今週の“HARDtalk”:今週はどの回もそれぞれに良かったと思う

 BBCのロングランなインタビュー番組“HARDtalk”。
 BBC WORLD NEWSの日本語放送でも観れる、辛口インタビュー番組で、マン・ツー・マンのディベートって感じの番組です。
 30分枠、普段は、月〜木の日替わりプログラムとして放映。当たり外れもあるけど、平均点は高いと思います。


 15日の月曜日から18日の木曜日にかけて、次のようなゲストを招いた番組が放送されました。

  • 15日(月):UKの障害者アスリート、タニ・グレイ=トンプソン(TANI GREY-THOMPSON)
  • 16日(火):パレスチナ人対象の医療支援ボランティア団体の代表、スゥィー・アン医師(Dr.SWEE ANG)
  • 17日(水):EUの内務担当委員、セシリア・マルムストロム(CECILIA MALMSTROM)
  • 18日(木):NGO団体代表の、チャンドラン・ナヤ(CHANDRAN NAIR)と、インド首相の顧問を勤めてるエコノミスト、ラグラム・ラヤン(RAGHURAM RAJAN)のダブルゲスト。

 内、16日放送分のみ、インタビュアーはティム・フランク(Tim Frank)。この人は、“HARDtalk”への登板は、はじめてかな?
 他の回は、番組のメイン、スティーフェン・サッカー(Stephen Sackur)がインタビュー。


 今週放送の“HARDtalk”は、どの回もそれぞれに、甲乙付けがたい観応えだったと思います。
 15日(月)放送分では、障害者アスリート、タニ・グレイ=トンプソンを招いて、パラリンピックの話題を軸に、「障害者がスポーツをする権利、意義」などについて。

 16日(火)は、パレスチナ人対象の医療支援ボランティア団体「メディカル・エイド・フォー・パレスティニアンズ」の代表を招いて、レバノンでの難民医療支援と、政治的な状況や政治的言動とのジレンマについて、など。

 17日(水)は、ブリュッセルとの中継で、EUの内務担当委員を相手に、EUの経済政策、社会政策の話題を軸に。やりとりの焦点は、EU加盟国の間でのナショナリズムや排外主義の動向と、EUの将来との関係になっていきました。

 18日(木)は、スタジオにNGO「グローバル・インスティチュート・フォー・トゥモロウ」の代表を招き、U.S.にいたインド首相の経済顧問、元IMFのラグラム・ラヤン氏とは中継で結んで、座談形式でディベート
 話題は、大きなテーマとしては「成長前提の自由市場主義の将来」を掲げ、インド、中国、インドネシアなどなど、アジアの新興経済国の成長可能性などを話題の焦点に。


 それぞれに、甲乙付けがたい感じだった今週の“HARDtalk”。
 BBCのサイトから観れる、ハイライト部分の画像ファイルだと、16日放送分が、1番分かりやすいかな(??)。
 ハイライトな感じは、1番わかりやすいと思います。

 上は、20分前後の番組から、2分半強のやりとりをクリップしたビデオです。

 スゥィー・アン医師(Dr.SWEE ANG)は、1982年、医療活動に従事していたレバノンのサブラ難民キャンプで、難民虐殺に遭遇したそうです。その後、ボランティア団体「メディカル・エイド・フォー・パレスティニアンズ」を立ち上げ、以降30年ほどレバノンで活動を続けてきたとのこと。
 ハイライト・ビデオでは、そんなスゥィー・アン医師にインタビュアーが、「80年代、難民キャンプを攻撃した戦車に自爆攻撃で立ち向かった十代の少女たちの内に、スゥィー・アン医師が看護医療を手ほどきした少女もいた」という話を切り出しているあたりがクリップされてます。

 番組全体を通じて、ディベートっぽいインタビューの話題は、「メディカル・エイド・フォー・パレスティニアンズ」は、レバノンで政治的中立を保った医療支援に勤めてる、けれど、スゥィー・アン医師個人は、時として政治的発言もする、せざるを得ない、といったジレンマをめぐる話が焦点になってると思えます。
 ハイライト・ビデオのクリップも、そうした話の流れを想定すると、ハイライトらしいのがお分かりいただけるか、と思います。