デイリー女装にシフトした頃2

 昨日のダイアリー「デイリー女装にシフトした頃 - 佳那の日記」の続きを書いてみます。


 会社勤めを止めた後、自分にとっては自然な流れでデイリー女装にシフトしたアタシだったけど。数ヶ月の移行期間中は、まだチグハグな感じがありました。
 化粧道具や、服は、一通りあったけど。勤めてた頃は、週末女装的だったので、どーも、家事とかするのに向いてない(笑)。

 会社に着ていってた、マニッシュなシャツブラウスとかは結構枚数あっても。これはストレッチジーンズとあわせてたんで、タイトスカートとかと微妙にあわない。だいたい、タイトスカートとかで家事なんかやってらんないし(笑)。オンナ経験値も低かったのだわ。
 で、ジーンズメイトで安いスカート買ってきたりとか。

 それでも“うしろめたさ”のような感覚はあって、夜、お勤めの人の帰宅時間が過ぎてから、きちんとしたメイクで、少し離れたファミレスまで出かけたりする暮らしを続けてました。移行期のはじめの頃の話です。

 別に、ファミレスで、何をするわけでもなく、2、3時間、もってった本を読んで帰ってきてただけなんですけど。
 何しろ無職ですから、女装仲間とのパーッとした夜遊びからは、自然に脚が遠のいてました。
 オタッキーな方面の遊びとかには出かけてたけど、その頃は、適当なとこでカラオケBOXに入って着替えとメイクをしたり、そんな風。着替えた服は駅のコインロッカーに預けて。
 この辺は、移行期だから、週末女装の習慣が残存してた感じで、やっぱりちぐはぐ。

 デイリー女装へのシフトの劇的なきっかけになった出来事があって。実は、そのことが書きたい。
 アタシが住んでる集合住宅は、マンションって奴で、割りと戸数が多い。
 ある晩、同じマンションの勤め人の皆さんが、もう帰宅し終わったわよね、って頃に、きちんとメイクして出かけるアタシ。いつものように、ファミレスで、本でも読もうってつもりでした。

 部屋を出て、鍵を閉めようとしたら、予想しない方向から人の気配が(!!)。ドキッ、として、そろりとそちららを観ると、上の階に通じる階段の踊り場で、上の部屋のUさんが外を向いて体操をしてらっしゃる。
 Uさんていうのは、老年のご夫婦で、睦まじく暮らしてられる。一緒にお買い物に出かけられたり。道で会うと、ご挨拶を交わす程度のお付き合いだったんだけど。体操をしてられたのは、旦那さまのお爺ちゃん。

 アタシは、立ちすくんじゃったんですけど。たぶん、Uさんも気配を感じられたのでしょう。ふとした感じで、こちらを振り向かれて眼があっちゃった。
 ちょっと間があったけれど、Uさんは、道で行き会う時と変わらない様子で「こんばんは」と声をかけてくだすって、アタシの方は、どぎまぎしながら、「こんばんは」てお返事して。一つ会釈すると、どきどきしながらファミレスに向かったのでした。
 その晩は、本を読むどころじゃなかったことは、覚えてます。


 一晩寝た、次の日ですね「もう、こそこそ女装するのは嫌だ、止めよう」と決めたのは。
 それまで、そういう風に思わなかったわけではないけれど。悶々として踏ん切りがつかなかったんですけど。
 Uさんのご夫婦とは、今でも仲良しです。

 今では、同じマンションのお年寄りとは、Uさん以外の方とも、アタシの方から、積極的に仲良くしてます。
 たいしたことをしてるわけじゃぁないんですけど。行き会って声をかけてもらえたら、できる限り長話にお付き合いする、とか。何かの時に、荷物を持ってあげるとか、その程度なんだけど。

 何でかって言うと、アタシがいないとこで、かばってもらってるんですよ(笑)。
 同じマンションの若いママさんに、「あーゆー人がいると、うちの子供もホモになるんじゃないか」とか「悪影響がある」とか、陰で言ってる人たちもいるそうなんですね。面と向かっては言ってはこないんだけど。
 ちゃんと耳に入ってるんだけど。アタシの方でも、面と向かって言ってこないものは、知らんぷりしてるし。でも、アタシのいないとこで、仲良しのお年寄りにかばってもらってたりもして。それも知ってるのでした。