BBC WORLD NEWS:トリポリ(リビア)のアブサリム刑務所のレポートとかが関心をひいた

 BBC WORLD NEWSで週末に組まれてる番組枠、“World Features”。日本で視聴できるCSの番組表だと、土、日、月(午前中)に30分枠が何度も組まれてます。
 この放送枠内で、「Reporters(レポーターズ)」と、U.K.の1週間の主要ニュース「UKレポーターズ(UK Reporters)」が、何度かずつ放送される形。

 後、今週“World Features”の放送枠では、“World football focus”もやってた。けれど、この番組が“World Features”のレギュラーなプログラムになるかどーかは、わかんない。最近も、最初だけ“World Features”枠でやってから、独立枠の番組になってった番組、あったのよね(世界各地の先端医療や、医療関連プロジェクトをレポートする「ヘルス・ショー」のこと)。


 “Reporters”は、1週間の「ワールド・ニュース(World News)」などからセレクトされた現地レポートに、スタジオでの解説も交えて構成した番組。“BBC WORLD NEWS”の週間セレクションって言うと、言いすぎかもだけど、そんな趣も感じる番組です。NHK総合(地上波)で週末にやってる「海外ネットワーク」に、構成は似てる(内容はかなり違うと思うけど)。

  • 番組のオフィシャル・サイト(英文)は右に。⇒Reporters


 先週分の“REPORTERS”は、スタジオ・キャスター、ゼィナ・バダウィ(Zeinab Badawi)。アタシ、このスーダン生まれの女性キャスター、ファンなのよね。

 放映された現地レポートは、次の5本でした(放送順)。

  • リビアトリポリから、アブサリム刑務所の実態は?」JEREMY BOWEN
  • 「ナイジェリアで信徒が増えてる“富裕な”教会」TOMI OLADIPO
  • 「オーストラリアで再燃してるゴールドラッシュ」NICK BRYANT
  • 「ロシアで歓迎されたU.K.北極船団の退役軍人たち」STEVE ROSENBERG
  • 「ドイツで贋作美術品の大きなスキャンダルが裁判に」STEPHEN EVANS


 「リビアトリポリから、アブサリム刑務所の実態は?」のレポートは、陥落したトリポリで、法律家たちが旧政権の政治犯収容所アブサリム刑務所の拷問や密殺の実態を解明すべく、散逸した文書類の組織的な調査に取り組みだしたって様子を報じてくれた。
 3分26秒ほどの画像ファイルが、BBCのサイトから観れます。⇒ “Libya crisis: Inside the notorious Abu Salim jail”,JEREMY BOWEN reports。

 このレポート、終盤は「確保された文書からは、欧米政府の当局が旧政権にテロ容疑者をアブサリム刑務所に送り込んでた証拠も」って話題の紹介になってて。当然、この件は、この後しばらく、物議を招くことでしょう。


 「ナイジェリアで信徒が増えてる“富裕な”教会」は、ナイジェリアの旧首都で現在も最大の都市ラゴスからのレポート。
 信徒が富裕層の教会で、「富裕になるのは神の恵みで、恥ずかしいことじゃぁない」って説教をしてる、みたいな話題だけど。取材された、多分プロテスタント系なのかな(?)って思える教会では、説教師も資産家なんだ、って、レポートで言ってた。

 もしかしたら、ノリ的にはU.S.の大規模教会(メガ・チャーチ)に似てるのかしらね?? よくわかんないけど。
 多分、日本人の関心はあんまりひかなそうな、このニュース。「ほかのアフリカ諸国にも、このような教会は広がっています」とは、ゼイナ・バダウィによるスタジオからの解説。
 2分26秒ほどの画像ファイルが、BBCのサイトから観れます。⇒ “Nigeria's growing 'prosperity' churches”,TOMI OLADIPO reports。


 「オーストラリアで再燃してるゴールドラッシュ」のレポートは、「再燃」といっても、金価格の高等を受けて、数十年ぶりのブームってレポート。金属探知機とかの最新機器が使われてるので、昔と比べると手軽になってる、みたいな面も報道。
 番組でも放送されたレポート画像は右から。⇒ “How to find Australian gold”,NICK BRYANT,3分27秒。


 「ロシアで歓迎されたU.K.北極船団の退役軍人たち」のレポートは、2次大戦中、対ナチ戦を戦っていたソ連に補給物資を搬送したU.K.北極船団の退役軍人たちをレポート。
 もう70年ほど前の出来事って話なんだけど、今年、ロシアのアルハンゲリスクで開かれた追悼集会に、存命中の退役軍人が招かれ、歓迎されてる様子が、番組では流された。

 このレポートは、スティーヴ・ローゼンバーグ(STEVE ROSENBERG)による英文の記事が、BBCのサイトから読めます。⇒ “WWII Arctic convoy veterans recall 'dangerous journey'”By Steve Rosenberg
 上の記事ページからは、北極船団退役軍人の1人、デヴィッド・エドワード・コットレル氏(DAVID EDWARD COTTRELL)の談話をメインにした画像ファイル(2分57秒)も観れます。
 こちらのビデオ・ファイルは、番組で使われたレポート画像の一部をクリップして別の編集構成をした形。
 番組で流された画像のファイルは、探してみたけど、ちょっと見つけだせませんでした。

 報道のポイントは、U.K.では、当時、北極船団に乗り込んでた退役軍人たちの一部の人に、自分たちの戦時貢献が無視されてる、って意見あるとこみたい。北極船団退役軍人の内に、当時の任務について勲章授与を求める運動があるんだそうです。


 「ドイツで贋作美術品の大きなスキャンダルが裁判に」のレポートは、「ドイツ史上最大の美術品贋作に関する裁判」がケルンで開かれてるってニュース。
 容疑者グループは、20世紀前半の巨匠の作品として多数の贋作を製作、高額で売買された、って嫌疑がかけられてる。50点前後の贋作が確認されてて、取材されたドイツの美術研究家も「ドイツの美術界で戦後最大のスキャンダル」って言い方してました。

 関連のレポート画像は “Trial for alleged arts forgers due to start in Germany”(STEPHEN EVANS,2分2秒)なんですけど。
 このビデオ・ファイルは、番組で放送されたバージョンより短いです。


 先週分の「Reporters(レポーターズ)」で放送されたレポートでは、時事的にはやっぱり「リビアトリポリから、アブサリム刑務所の実態は?」が、注意をひく話題だったと思います。

 でも、アタシ的には、「ドイツで贋作美術品の大きなスキャンダルが裁判に」のレポートが、丁寧な報道で好感が持てたな。
 裁判で係争中の容疑者の画像とか一切出さないのね。
 BBCのサイトから観れるレポートで、最後の方に出てくるロシア人の贋作画家たちは、依頼に応じて作成した贋作を贋作として合法的に売買してる人たちで、事件の容疑者ではないです。


 レポートは、主に押収された贋作美術品の画像を映して、「どんなふうにして贋作と判明したのか」とか、「真作として取引されたのはどんな事情があってのことか」に焦点をあてた報道。

 “Reporters”の番組ではレポーター、「裁判にかけられている人々は、実際とても優れたアーティストだ、と言えます。絵にかけては名人でしょう。しかし、人々を欺いたことで、長期間刑務所に行くことになるかもしれません」みたいなコメントで、レポートのラストを締めてた。
 係争中の裁判の行方については、断定しない言い方も、冷静でいいわよね。