BBC WORLD NEWS:先週の“World Features”は、ほぼリビア情勢のBREAKING NEWSに充てられた。
BBC WORLD NEWSでは、週末に“World Features”って番組枠が組まれてて。日本で視聴できるCSの番組表だと、土、日、月(午前中)に30分枠が何度も放送されます。
先の週末、“World Features”は、急転回したリビア情勢の“BREAKING NEWS”(速報)にかなり時間が割かれました。福島で事故を起こした原発の状況も、速報って形で報道されてました。
アタシも何度もある“World Features”を全部みてたわけじゃぁないけど、少なくとも普段やってる番組、“Reporters”や“This Week”はやらなかったと思うんですよね。
時間が割かれること自体は当然、と思うけど。
BBC WORLD NEWSで、大々的に“BREAKING NEWS”に放送時間が割かれる時、その柔軟な報道姿勢には、毎回驚かされます。
今回のリビア情勢でもそうだけど、エジプトのカイロ騒乱の時も、チュニジア政変の時もそうだった。
一言で言えば、迅速なんだわ。
何が違うのかしら?? って、前から思ってたけど。
BBC WORLDの現地レポーターたちは、概して、スタンドアローンのようにして、現地の情勢を、フレーム・インしてレポートするわね。
「フレーム・イン」って言うのは、レポーターが画面に内に映ってレポートする形式の こと。取材画像に解説ナレーションを被せる形式のレポートは、BBCでは少ない。
あっても、1本のレポート・クリップの1部だけであることの方が普通。
実際は、カメラクルーもついってってるはずだけど、レポーターは、スタンドアローンに思える。
バックバンドに支えられても、バンドの顔はリード・ボーカルみたいな感じ?
BBCのレポーターは、BBC NEWSのサイトに、しばしば、報道クリップの簡単なサマリー(概説記事)を書いたりするんだけど、それらは署名記事なんですよね。
つまり、自分のレポートの責任は自分が背負ってるって職業倫理を感じる。
日本のTV局にあるような、「局を代表して」るみたいなレポートとはノリが違うのよね。
まず、そこが違うと思うな。
それから、彼らは「現地のレポート」と、「個人の分析」はきっちり分けてますね。一連のリビア報道でもそう。
分けれないような人には、レポートは任せない、のかもしれない。
あるいは、軍事評論家なり国防省のお役人なりにコメントを求めても、「なるほど」とか言わないのよ(笑)。「誰それさんの分析でした、ありがとうございます」とかで済ませちゃう(笑)。
さらに言うと、取材相手に、率直な質問は重ねるけど、レポートで結論付けることはしようとしない。
自分なりのコメントをつけることはあっても、それを視聴者に押し付けようとしない。
ここ、すごく微妙なとこだけど、とても大事なとこだと思います。
彼らは「視聴者を代表するような質問」はする。しょっちゅうする。
つまり「聞きたいのは何か」みたいな質問の意図は、つねに研ぎ澄ましてて。相手がはぐらかそうが何をしようが、あの手この手の質問で聞き出そうとする。
もし、相手が怒り出しちゃっても、冷静に「残念ながら答えはもらえませんでした」って言っちゃう。視聴者にとっては、これ自体1つの情報なのよね。
「ある人物は、これこれの質問には答えたくないらしい」って報道なわけ。
一方で、彼らは「視聴者の意見を代弁する主張」は、まずしない。
何かの意見を主張することも、極、マレにあるけれど。それは「レポーター個人のコメント」で、ほとんど常にそう断られる。
総合すると、レポートの信頼性や、レポートされた相手の言い分などについて、最終判断は、視聴者に委ねられるんだと思うわ。
ここは、日本のTVの報道メディアとすごく違うなー。
つまり、BBC WORLDの現地レポーターは、カメラが映せる範囲のレポートにはきっちり責任を持って報じるけれど、より大きな背景と結びつけた結論付けなんて、する気はないのよね。
そーゆーのは、討論番組とか、別種の番組のやることって、割り切ってるみたい。
乱暴な言い方になっちゃうけど、そんな感じ。
「最終判断は、視聴者がそれぞれにしてください」って姿勢が明瞭なんだわ。
(この辺、CNNのレポーターには、BBCのレポーターより、“偏り”を感じることはあります)
BBC WORLDのレポーターに色濃いのは、視聴者がそれぞれに判断するための材料は、できるだけ色々取材して提供します、って姿勢。
アタシが思うには、こうした姿勢が積み重なって、BBC WORLDの報道の、迅速性を生んでる気がします。