「思想地図β」Vol1

 「思想地図β」は、作家で評論家の東浩紀が、わざわざ会社を立ち上げ、編集長も勤めて刊行した、思想雑誌。
東浩紀氏は、本当は思想家、なのだろうと思うんだけど、アタシは氏の思想、まだよくわかんない)


 元々、東浩紀氏と、社会学者の北田暁大氏との対談(対談本)がきっかけになって、NHKブックスから別巻としてVol.1〜5が刊行されていた。
 今回、新創刊された「β」は、「思想地図」の第2期みたいに観ることもできるかもしれない。
 でも、アタシの第一印象は、どちらかと言えば「新・思想地図」って感じ。

 NHKブックス版も面白いシリーズだったんだけど、βのVol.1は、さらに新鮮な感じ。
 1つには、執筆者の顔ぶれによると思う。βVol.1の方が、より多彩になってると思う。
 もう1つには、要所要所に置かれた座談会のコーナーがいい。

 「思想地図β」Vol.1は、「ショッピングモーライゼーション」と「パターン・サイエンス」の2つの特集が柱になってる。それぞれの特集頁内に、関連した話題の座談会が採録されてる、と書くと、思想誌や批評誌には、よくある手法。つまり、座談の記事が、採録の各論考文と補いあうようになってるのですが。
 βVol.1の場合、座談会を読んだ読者が、特集頁に収められた各記事の論点や難点を掴みやすくなってて、そこがいい。

 同じような効果は、NHKブックス版の「思想地図」でも、感じられたのだけど、βVol.1の座談の方がポイントを読み取り易くなってると思います。

 「ショッピングモーライゼーション」のコーナーには、座談記事の他に、東京及び、近郊で大規模ショッピングモールを実地見学する記事も載ってて。こちらも事実上座談のような内容(座ってないで、歩き続けてるわけだけど(笑))。


 他に、特集以外の記事が置かれてるパートの冒頭に「テクノロジーと消費のダンス」と題された座談記事も採録されてて。これも刺激的だったな。
 アタシ評価だと、この「テクノロジーと消費のダンス」と、「パターン・サイエンス」特集パートの座談会「パターンの可能性」は、とても面白いです。
 「ショッピングモーライゼーション」コーナーの座談記事や探訪記が、面白くないって意味ではないですけど。
 後、雑誌全体の巻頭に「非実在青少年から『ミカドの肖像』へ」って座談記事が「特別企画」って扱いで載ってる。この記事も面白く読めないわけではないんだけど、Vol.1の他の座談記事と比べると、やや喰い足りない感じを受けました。