福島原発周辺海域で、セシウム137も濃く検出:関係当局は、もう、スリーマイル島原発よりも酷い事故になったと認めるべき。

 今日、経済産業省原子力安全・保安院の発表で、福島第1原発1〜4号機の放水口から330mの地点で30日午後に採取した海水から、政府が定めている基準より濃い濃度の放射性物資が検出されたことが報じられました。


 原子力安全・保安院は、前日も概ね同じような発表をしていましたが、実は危険兆候は、厳しく違ってます。
 まず、ヨウ素131について、連日上昇傾向が続いたとこ。ここ、要注意ですよね。
 次に、流出経路がまだ不明。これは危険なことだけど。この点は、原発敷地内の地下溝の汚染水処理が済まないと、ちょっと調べようもない現状でしょう。
 それから、ヨウ素131だけでなく、セシウム134と、セシウム137も、基準値の数百倍の濃度で検出。これは厳しく注目ですね。

 時事ドットコム報道コンテンツ(2011/03/31-13:12付け)によれば、31日、原子力安全・保安院の発表による30日の海水中放射線濃度は、ヨウ素131が法定基準の4358倍。セシウム134が783.7倍、セシウム137が527.4倍。


 昨日(3月30日)、NHKで放送された原子力安全・保安院の発表だと、昨日分(実際は一昨日分)では、ヨウ素131しか検出されていなかった。
 だから、人の健康に実害は無い(だろう)みたいな示唆も、まぁ、そうよね、って聞いてられた。

 「拡散すれば希釈される(薄くなる)ので」みたいなことをアピールしてたと思うけど。ヨウ素131については、そこがポイントじゃぁないわよね。
 放射能半減期が8日だけなので、8日たてば、線量は1/2に半減する。16日たてば1/4に。

 だから、仮に海藻や海草、魚介類に採りこまれても、あるいは、生体で濃縮されるようなことが起きたとしても、どんどん放射能は減ってく。だから、まあ安心してられた。


 けれど、その安心も、濃度が減少傾向にある限りの話。
 濃度上昇傾向が続くってことは、“新しい”放射性物質が海水中に流出してるってことで、これは要注意。
 流出の元を断たないといけないんだけど。まずは、原発敷地内の地下溝で、汚染水処理を済ませてもらえないと、流出源の調べようもない状態。
 それに、もしかしたら、地下溝の汚水を移動し終えたら、海水中の放射性物質濃度、減少方向に転じる「かもしれない」。やってみないとわかんないけど。「もしかしたら」って、望みはなくもない。


 そして、セシウム放射性同位体です。
 30日採取分海水から検出されたセシウム134は、法定基準の783.7倍。これの半減期は2年。
 やはり、30日採取分海水から検出されたセシウム137は、法定基準の527.4倍。これの半減期は30年。

 もう、関係当局は、どちらも、福島原発事故は、「スリーマイル島原発の事故(1979年)より酷い事故になってる」と、見解を統一するべきでしょう。
 漏出物質の量でみれば、酷い不手際。前も書いたし、何度でも書くけど、地震津波は天災だけど。震災からのリカバーが不手際なのは、人災です。
 アタシたち国民は、想定外の震災だったから福島原発の事故も仕方ない、みたいな言いくるめを呑んではいけない。


 今、原発から20km〜30km圏内は、「自主退去勧告」になってますけど。その辺の避難処置をスムースに変更していくにも、事故程度の認定は大事ですから。是非、きちんとした評価をしてほしいものです。


 福島の事故原発は、まだ溶融まではいってないかもしれない。調べないとわかんないけど調べるに調べられないって状況。
 確かに、炉心溶融まで行ったら、今よりもっと危機的ですけど。
 仮に福島原発の炉心は溶融はしてないとしても、放射性物質を封じ込めておく機能は損なわれてるわけです。これは、原子力安全・保安院も遠まわしに認めたところ。

 当局は、福島原発事故の事故程度の認知を改めて。同時に、周辺住民の避難手配をしていかないといけない、と思います。