力が全国的に高い評価を受けている表れ。夏の知事選出馬への影響はないだろう」

 埼玉県の自民党県議連も、上田埼玉県知事も、首都圏への一極集中の問題、まじめに考え直した方がいいと、アタシは思いますね。


 アタシは、神奈川県民だから、首都圏住民の一人ですけど。
 防災の面でも、エネルギーの問題でも、根本的な対処は、首都圏への一極集中の緩和のはず、と思います。

 この点でも、石原都知事が唱えて、上田埼玉県知事も同調してる首都圏連合構想は欠陥品だと思えます。
 首都機能分散には、ともかく議論する前から反対なんだもん。
 石原都知事曰く「日本の頭脳、日本のダイナモ」である東京あっての首都圏だし、首都圏あっての日本って発想ですから。

 石原都知事首都圏連合の構想は、そこから検証しなおさないとダメなんだわ。


後日の補足:
 この記事を書いた後から(数日後)、22日に石原東京都知事が「首都機能の分散は好ましい」旨、22日の記者会見で公に述べてたことを、後付で知り。記者会見のビデオファイル(報道クリップ)なども観ました。
 これは、悪いことではないですね。

 ただ、先の総選挙で当選した直後、4期の都政は「従来どおりの政策」でやると豪語した前言は、お詫びと共に撤回しないとね。政治家なんですから。
 実際問題としては、あっと言う間に「従来どおりの政策」ではなくなったわけだし。

 アタシなんかは、4期石原都政には反対だったから、「やっぱりね。そもそも無理なのよ」程度の感想ですけど。

 けれど、支持した有権者の人たちには、「従来どおりの政策では、やっていけないです。ごめん」くらい言わないと、政治家として申し訳ないじゃーん。