BBC WORLD NEWS:先週の番組では、シリア関連の報道が重要だったと思うけど

 BBC WORLD NEWSで週末に組まれてる番組枠、“World Features”。日本で視聴できるCSの番組表だと、土、日、月(午前中)に30分枠が何度も組まれてます。

 “World Features”の放送枠内で、「Reporters(レポーターズ)」と、U.K.の1週間の主要ニュース「UKレポート」が“World Features”それぞれ何度かずつリピート放映される形。
 “Reporters”の方は、1週間の「ワールド・ニュース(World News)」などからセレクトされた現地レポートに、スタジオでの解説も交えて構成した番組。“BBC WORLD NEWS”の週間セレクションって言うと、言いすぎかもだけど、そんな趣も感じる番組です。
 NHK総合(地上波)で週末にやってる「海外ネットワーク」に、構成は似てるけど、内容はかなり違うと思う。

  • 番組のオフィシャル・サイト(英文)は右に。⇒ Reporters


 先週の“REPORTERS”で放映された現地レポートのクリップは、次の5本(放送順)。

  • トルコのシリア国境近くで、シリア側から脱出してきた難民のキャンプからの報道。
  • スペインから、病原性大腸菌風評被害を受けた農家、出稼ぎや移民の労働者の様子。
  • アフガニスタン東部で危機に瀕してる遺跡とその保護の話題。
  • インドネシアから。世界で最もイスラム教徒人口の多い同国で、根強い世俗主義と、イスラム法の施行を望む中産階級との間の論議
  • ヨーロッパ・ツアーでも人気のK-POP業界についての批判と、韓国人法律家、韓国人音楽ディレクターなどへの取材。

 先週放送分からセレクトされたレポートは、日本人視聴者の大方が、どれに興味を惹かれるか、判断に迷いました。
 重要度や報じられた出来事(ニュース)の影響力で言ったら「トルコのシリア国境近くで、シリア側から脱出してきた難民のキャンプからの報道」だろう、と思うんですけど。アジア関連で、インドネシアからの報道や、K-pop業界についての報道も捨てがたいですよね。

 アタシ個人は、「アフガニスタン東部で危機に瀕してる遺跡とその保護の話題」に興味を惹かれました。


 まず、「トルコのシリア国境近くで、シリア側から脱出してきた難民のキャンプからの報道」について。
 “Reporters”の番組で、放送されたレポート画像は2分ちょっと。右のページから観られます⇒ “Syrians seek refuge in Turkey as protest crackdown widens”(シリアの人々は、トルコを、政府批判派に対して強まる弾圧からの避難地とみなしてる)。

 関連した画像ファイルも挙げときたいと思いますけど。
 とりあえず、“Refugees flee to Turkey from Jisr-al-Shughour”(ジスル=アル・シュグラーから逃れた難民たち)。1分ちょっとのこの画像、音声が全部アラビア語で、難民女性たちがカメラの前で訴えてる言葉の意味は、アタシにはわかりません。ただ、画像としての訴求力は強いと思うんで挙げときます。

 それから、“Syria: Army storms key border town Bdama”(陸軍、国境部要衝の町バドゥマを強襲)。2分弱のこのレポートは、やはりトルコ側のシリア国境近くから報じられてますけど、シリア国内からとされる画像も幾つか納められてて、シリア国内からの音声も採録されてる。
 次に、“Syrians seek sanctuary on Turkish border”(シリアの人々、トルコ側国境部に聖域を求める)。2分半とちょっとのこの画像。シリア側の集落にもカメラが入ってる他、「シリア軍を脱走した元兵士にインタビューしました」って画像も採録されてる。同じレポートに基づいた文字テキスト(英文)のページも右に⇒ “Turkey sends aid to Syrian refugees across border”(トルコ、国境を越えてくるシリア難民に救いを提供)。

 最後に、このまとめ記事を整えた日(20日)に報じられたシリア大統領の、ダマスカスでの演説に関する報道を右に⇒ “Syria: President Bashar al-Assad keeps to hard line”(アサド大統領、恐慌姿勢を保持)。
 文字テキスト(英文)に、大統領演説の終盤が2分強で収められた画像付き。
 画像の方は、アラビア語の演説に、アラビア語訛りの英語同時翻訳がかぶせられた形だけど。相変わらず「騒乱は陰謀的勢力の挑発によって引き起こされた」としながら、「流血の事態を招いた者たちは厳罰に処します」「シリアの国家秩序を回復しなくてはならない。それには、政府だけでなく、軍、警察、国民の協力必要」などなどと、しれっと説いてる大統領には、たんじゅんに怒りを覚えたな、アタシ。拍手してる聴衆(おそらくは、みんなバース党員)には嫌悪感も感じたわ。


 「ヨーロッパ・ツアーでも人気のK-pop業界についての批判と、韓国人法律家、韓国人音楽ディレクターなどへの取材」は、番組で放送されたレポートの元になった画像ファイル(3分弱)は、右ページから⇒ “The darker side of K-pop”(K-popのダークサイド)。実際に番組で使われた画像は、ちょっと圧縮されてたかと思います。
 上のレポート、“Reporters”には珍しく、画像を観てるだけでは、報じられてる内容、掴みづらいと思いますけど。レポーター(Lucy Williamson)が公表してる署名記事(英文)が、“The dark side of South Korean pop music”(韓国ポップ・ミュージックのダークサイド)。


 インドネシアから「世界で最もイスラム教徒人口の多い同国で、根強い世俗主義と、イスラム法の施行を望む中産階級との間の論議」についての画像レポートは右ページから⇒ “Indonesia's path to a modern Muslim democracy”(現代的イスラム民主社会への、インドネシアの岐路)。

 3分とちょっとのこの画像も、それほど判りやすい方でもないけど。それでも、レポーターが報じてるジャカルタイスラム信徒の社会に、どれだけ厚み(多様性)があるかは、しっかり画像で切り取られてます。「画像レポートとしての出来」がいいんだ、と思えるんですよね。

 ちなみに、レポートの途中でインターネット画像が挿入されてるのは、一応は同じインドネシア国内(分離派との紛争も断続)だけど、すでにイスラム法が施行されてるアチェ州の「公開処刑の様子を観ながら、コメントしてるインドネシアイスラム信徒」って場面。
 映されてるのは、「姦淫の罪で、公開の鞭打ち刑に処せられる女性」って画像。鞭打ちなら、イランやサウジよりもまし、って意見もあるでしょうけど。一般論としては「伝統的なイスラム法って、姦淫の罪でも、関わった男性への刑罰は軽い」って不公平が言われてます。その辺、アチェ州ではどうなのか、レポートでは言及されてないし、アタシも詳しくは調べていないですけど。


 最後にアタシが個人的興味を強く感じた、アフガニスタンからのニュースを。
 これは、アフガニスタン東部で、首都カブールからも遠くはないロガール州で、近年発見された1400年以上前の仏教遺跡が危機に瀕していて、研究者たちが調査記録に注力してるって報道。
 レポートでは言ってないけど、地図を観て、年代も考えると「アフガニスタンに現存する遺跡」ではあっても、多分、系統としてはガンダーラ系の遺跡かな(??)て気がします。

 報道によれば、遺跡が遺る渓谷一帯に、豊かな銅鉱脈があって、インドネシアの華僑系企業が採掘権を獲得、遺跡保存が危ぶまれてるって話です。
 番組で使われた画像ファイル(2分強)は右から⇒ “Indonesia's Mining venture threatens ancient Afghan Buddhist site”(インドネシアの鉱業ベンチャー、アフガンの仏教遺跡に脅威を)。