福島原発事故の話:東京電力は説明が下手

 地震による津波の被害が、東京電力の福島原子力発電所に及んでいて。原子炉をできる限り安全に処理すべく、東京電力の職員の人たちは勤めてるはず、と思います。


 ただ、東京電力は、記者会見での説明がとても下手。
 現場の人が頑張ってられることは疑わないけど、会社の説明は落第点。

 「今何が起きているか」は言っても「このままいくと、どんな危険があり得るのか」も、「その危険を防ぐために、何をしようとしてるのか」もはっきりと言わない。
 「法律に従って処理してます」とかって、記者会見をTVで観てる、アタシたち視聴者は、そんな話を聞きたいんじゃぁない。
 「できる限りのことをしています」とか、そんなコメントを聞きたいわけでもない。

 「どんな危険を回避しようとしてるのか」、「そのために何を試みているのか」、「今、何が不足しているのか」、時間か、人手か、装備か、そうした具体的なことを聞きたい。
 簡単に言っちゃえば、プレゼンテーションに、率直さが足りない。


 比較すると、「計画停電のお願い」の方の記者会見は、こちらは、国民に向けてのメッセージは、はっきりしてました。
 煎じ詰めれば「発電量が足りなくなった」ので「放っておくと、大規模な停電が広域に起きかねない」、だから「地域を限定した送電停止を小規模に分散させて起こさざるを得ない」。

 実は、「計画停電のお願い」の記者会見、細かなところは、最初わかりづらかったし、上手でないって言うこともできるんだけど。そんなことを責める気には、ぜんぜんならない。
 はっきりしたメッセージが、国民にむけて発せられてるから。


 福島原発事故の記者会見の方に話を戻すと、東京電力、会見会場に来てるメディアの記者たちのことばかり考えたプレゼンテーションになってると思うな。
 何かと言えば、「手渡した資料を読んでくれ」みたいなことばっかり言ってて。
 記者の人たちにうまくまとめてほしい、みたいに思ってるのでしょうけれど。

 一般の国民も、なかでも被災者も視野に入れて、会見場にはいなくても、被災者の含めた国民も会見を視聴してるって「想定の」プレゼンテーションを、東京電力はするべきです。

 だって、そこまできちんとやるから、ってことで、原発の施設と操業とを許されてるはずだから。


 もちろん、今回の福島原発の事故が起きた理由は、想定外の規模の震災によるもの。
 安全装置の類にも不具合が生じてると報じられてて、そんな現場で作業してる人たちはとても大変だろうと思う。

 だからって、東京電力の「会社」が、国民に向けて、きちんとした説明をしなくていい、ってことにはならない。
 「法律に従った処理をしてる」だから、責任は果たしてるって予防線を張りたいんだろうけど。
 「想定外の震災に見舞われた」分、事後の対処はきちんとしてほしいものです。繰り返すけれど、アタシがここで書いてるのは、現場での対処作業ではなくて、会社の社会に対する説明、報告のこと。


 「想定外の震災に見舞われた」ことは、国民はみんなわかってるんだから、もっと率直な報告を、東京電力はやってくれないと。
 そうでなければ、被災者も含めた国民に、不審感や疑心暗鬼が増すばかりになってくでしょう。