チェルノブイリ原発の事故(1986年)から25年。

 26日は、旧ソ連(現、ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から25年。

 不幸なことではあるけれど、今は、チェルノブイリ原発事故は、とても身近なものとして感知できる。


 25年前の1986年は、遡って振り返ると、ソ連崩壊のほんの5年前。
 当時アタシは、チェルノブイリ原発事故にも通りいっぺんな関心は抱いたけれど、数年後のポーランド革命、東西ドイツの壁打破から、ソ連崩壊に至る一連の大変動に意識を奪われて、原発事故のことは記憶の内に埋没させちゃった。

 日本にも、チェルノブイリ事故へのコミットを何かの形で持続した人たちもいるけれど。少数派ではあったと思う。


 さて、3月11日に東京電力が起こした福島の原発事故は、国際原子力事象評価尺度(International Nuclear Event Scale)に照らし合わせて、「深刻な事故(レベル7)」になって、「深刻な事故」の状態が続いてます。

 山火事で言ったら、火勢は押さえ込んでるけど、完全な鎮火には至ってない。
 まだ火がくすぶってる状態なわけで。
 事故状態は、まだ続いてる。

 「深刻な事故が起きたけど、今は収束に向かってる」わけではないんだわ。


 東電も関係当局も、「事故状態は、まだ続いてる」つもりで事態収束に取り組んでるはずですけど。
 報道メディアも、アタシたち国民も、そのつもりでいないと、まずいわよね。


 国際原子力事象評価尺度(INES)の「深刻な事故」は、「事業所(発電施設)外への長期的な環境リスク」が深刻な事故のこと。
 だから、原子炉とタービンを含む機器系の外部に漏出した、放射性物質の総量が、重要な評価目安になってるわけ。機器系の破損度も、評価目安に関わってきてるのも、同じ理由。


 日本の関係当局が、福島原発の事故状況を「レベル7(深刻な事故)」状態って認めたのは、事故発生から1ヶ月もすぎた4月12日
 途中、レベル5(施設外へのリスクを伴う事故)認知の段階もあったんだけど、最後まで、リスクを低め甘めに押し通そうと抵抗したのが、原子力安全・保安院だったことは、記憶に刻んどかないと。

 原子力安全・保安院ってお役所は、リスクを甘め低めに見積もることで、間接的に、けれど広範に、アタシたち国民の生活リスクを増すってことの責任を、いったいぜんたいどう考えやがってらっしゃるのかしら??
 いつも書くけど、原子力安全・保安院なんてとっととリストラしちゃってほしいわね。言動に、弊害、多すぎるんだわ。


 4月12日、福島原発事故のレベル7認知当時、関係当局の発表に基づいて、報道メディアも、「福島原発からの流出した放射性物質総量」は「チェルノブイリ原発事故の1割」って概数を報知しました。
 けれど、その後、NHKとかは「チェルノブイリ事故の流出放射線総量は、福島原発事故の8倍ほど、と言われています」といった報知内容にシフトしてる。

 「福島がチェルノブイリの1割」だったら、10%ですけど。
 「チェルノブイリが福島の8倍」だったら、福島はチェルノブイリの15%強よね。
 15%は切り捨てれば1割です、ってトンチ問答やってる場合じゃぁないんだわ。切り上げれば2割りじゃん。


 10%と15%の誤差は、福島からの流出放射線物質量の推定量に基づくものなのでしょう、きっと、とは思えます。
 だとしたら、当局には、はじめから「10%〜15%程度と見積もられています」みたいな発表をしてほしかったわね。

 NHKに限らず、報道メディアが、初期に当局の報知を受けて、「1割」って報知しちゃったのは仕方ない、と思います。
 けれど、「10%〜15%程度」と改める段になったら、きちんと大々的に訂正報を報じて、報知を周知すべきよね。
 報道メディアには、そういう面で頑張ってもらわないと困る。


 ところで、「事故状態が続いてる福島原発」が、環境に及ぼす長期的なリスクは、「チェルノブイリ原発事故の10%〜15%程度」だとして。
 これ、確か、大気中に流出した放射線物質総量の推定量に基づいた計算だったわよね。

 福島原発では、放射性物質汚染水も太平洋に漏出させたし、緊急避難的に大量の汚染水を海洋投棄することもした。
 10%と15%の誤差って、この汚染水に含まれた放射性物質量ってことは……ないわよね?? 多分?

 アタシもこの文章書くために調べてみたんだけど、よくわかんなかったんです。
 「海洋に流出した放射性物質の推定量と、大気中に流出した放射性物質の推定総計量が、今現在、チェルノブイリ原発事故の何%に至ってるのか」調べてもよくわかんなかったんだわ。


 福島原発の施設内には、まだ高濃度汚染水が大量に溜まってる。
 ただ溜まってるだけなくって、原子炉を冷温停止状態に導くために、日々、汚染水の量を増やすマッチポンプな状態が続いてる。

 「敷地内の放射性物質の量」は、「施設外への長期的な環境リスク」に数えない。これはいいとしましょう。どっかで線は引かないといけないんだし。

 ただ、何かがあったら――、例えば大きな余震とか、台風とか、高濃度汚染水が敷地外にあふれ出しかねない状態で大量に溜まってて、量は刻一刻増えてるわけ。
 「敷地外流出なんかが起きないように頑張ってます」って、そんなこと、アタシだってわかってるんだわ。

 それでも「完全な鎮火には至っていない」で、「くすぶり続けてる」状態に、福島原発が今もあることも確かよね。


 アタシが思うには、「累積で、チェルノブイリ事故の何%に相当する放射性物質」が「施設敷地外」に流出したか、週1程度で発表するといいと思うんだわ。大気中も海洋中も合算して。
 関連当局も報道メディアも、これやってほしい。

 東電や当局が発表を渋るようなら、報道メディアが独自取材でやってほしいんだわ。
 5%未満くらいだったら、幅ももたせた推定値で構わないから。


 だって、事故収束に向けた作業がうまく進んでるか進んでないかを、これほど、直感的につかみやすく示す指標(数値)って、ちょっと見あたらないんじゃぁないですか?
 細かなシーベルトの実測地を毎日報知してくれるのは、これは直接的な健康被害リスクを回避する役にたってるんで、続けてもらって。
 一方で「長期的なリスク」を国民が把握しやすいように「チェルノブイリ事故の何%に相当する放射性物質が、累積で、施設敷地外に流出したか」、週1程度で発表してほしいです。
 累積値が横ばいなら、「収束に向けた作業は前進してる」って、大まかに思ってもいいわけよね。