“BATMAN”,Tim Burton's〜

 16日は、CSの、ムービープラスで、ティム・バートン(Tim Burton)の“BATMAN”(1989)をやった。
 主演がマイケル・キートン(Michael Keaton)で、ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)、キム・ベイシンガー(Kim Basinger)も出てる映画。
 これ面白いのよね。公開された時、劇場に3回くらい観に行った覚えがある(笑)。
 最初は独りで、2度めは友だちと、3度めは妹と。

 例によってHDD録画して、何度か観てから消去。


 今回、“BATMAN”を観なおして強く感じたのは、美術関係(大道具、小道具、etc)に、おそらくティム・バートンの監修が及ぼした強い影響。
 レトロチックだけど、ハイセンスでまとめなおしてる感じが、面白いのだわ。


 ティム・バートンバットマン映画は、1989年の“BATMAN”と1992年の“BATMAN RETURANS”の2本があって、どちらもマイケル・キートン主演。

 舞台になる架空都市ゴッサム・シティのイメージ造形が有名で、美術監督のアントン・ファースト(Anton Furst)はこの作品でアカデミー美術賞を獲得。
 時として、「ゴシック様式工業都市が交じり合った」ようなデザインとか言われてるけど。この映画の美術はもっと細やかに、前編の細部にまで渡ってるのよね。
 例えば、劇中で小道具として登場するブラウンカン式のテレビ受像機や、スタジオ用の撮影カメラはゴツくて、レトロな感覚。じゃぁ、「過去のアメリカを異化した美術か?」って言うと、そうでもない。
作中に出てくる新聞記者は、ウォークマンより小さくらいのハンディ・レコーダーを取材に使ってたりする。コンピュータなのかどうかも定かでない(笑)ような、データベース参照機器もバットマンの秘密アジト(バットケイヴ)には設置されてるけど。これもすごくゴツくて白黒モニターとか、レトロなマシンなのよね。例えば、90年代くらいに作られた新作アニメだと、当時のセンスのパソコンとかちゃんと出てくる。今も続いてるコミックスでも同様。
(ちなみに劇中の新聞社には、パソコンはおろか、オフィスコンピュータも見当たらなかったりする(笑))

 要するに、基調的には、禁酒法時代のアメリカ社会みたいなイメージを色濃く使いながら、50年代風や80年代風のデザイン感覚もリミックスしたような架空世界が造形されてるのが、ティム・バートンのBATMAN映画。
 BATMANは、1939年にコミックスのキャラクターとして世に出たんだけど。その後、コミックス、映画、TVドラマと何度かリニューアルされた。
 要するに、ティム・バートンバットマン映画は、世に出た頃のバットマン世界のイメージを大事にしながら、それをアップ・トゥ・デイトにアレンジ。同時に時代設定も不定にしながら、ハイセンスでまとめあげた、と思える。

 特に、バットモービルやバットプレーンのデザインは、50年代のコミックスをベースに今風のアレンジをうまく利かせたデザインだと思うな。
 映画的には、モブも含めた服装のセンスが、禁酒法時代に取材したギャング映画みたいなデザインが色濃くて、これも効果的。でも、不思議と今風のテイストでまとめあげられてるとこが、ハイセンス。
 こちらについては、映画の色調が、モノトーンまではいかないけど、彩度を控えめにしてることも関係してるわよね。