「週刊ニュース深読み」(NHK地上波):ニュースの日付を口で言ったりもしてほしい

 NHK総合(地上波)で、週末放送される「週刊ニュース深読み」。
 この4月の番組再編で、リニューアルして、頑張ってる、と思います。
 いい番組と思うから、もっと頑張ってほしい。

 せっかく週末に放送される番組だし、報じられる出来事が「これは何日何曜日の出来事」って、日付が、視聴者の印象にくっきり残るように進めてくれれば、もっとよくなると思うな。


 今日の放送分でも、「これは何日の出来事」って、報道クリップ画像に見出し風テロップを重ねる形で表示されてました。
 それだけでなくて、キャスターが、これは「何日何曜日のことですね」と、その都度、口にした方がいいはず。一連の出来事の前後関係が視聴者の印象に刻まれるでしょうから。
 その線で、頑張ってほしいなー。


 今週の「週刊ニュース深読み」前半で、大きく時間を割いた報道(あるいは時事解説)は、福島原発の事故の深刻度が、レベル7と改められた件。改められたのは、「12日の火曜日」のことでした。


 NHKの科学文化部の人が、スタジオで、レベル7と認定される量の放射性物質が漏出した経緯を整理して解説。
 女子アナの小野文恵さん、今週も、ナイスな質問入れてたわね。
 例えば「チェルノブイリの1/10でも、同じレベルなんですか?」とか。
 これって、多くの視聴者が首を傾げてるところでしょうし、ナイス。

 科学文化部記者さんのお答え「一定以上のレベルが出れば深刻と評価される」の方は、アタシ採点だと、100点満点で30点。
 「INESの評価尺度が『環境に対する長期的な影響』の深刻度を示す」ことと、「チェルノブイリ原発事故では、事故の初期に、核炉暴走、水素爆発、施設の火災が短期間に連続、その分『短期的な被害』が甚大だった」ことを言わなかったんで30点。

 多くの視聴者が抱いてる不安感を緩和するには、そこまで言ってくれないとダメなんだわ。


 要するに「福島原発からの、漏出放射性物質量は、『長期的影響』は、レベル7で深刻です。けれど、チェルノブイリの事故と違って、私たちには被害を回避する余裕も、万が一に備える余裕もあります。そこが違う」みたいなことまで言ってくれないと。
 だから、アタシの30点採点は、決して厳しくないと思うんだわ。

 アタシがリクエストとして挙げたようなことまで言ってくれてる報道番組は、なかなか見かけないんですけど。NHKは、やっぱり公共放送ですし。頑張ってください。


 話がそれちゃった。
 NHKの科学文化部の人は、「事故発生から」1週間もたたない頃、つまり今週よりもさらに前に遡って、漏出経緯を整理しながら解説。これはやった方がいいし、整理も概ね良かったと思うんです。

 でも、ここで小野文恵さんに「それは3月の◎◎日、3週間ほど前のことですね」とか、そーゆー確認を、合いの手の形で入れてもらえたら、もっと良かったと思います。
 その方が、視聴者、出来事の経緯をとらえ易くなるから。

 「週刊ニュース深読み」は、報道番組とか時事解説番組の類では、いい番組と思うので。頑張ってほしいと思います。


 後半の「深読みコーナー」の方は、今週分は全体としては良かったけど。やっぱり色々惜しかったな。
 今週の「深読みコーナー」は、飲食物の放射性物質汚染について、基準値と危険度の考え方を解説。
 コーナーのメインにあたるとこで、長崎大学教授で放射線医学の研究をされてる方の解説は、内容が丁寧でよかったです。わかりやすくもあった。

 けど、コーナー導入部分でNHKの男性アナウンサーさんがやった前説は、あまりよくなかったと思う。アタシ採点だと50点〜60点。
 この導入も途中までは悪くなかったんですよ。でも導入部の締めにあたるとこがよくなかった。
 「基準値を越えた汚染を被る飲食物が見つかっても、出荷はきちんと差し止められてますから大丈夫です」って線でまとめちゃって。これで締めちゃうと、世間でまだ続いてる混乱は、解かれないはずと思います。
 いくら導入部でも、よくなかったなー。

 NHKの番組の制作体制は良く知りません。けれど、ディレクターにあたる職責の人はいるはず、と思います。
 例えば、前半やった科学文化部の人の解説や、後半アナウンサーの人がやった前説も、原稿にあたるものをディレクター立場の人がチェックしてOKとかNGとか出してるんですよね(??)。
 そのチェックのとこで、視聴者の疑問にハッキリ答える方向で、演出をもっと工夫してほしい、と思います。


 例えば、今日の「深読みコーナー」でも、「ただちに被害は無い」の意味する事柄って何? って何度も話題に上ってました。
 長崎大学の教授は、解説中、発癌因子になる物として「煙草」をチラっと挙げてくれてて。これ、TVの解説番組に出演されてる専門家の方では珍しいと思うんですよね。

 せっかく挙げてもらえたんだから、「ただちに被害は無い」汚染物質の危険性を、「煙草に推定されてる発癌性」と比較してくれればよかったと思います。

 煙草の発癌性との比較が、今更と思う人もいるでしょうけど。初耳の人は、かなり安心するんですよね。
 「大人には害は無いけど、子供には与えないほうが望ましい」点も直感的に理解しやすいし。「継続的に摂取しなければ、1回や2回飲食しても神経質になることはない」点も理解しやすいし。

 そうした「理解しやすいわかり易さ」が求められてるのは、NHKの「週刊ニュース深読み」に限らないはず。


 専門的に詳しい解説は、放送大学とか科学解説番組とかに任せちゃっていいんだわ。
 だからと言って、大まかな全体像がなんとなくわかる感じで済ませないで、生活の必要に関係するポイントだけは、ハッキリ伝わるわかり易さが求められてるはず。

 そうした点で、「週刊ニュース深読み」は頑張ってるし、いい番組と思うんですね。
 このいいとこがブレないようにして、さらに磨いていってほしいです。