今週の「サンデー・フロントライン」(テレビ朝日)、震災地のコンビニを追った報道レポがよかった♪

 8日(日曜日)の午前中、テレビ朝日で放送された「サンデー・フロントライン」、「東日本大震災の震災地で、いち早くコンビニを開店したローソンの奮闘記」みたいな報道レポートやってくれたんだけど。
 これ、面白かったな♪

 「面白い」って言うと、語弊もあるのでしょうけど。
 とても希望と元気が出るレポートで、良かったと思うんです。
 アタシの率直な感想は「面白かった」になってます。


 「サンデー・フロントライン」は、2時間枠のニュースショー形式報道番組。
 番組構成の基本パターンとしては、冒頭から2/3ほどを、複数の話題(テーマ)の報道、検証、及びスタジオトークにあてて。番組終盤の1/3ほどを、やや長めの現地レポートとスタジオトーク(あわせて40分前後くらい?)って大別することが多いと思います。

 8日放送分では、普段と違うイレギュラーな構成がとられてました。
 アタシが、「面白かった」と感じたレポート「東日本大震災の震災地で、いち早くコンビニを開店したローソンの奮闘記」は、番組の中盤に、20分強の報道画像に1分程度のスタジオトークを加えた、賞味23分ほどのセクションで放送。


 このレポート、何が面白いかって、まず「民間だからできる」即断や、大胆な戦略が成功した面白さ、痛快さが、取材されてること。
 それでいて、ちゃんと「報道」になってるのよね。偉人伝みたいな物語的潤色がきちんと抑制されてたと思える。

 メインは、レポート中で「カリスマとも呼ばれてる」って紹介される、新浪ローソン社長にかなり密着した取材だと思うんですけど。
 社長さんだけでなくて、震災地で店舗オーナーをしてた人、店舗従業員をしてた人って、立場の違う人も、かなり丁寧に取材してて。多面的な取材画像を、取材相手の多面性が生きるように構成してくれてて。そこも良かった♪


 アタシ個人は、新浪ローソン社長と同じような決断力や速攻を、政治家のリーダーシップに「求めてはいけない」と思うんですけど。
(政治家は、基本的には、民間活力を引き出して、動きやすくするように調整してけば、それでいい。
 それ以上のリーダーシップが必要とされるのは、本当の非常事態だけで、できるだけ短時日の例外として特例にしないといけない、ってのがアタシの考えです)

 まぁ、その辺は視聴者によって、とらえ方はいくつかあるでしょう。あって構わないのよ。
 報道ってそーゆーもんでないと、かえって困る。

 「ローソンの奮闘記」は、取材を構成することで、報じてる出来事のアウトラインは適確に伝えながら、視聴者の方での受け止めの自由度はかなりあったと思います。
 そこがいいのよ。
 日本のテレビ報道「これで泣かないと日本人じゃぁないです」みたいなノリで、受け止めの幅を絞り込んだ、視聴者誘導的な3流報道(報道としては3流ってことね)が多すぎるんだわ。


 このレポート、一番古い画像が、多分4月20日の震災地取材画像から、ある程度に時間幅に渡る取材画像を編集構成してて、テレビ報道に多い、速報性の報道レポートとはちょっと趣が違ってた。
 スチール(静止画像)や、回想インタビューなども使って、扱ってる出来事は、3月11日の震災直後からをカバー。

 さっきも書いたけど、立場の違う人のそれぞれを、丁寧に追って、構成したとこも良かった。
 これ、もっと放送時間短かったら、インタビュー風の画像を短くクリッピングして、フレーム外からナレーション被せたりして処理しがちなところ。こっちの手法だと、取材された人が何を考えて暮らしてるか、肉声みたいなとこがどうしても一面的な報道になり易いんだわ。


 後、報道中「ライフラインとしてのコンビニ」って、コメントをナレーションやテロップで流してて。その評価、アタシも異存はないんだけど。
 それだけでなくて「買い物は楽しい」「自分で商品を選んで買い物できると、ほっとする」みたいなね、生活者の普通の感覚まで取材画像がきっちり切り取ってるとこがとても優れてました。
 単に、生存のためのライフラインに、+αの価値があるわよね、コンビとかには。
 その+α、さしあたりは「消費社会のライフスタイル」とでも呼ぶしかないと思うな。


 アタシの自説だと、日本のTVでやる現地レポートって、もっとコンパクトな5分〜7分の画像レポートだけ観ても、報じられる出来事のアウトラインを視聴者がつかめるように作った方がいい(そのスタイルの報道レポートが増えた方がいい)、って思ってるんですけど。

 8日報道の「ローソン奮闘記」は、20分強ほどって、TV報道では比較的長尺の時間をきっちり使ってて、よかったです。
 こーゆー路線もあるのね、って思いました。
 「報道レポートの合間にスタジオトークも挟む」みたいな構成をとらなかったとこも勝因だったと思います。

 放送された画像の延長上で、もうちょっと充実させれば、単品のドキュメンタリー作品として成立するくらいのクオリティが、あったと思います。


付記:
 8日(日曜日)の「サンデー・フロントライン」は、過去の同番組と比べると、構成が変則的で。普段の構成だと、きっと「ローソン奮闘記」のレポートは、番組の終盤で流されただろうと思うんですよね。
 8日は、番組終盤で、「事件発生から時間がたった今だからこそ見えてくる真相があります」ってことで「ニュースの記憶」ってコーナーの「1回目」をやってくれました。
 メインの話題とは別話題で、簡単に付記しとこうと思います。

 この「ニュースの記憶」ってコーナー、狙いはいいと思うんです。けれど、もし本気でシリーズ化してやってくれるなら、もっと本腰入れてやってほしいなー、アタシ。

 番組のアシスタント・アナは、「追跡取材」って言って紹介してましたけど。アタシが思うには、実際やってたのは「歴史検証」だろうと思います。
 「歴史検証」だと、「検証の是非を取捨選択するキャスター」が、フレームインして、「なぜ、この証言や証拠を新たに重視するのか」要所要所で、視聴者に向かって告げながら構成してった方がいいです。

 残念だけど、第1回では、その辺は、フレーム外からのナレーションで、フォローしてて。フレームインするアナウンサーさんは、コーナーの冒頭とラストで、導入と要約をコメントするだけでした。
 これでは「検証」としては弱いし、偏りも免れないんですね。

 本当なら、単品のドキュメンタリー作品でやるようなことでしょう、って思うんですけど。「第1回」ってことは、シリーズとして取り組んでくのかしら?

 番組の意欲にはエールを送ります。
 アタシの個人的な評価だと、第1回はあまり出来がよくなかったって思ってますけど。「歴史検証」のコーナーとして、徐々に良くしてってほしい、って期待してます。