今週の“HARDtalk”
BBCのロングランなインタビュー番組“HARD TALK”。
BBCワールドニュースの日本語放送でも観れる、辛口インタビュー番組で、むしろマン・ツー・マンのディベートって感じ。平均点の高いインタビュー番組です。
30分枠、月〜木の日替わりプログラムとして放映。当たり外れもあるけど。平均点は高いです。
- 日本語の番組紹介ページはこちら⇒番組詳細「ハード・トーク HARDtalk」(BBC ワールドニュース)
- 英語の番組紹介ページはこちら⇒Programmes“HARDtalk”(BBC WORLD Service)
今週は、次のような相手へのインタビューが放映された。
(アイルランドでは、現地25日投票の総選挙開票結果で、最大野党だった統一アイルランド党が躍進。前与党の共和党を大きく引き離して、半数近くの議席を獲得した)
- 22日(火):リビア反体制派の活動家、グマ・エル=ガマリ(Guma EL-Gamary)と、大学教授で中東問題研究家のファワズ・ジャジェス(Fawaz Gerges)。
- 23日(水):アイルランドの与党(放送当時)共和党の、ヨーロッパ関係担の閣外相ディック・ローチェ(Dick Roche)。
- 24日(木):ナイジェリア連邦共和国の野党で主導的な政治家、2003年以降同国カノ州州知事のイブラヒム・シェカラウ(Ibrahim Shekarau)。
21日放送分では、アイルランドの議会で(放送当時)最大野党だった統一アイルランド党の議員に、23日分では与党共和党でヨーロッパ関係担の閣外相を勤めるディック・ローチェ(Dick Roche)に、それぞれインタビュー。
これはもちろん、現地25日におこなわれる総選挙で、与党の敗退が大方に予想されていたからでしょう(財政危機と、共和党政権がEUから条件付で金融支援を受け入れたことによる予想)。
インタビュアーは、メインのスティーフェン・サッカー(Stephen Sackur)ではなく、ノエル・トンプソン(Noel Thompson)。こちらは、たぶん、サッカーが海外取材に出てる関係かと思われます。
21日放送分冒頭、カメラに向かったノエル・トンプソンが「アイルランドでは今週末総選挙がおこなわれます」「統一アイルランド党のブルトン議員にお話をお聞きしました。今回政権を採ることになりそうです」「どんな政策を持っているのでしょうか」と導入。インタビューでは主に財政政策についてから訊いていった。EUとの再交渉の見通しについても質問。
(個人的には。ブルトン議員がシンフェイン党との政策の違いを指摘したくだりが興味深かった)
23日分では、共和党でヨーロッパ関係担の閣外相のディック・ローチェに、ノエル・トンプソンは、あれこれの聞きづらいような質問も率直に訊く。この辺が番組の面白み。
例えば「アイルランドで人々は怒っています。そして共和党に責任があると言っていうんです」「確かにそうです。人々は怒っています。毎日、選挙区の人々に会って話をするときに、リセッションがどんな大きな影響を与えたかわかります。苦しんでいます」。
率直な質問への率直な返答が気持ちいい。けれど、質問はさらに積み上げられる「あなたがたは財政の責任を14年間あったわけですから。そして赤字を生み出したわけですから、それはあなたの党の責任ではないですか?」。
これに対しては「(近年)状況が急変したのだ」と、ディック・ローチェ。
インタビューの最終パートには「もう退陣すべきだと思いますか?」「それは、私の選挙民の決めることです」てやりとりで移行。
「非常に厳しい選挙になることはわかっています。国民が判断をするでしょう。」と、ディック・ローチェ。「この選挙民が何を選ぶかです。これから将来、簡単な道があるという政治家を選ぶかどうか。考えてみてほしいと思います」との言葉を区切りにして「どうも、ありがとうございました」と握手を交わしてインタビュー終了。
アタシが、“HARDtalk”を観るのを好きなのは、こうした率直なやりとりが聞けるって理由が大きいんだけど。
日本のTV番組で、特に現職の政治家を相手にしたインタビューでは、どうしてこういうやりとりが聞けないんだろうって、よく首をかしげちゃう。
相手におもねったような――と言うと言いすぎならば、不必要に相手を慮ったような質問。質問者も視聴者も煙に巻くような回答。そんなインタビューが多すぎる。
そんなふうに思うのはアタシだけじゃぁない、と思うのよね。
22日放送分では、リビア反体制派の活動家、グマ・エル=ガマリ(Guma EL-Gamary)と、大学教授で中東問題研究家のファワズ・ジャジェス(Fawaz Gerges)がスタジオに招かれて、BBC Wrold Newsの女性キャスター、ゼィナ・バダウィ(Zeinab Badawi)が迎えた。
ゼィナ・バダウィの、“HARDtalk”でのインタビューも大分板についてきた感じ。ちょっとWikipwdia(en)にあたってみたら、Zeinab Badawiて、スーダン系のU.K.国民なのね。生まれたのはスーダンだけど、3歳の時からU.K.本国で育った、と、なるほど。
グマ・エル=ガマリ氏は、リビアからヨーロッパに亡命中の反体制活動家らしい。「欧米諸国の企業によるリビアとのビジネスは、カダフィ体制を保持するもので迷惑」みたいに言ってた。
ファワズ・ジャジェス教授は、「カダフィ体制が(リビアの)西部沿岸に限定された今、国際社会は、リビア国民に向けて、支援と援護を与えるとの明確なメッセージを発す必要がある」と主張。
スタジオで2人に対面したゼィナ・バダウィは、よく活発なやりとりに加わりながら、番組を進行させてたと思います。
このところ、北アフリカのアラブ諸国関連の話題で、ゼィナ・バダウィがインタビュアーをやる“HARDtalk”目立つけど。スーダン出身の彼女、全経験、全人格使ってインタビューにコミットする感じで、観応えあるわね。
24日放送分では、ナイジェリアの野党で主導的な政治家、イブラヒム・シェカラウ(Ibrahim Shekarau)と、ゼィナ・バダウィがスタジオで対面。
アタシとかもちろん、誰それ?? みたいな感じだったんだけど(笑)。
ナイジェリアではこの4月に大統領選挙があるんだって。で、インタビュイーは野党(ナイジェリア人民党)で候補に立ってると、なるほど。
前回の大統領選(2007年9は不正が多かったらしいんだけど(そんな話も聞いた覚えはあるけど、アタシとか覚えてなかった)、「今回の選挙は大丈夫なんですか?」とかいきなり訊くとことかが“HARDtalk”(笑)。「今年は信用できると思います」と、イブラヒム・シェカラウ氏。多くの人たちが変化を求めていますって言うんだけど。「80%の人が政府に信頼を失っている、と言いますが」と仮借ないインタビューが続きました。
「世界銀行の調べによりますと、ナイジェリアの人口の1%が、80%の国の富を所有しているとのことですね。何という恐ろしい数字でしょうか」。「透明性ということを考えなくてはいけません。もしくは説明責任ということですね。これがナイジェリアの求めていることです」。なるほど。