道ですっころんだお爺さんとお話した

 今日の夕方、買い物に出た帰り、目の前で、酔っ払ったお爺さんがすっころんだので、声かけた。

 アタシの少し前を歩いてたジャンパー姿のおじさんが、急に脚をもつれされるみたいにによろけると、野球の滑り込みみたな勢いで、歩道に倒れ込んだ。
 別に段差があるわけでもないとこで、すっころんだんで、ビックリ。脇に回り込んで「どうしましたー??」って声かけたわけ。
 そしたら、アスファルト打ちの歩道に頬をつけて突っ伏してるお爺さん、口から一筋、血を滴らせてるから、ドッキリ。「具合悪いですかー? 救急車とか呼びます??」と、アタシ。

 実は、お爺さん、酔っ払ってて。倒れこんだときに頬を広くアスファルトで擦りむいちゃった。頬から流れた血が唇を伝って流れてただけなんだけど。
 はじめは、そんなことわかんないから、何かの病気で具合が悪いのかと心配しちゃったわけ。


 お爺さん、上半身起こしたら、すっごいお酒臭いわけ。まだ、日没前なのね。アタシは、なーんだ、みたいな感じで気が緩んで。その後は、道端で漫才みたいなやりとり。
 お爺さん、自分の手の甲についた血を見て、「どうしたんだこれ」とか言ってるんだもん。
 「すっころんだのよ」って教えてあげたら、「うそだ。何にもないとこで転ぶわけない」とか言うのね(笑)。「頬っぺた擦りむいて血が出てるじゃん。痛いでしょ??」て言ったら、「ちっとも痛くない」って言うし。
 鏡を見せたげて、ウェットティッシュあげたら、びっくりしてるの。ビックリしたのはこっちだってばさ。


 もしかしたら、ホームレスの人かなー? とか思ったんだけど。聞いたら、歩いて10分くらいのとこに住んでるそうで。結局、ちょっとだけ遠回りして、途中まで一緒に送ってあげることに。
 だって、「お家どこですか?」って聞いてみたら、お家と別の方向に歩いてて転んだんだもん。
 ほっといて帰って、またすっ転ばれたら、寝覚め悪いじゃん。せめて、交通量の多い太い道を渡るとこは、見送ろうと思ったわけです。


 送る途中も漫才みたいなやりとり続けてて。
 お爺さん「オカマの人は優しい」とか言って、「これから出勤?」とか聞いてくるわけ。酔っ払いのお爺さんの言うことだから、オカマって呼ばれたくはないアタシも、さすがに適当に話を合わせましたけど(苦笑)。
 お爺さんアタシのこと「中国の人?」って、何度か聞くのね。
 「日本の人だけど、何で??」みたいに聞いたら、「日本人が、あんたみたいに親切なはずがない」って言う。
 これには参ったわー。

 聞いたら、アパートに独り暮らしだ、って話なので。人づきあいが、多くもないのでしょうけれど。
 途中で、別れた後、なんだか情けないような、ものがなしいような、妙な気分がもやもやしたまま帰宅しました。