サンデー・フロントライン:12日分番組中、印象的だった現地レポートとか
12日放送分の「サンデー・フロントライン」は、アタシ評価だと、番組の水準的な出来だったと思います。
トータルで悪くない感じで。ちょっと厳しく言えば、可も無く、不可もなく。でも、悪くは無かった。
番組の序盤、姜尚中さんが福島の原発事故被害地を、再訪するレポートが長めに放送されました。
「姜尚中が行く福島II/復興、原発…被災地で見た“真実”」と題されたコーナー画像。
3月の震災から2週間ほどの3月28日相馬市などを取材で訪れた姜さんが、再訪するって趣旨で。
これ、アタシ的には惜しい感じだったな。
現地レポートの画像として、結構色々いいとこがあったと思うんだけど。ぶっちゃけ、姜尚中さんは報道レポーターにはなりきってなくて。取材報道としては冗長な感じが目立った、と思います。
例えば、姜尚中さんが、前回取材した人と再会するとことか、画像としてはほほえましいんだけど、ちょっと視聴者置き去りな感があったり。もし、姜尚中さんが現地レポーターの役割を担っていこうってことなら、もうちょっと不特定多数の視聴者に向けられたレポート画像ってことが意識されてもいい、と思う。
これは、姜尚中さんだけの問題じゃぁなくて、姜尚中さんと取材クルーの共有意識の問題かな、多分。
逆に、レポーターとしては素人くさいけど、味のある姜尚中さんの現地探訪記録、ってことで現地レポート的な画像を撮っていく方針なら、これはこれでいいのかもしんない。
この現地画像「復興、原発…被災地で見た“真実”」。
「姜尚中さんと会話する現地の人たちの様子」を撮った画像が、何シーンかあって。アタシはこれ手法としてはいいと思うんだわ。実際、印象的なショットもあったし。
画面には映されない取材マンとのやりとりに応じる相手の談話だけが映される手法って、政治家さんとか、芸能人さんとか、普段から「不特定多数を相手に話す」ことに慣れてる人ならいいんだけど。
普通の人の談話は、インタビュアーとのやりとり」まで映してくれた方がいいのよね。会話には流れがあるから。
インタビュアーが、どういう表情でどんなことを聞いて、それに相手の人がどんな間合いで応じるかまで映してくれて、はじめてわかることってあるし。
相手の人の談話だけクリップされると、「相手の人が何を言ったか」はわかっても「何を言おうとしてるか」は、あまりよくは伝わってこない、ことが多い。
「復興、原発…被災地で見た“真実”」の内で、特に印象的だったとこを1つだけ挙げてみると。例えば相馬市に分校が作られて、生徒が南相馬市から通ってる相馬農業高校での取材が印象的でした。
この相馬農業高校、本来は、事故原発から25kmほどの緊急意避難準備区域にあるので、30km圏外の他校の体育館で「分校」を設営。生徒さんたちはバスなどで通学してるって学校。
相馬農業高校で、姜尚中さんが、生徒さんたちにインタビューしてく様子はシンクロ録音(同時録音)がほとんど調整なしに使われてて。パーティションで教室っぽく区切られてはいても、ざわめく話し声が、高い天井に反響する体育館特有の雰囲気に、臨場感が感じられました。
で、姜尚中さんが、1人の男子生徒と将来の志望とかを聞いて話してるときに、近くの机に向かって何かノートしてる別の学生さんの表情が、画面内に入ってて、これが良かった。
インタビューされてる学生さんが「一応、県内(就職が希望)だったけど、この状況なので、県外しか無理かなー」って言ってる間に、ちょっと離れたとこの学生さん、黙ったまま一瞬カメラの方を見てから、姜尚中さんの声がする方をちらっと見て。その後、「親戚とか家族の方は大丈夫?」と姜尚中さんが聞いたのをきっかけに、津波でお母さんが亡くなられたって話を聞かされて、姜尚中さんが少し沈黙。
この時に、「母親が亡くなりました」って言うまでの生徒さんの表情が、すごく雄弁で、口調は淡々とした印象だけど表情が揺らぐんだわ。
で、ちょっと離れたとこの学生さんは、黙ったまま、姜尚中さんに向ける視線も印象的でした。
インタビューされる人が、カメラの方に目線を向けた画像で、談話だけをクリップすると、こうした臨場感は出ないのよね。
この時も、姜尚中さんと会話してる男子学生の人(目線はカメラの方でなくて姜さんの方を)、と、その向こうで机に向かってる同級生の人とが、1つの画面フレームに切り取られてるから、「分校の臨場感」が視聴者に伝わって来たんだわ。
それで印象的になってました。
「復興、原発…被災地で見た“真実”」の現地画像は、取材レポートとしては冗長感があったと思うんだけど。
現地再訪を踏まえた姜尚中さんのスタジオ・トークはよかったです。
特に、「震災」とひとくくりにしないで、「地震の震災」と「原発事故の被害」とは、現地の状況がまったく違うから、きちんと分けてとらえていくべきだ、って姜尚中さんのコメントは良かったな。
言われれば、誰でもそりゃ当然だよね、って思うはずだけど。でも、結構、ひとくくりにされがちで来てると思うな。
今週の「これはニュースだ!」コーナー:
先週放送分から復活された、週間の重要ニュース選のコーナー「これはニュースだ!」
このコーナー、番組に不定期に出演したりしてる、評論家、解説者、コメンテーターの人たちが、その週の重要ニュースに、1位〜10位の重要度を評価して提起。重要度はポイント換算されて、番組の方では、付けられた重要度ポイントを集計して、週のニュース10を重要度順に整理するって趣向。
番組の公式サイトで、どんなニュースがセレクトされたか、読めるけど。これって1週間だけの表示かな?? それとも、アーガイブぽく過去分も見れるように構成されてくのかしら?
ともあれ、今週は、次のようなニュースがセレクトされてました。
- 1位「『ポスト菅』『大連立』混乱続く」
これは、先週も第1位にあがった、国会の政局動向のニュース。
- 2位「“メルトスルー” 新事実続々」
こっちは、東京電力や、原子力安全・保安院が断続的に発表してる、福島の事故原発関連情報について。アタシは個人的には、安全・保安院が発表した「77万テラベクレル」の修正発表が、気になってます。
- 3位「震災3ヵ月 復興足取り重く」
主に、仮設住宅の話題だったけど。番組では、「避難所を離れて仮設住宅に移ると、食料の配給が受けられない」って報じてて。これは、アタシ考えなかったな。義捐金分配の遅延とも関連して、重大なことだと思います。
10日の金曜日に衆議院を通過した復興基本法案についてのニュース。
- 5位「汚染水危機!? 原発事故3ヵ月」
事故原発の汚染水処理作業のニュース。15日から浄化システムの本式稼動予定が、数日ずれ込むとのニュースと、除去された放射性物質の処理方法が未定ってニュース。
- 6位「イエメン、シリア 中東激変」
- 7位「『オスプレイ』配備を正式発表」
これは、先週のコーナーで9位にセレクトされた米軍沖縄基地関連のニュース。
日本国外務省が、36年前から米国で市民におこなってる「アジアでもっとも重要な(米国の)同盟国はどこ?」って世論調査の結果。
- 10位「地震確率↑ 東京など3断層」